俺が離したくない人
黒羽冥
第1話なんと!!
「ぐっ!?愛華ぁぁぁさぁぁぁーーーーーっん!?」
俺は彼女の手を取り叫ぶ。
「こうすけ君!!??」
彼女の手はとても温かく柔らかい。
だけど今…その手には力強さを感じる。
彼女の握る手にはいつも以上の力を感じる。
そして俺もまた、そんな彼女の握る手により一層の力を込める。
ああ…握った彼女の手に思わずドキドキしてしまう。
あれ?
そう…俺達は今…手を取り握りあっているのだ。
今なぜこんな事になっているのか!?
◇
◇
◇
俺は今日、普段通り会社に出社をした。
そして普段通りに仕事をこなし、丁度昼休憩になった。
俺はいつも弁当を持ってきており…よく今いる屋上で昼食をとっていたのだ。
モグモグとあっという間に昼食をとった俺。
ご飯に海苔を敷き、卵焼き、千切りキャベツのみ。
男が詰めてくる弁当なんてこんな物だろう。
そんな事も考えた事もあるが…俺はこの弁当に愛着を覚えていた。
「ふぅ……今日も美味かったな。」
俺が昼食をたいらげ…空の弁当箱を包む。
そんな時…女性の声が聞こえてきた。
「あれ??こうすけ君??」
「あ!愛華さん??」
俺に声をかけてきたのは会社の新人で僕の後輩にあたる『
気軽に声をかけてくる親しみやすい子だ。
彼女は人当たりもよく、みんなに好かれてる女性。
そして人気も高い人種でもある。
そう…それは俺とは正反対の彼女。
俺は見た目で非モテな人種なのである。
それはさておき、彼女は俺の側まで来るとお弁当を広げる。
「へへぇ!ここでご飯いただきます!」
「あ、ああ!どうぞ!」
そういうと彼女はモグモグと俺の隣りで、昼食をとりはじめる。
彼女の弁当は…なんと、サンドイッチ!!
これは可愛いではないか!?
俺がそんな事を考えてると彼女は一生懸命パンを頬張る。
気がつくと彼女の口の端にパンくずがついていた。
(うわぁぁぁ!これは更に可愛いぞ!!)
俺は心で叫んでいた。
「ん?どうしたんですか?」
「い、いや、なんでもない。」
「そうですか??ん?あ!?」
俺は思わず目を伏せてしまっていた。
そこへ突然突風が吹き起こる。
すると彼女は立ち上がり歩き出す。
「えっ?」
俺は彼女に目を向ける。
すると、彼女はなんと!飛ばされたハンカチを追っていた。
ヒラヒラとハンカチは空を飛び。
ビルの上から飛んでいこうとしていた。
すると…追っていた愛華さん!
さらに吹き起こった風。
いつしか愛華さんの身体は屋上から身を乗り出そうとしていたんだ。
僕は思わず走る!!
そして彼女の手を握っていたんだ。
◇
◇
◇
「ぐぬぬ!愛華さんっ!!??ぐぬぬ!!」
「こうすけ君!!??はなさないで!!」
思わず彼女もそう叫ぶ。
「当たり前だ!!!!!離すもんか!!!」
俺は彼女の手を握り必死に引き上げようとする。
「ぐ!!ぐぉぉぉぉーーーーーーっ!!??」
◇
◇
◇
数分後。
「ハァハァ……良かったーーーー!!」
「はぁはぁ…ありがとう……こうずげぐうううん」
目から涙をたっぷりとながしながら俺にしがみついている愛華さん。
こんな彼女もとても可愛いと思ってしまう。
「もう大丈夫だよ。」
「うん……ふぇぇぇ。」
「愛華さん…大丈夫だって…ね?」
「うん…うん……でもね。」
「ん?なに??」
彼女は俺に力強く…しがみついてくる。
「はなさないで」
「えっ??」
◇
◇
◇
俺はどうやら離したくない人を見つけたらしい。
俺が離したくない人 黒羽冥 @kuroha-mei
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