第2話 インピーダンス法を目撃したN

 はるか昔、まだ病棟で勤務していた頃の体験を思い出した。美人で仕事も出来、ずば抜けてウィットにとんでいる先輩(Mさん)と、ストレスで太っちょになり、なぜか色の入ったメガネをかけている不審なNが、昼帰りに、昨日もねれなかったじゃん、、とぼやきながら病院をてくてく歩いている時であったか。

 目の前に、学生さんだろうか、お見舞いの方だろうか、かなり若めの女子がミニスカと厚底ブーツを上手いこと履きこなしながら、腰をくねくねさせて歩いていたのだった。デュー○ウォーキングさながらである。すると、厚底ブーツの紐が緩んだのだろうか、ワタクシどもの、疲れてクマだらけで浮腫んだ目の眼前で、女子は足に手を伸ばして前屈し始めたのだった。すでにクネクネ歩きに目を奪われていた我々は、さらに仰天することとなった。50cmほどの近距離で前屈によるアンダーウェアと臀部ならびにお背中が露わとなって、目に入ってきたのだ。しかも突然立ち止まるから、私どもも、真後ろに立って見ている他ない状況であった。女子は、その後、何事もなかったかのように、またクネクネと腰を動かして玄関方向へ去っていった。

 疲れがピークであったワタクシ達に、なんとも艶かしいお姿の女子が目に痛かった。その時突然、学生時代に習ったと思われる言葉が浮かんできたのだった。「インピーダンス法」。電気の回路のなんかだったか?オームの法則的な?もはや詳細不明だが、なぜかこの言葉が降りてきたのだ。そして、知らぬまに言葉に出てしまっていたらしい。気がついたら隣のM様が腹を抱えて爆笑していた。淫靡ーダンスって!!その後、しばらくこの言葉が2人の間で流行っていたのでした。

 

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