第1-1 〇 始まりの異世界
あの変な転生から明日で16歳になる。
この世界では優しい両親に支えられ大きな病気も無く、すくすく育つ事が出来たが性格までは変わっておらず相変わらず本を読むのが好きで周りから孤立気味だ。
こっちでの名前は「エリス」
言語は当然前の世界と違うので必死に勉強し習得した。
スキルに関しては生まれたときに火と水の魔法を使う事が出来た。
しかし、この世界では得意不得意があれど、魔法の理解と魔力があれば、スキルに関係なく様々な魔法は使えるようになるみたいでその後、身体強化や浮遊魔法など、普通に覚える事が出来る。
じゃああの時のやり取り何だったんだよ
更に村にある日記?伝書?によると、この世界は魔王の脅威に晒され魔物が蔓延ており、この国で生まれた16歳は皆、王都に行き神殿で勇者であるかどうかの神託を受ける事が義務付けられていた。
現にここ最近村の近くでゴブリンやスライムの動きが活発で村が襲撃されそうになったことが何度もあった。
もちろん撃退はしたが。
そんな魔王撃退の第一歩としてこの村で育った16歳の幼馴染達と王都に向かう。
まず一人目、金髪の好青年を絵に描いたようなジミー。
イケメンでさわやか。誰にでも優しく女子にモテモテで、剣の腕も立つ完璧超人だ。
昔は一緒によく遊んだりもしたが、ジミーがちやほやされ始め、周りからの扱いが変わってきて10歳を過ぎた頃からあまり話さなくなった。
裏で絶対僕の事を馬鹿にしているに違いない腹黒野郎だ。顔が良い奴が性格まで良い訳がない。
折角生まれ変わったんなら俺もイケメンに変えて欲しかったよ。前と顔変わって無いし。
もう一人は黒髪ショートヘアーでボーイッシュ、元気でスタイルが良く武術を得意とする活発な女の子のオサーナ。
魔力があまりないらしく代わりに身体能力が高い。
彼女は最近僕に向ける視線がすごく怖い。遠くから鬼のような形相で睨んでくるし近づこうともしてこない。
相当嫌われている。ジミーと一緒で大きくなってから疎遠になった一人だ。
彼女は正直、物凄くタイプで、恋をしていた時期がある。
幼いころ冗談で告白もした事があって、と言っても「大きくなったら結婚するー」っていう軽い奴。
毎度毎度顔を真っ赤にして怒るけど、反応が楽しく、可愛かったから冗談半分本気半分で言っていた。
もうあからさまに避けてるし、会話なんか以ての外だ。盛大に嫌われたなぁ。
最近ジミーとオサーナは僕に内緒で会っているようだしオサーナはジミーの事が好きなんだと思う。イケメン滅んでしまえ。
最後はショートカットのいつも笑顔で落ち着いた雰囲気のナー。村長の娘でもあり、僕たちが喧嘩するといつも仲裁してくれた。
そしてこの子もジミーに気がある。見たらわかる。熱っぽい視線でジミーとオサーナのやり取りを羨ましそうに見つめているときがあるから。
あぁ・・・俺だけ除け者のイケメンハーレムパーティー。
願ってもなかった展開にゾクゾクしてくる。
どうせ僕なんかが勇者になれるわけないし頃合いを見てパーティーから離脱しよう。
たとえ幼馴染だったとしても嫌味ったらしく俺を見下す奴らなんかどうなっても知らん。
本来なら転生時チート能力が欲しかったが、あの状況じゃ仕方ない。
魔法が使えるだけで良しとしよう。
皆を見返すために一泡吹かせる準備をして明日に整えてなきゃ。ざまあ展開に向け気持ちを切り替えるぞ。
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