★1 妖気が陽気な妖鬼だYo!!!!
タイトル:妖気が陽気な妖鬼だYo!!!!
キャッチコピー:妖鬼と人間が織り成す、ド派手アクションバトル 開幕!!
作者:nira_kana kingdom
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330653966362243
評価:★1
【あらすじ】
いつもクラスの端っこにいる典型的な陰キャ。それが須藤章正という人間だ。彼は過去のトラウマから不登校になり、家族にも煙たがられる惨めな生活を送っていた。そんなある日のこと、彼はコンビニから帰る途中、妖魔という化け物に襲われてしまう。その日から、彼の運命は大きく変わってしまった。苦しみの先に彼が見つけたものとは……!?
【拝読したストーリーの流れ】
本作の作者であるnira_kana kingdomさまは、前回批評いたしました『カラオケでたまたま相席した美少女が、推しの超人気歌い手だったんだが』の作者でもあります。
また本作には『プロローグ 前編』と『プロローグ 後編』がありましたが、それぞれ225文字・650文字と非常に短かったので、これらを含めた第5話までを批評の対象とさせて頂きます。
高校に入学早々、引き籠りとなった主人公「須藤章正」は日々を自堕落に生きていた。
小・中学で良い事はなく、高校に入っても勉強について行けず友達もいない。
そんな「章正」は学校を休みゲームに興じるが、当然のように両親から叱責をもらう。
説教の末に夕食を抜かれ、仕方なしに深夜のコンビニへと向かった。
だが、その帰りで女性の悲鳴を耳にする。
どうすべきか悩む「章正」だったが、父の説教の言葉を思い出して現場へと向かってしまう。
そこには首なしの死体があり……
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルはまるでラップのように韻を踏んでいますね。個性的であるという意味では非常に良いと思います。
ただ本文を読んでみますと、タイトルとの印象のギャップが大きいと感じました。
本作は「シリアスで、かつダーク」な雰囲気がしますので、個人的にはタイトルもそちらに寄せた方が良かったのでは、と思いますね。
続いてキャッチコピーですが、こちらは設定とジャンルの説明ですね。
「ド派手アクションバトル 開幕!!」と言い切ってしまうのは力強くて良いですね。残念ながら第5話までではバトルまで進みませんでしたが、自信のほどが窺えて期待感があります。
ただできれば「本作独自の何か」が提示されていれば、より良かったと思います。
「バトルを派手に書く」というのは「バトルもの」の作者は皆考えていると思いますし、「コピーで大見えを切って、中身は期待外れ」という作品も珍しくありませんので。
【キャラクターの批評】
キャラについては主に主人公について語らせて頂きますが、基本的に良い造形であると思いました。
特に第1話での両親からの説教のシーンですが、「両親の叱責に対して何も言えないが、心の中では悪態を吐いている」なんて非常にリアルで良いですね。
人によっては「リアル過ぎて気分が悪い」と思われるかも知れませんが、私個人としては好印象です。
ただ、ところどころの行動で違和感が目立ちます。
例えば、第2話で「女性の悲鳴が聞こえてから動き出すまで」が長すぎます。なのに動いた理由が「父からの叱責の言葉」という衝動的な理由なのに違和感を感じましたし、その後の行動も危機感を感じているのか感じていないのか、ハッキリしません。
特に、第3話での主人公のセリフは唐突過ぎると思ってしまいました。
そう感じた理由を本編から引用します。以下は「主人公が首なしの死体を見つけたシーン」です。
――――――――――――――――――
「マジかマジか……、間に合わなかった……のか、俺は!」
おそらくこの悔しさと衝撃は一生消えないだろう。この先生きていく中で何度も今の状況が鮮明に蘇るだろう。
しかし、死亡事件が起こってしまったのは変え難い事実だ。今は最大限できることをやらなければいけない。そう思うことで、俺は幾らか冷静さを取り戻した。
俺はまず最初に警察に通報することを考えた。
「とりまスマホがねぇな。親に没収されたから隠し場所は分からないし、連絡手段があるとすればここから五十メートルほど進んだとこにある公衆電話くらいか」
――――――――――――――――――
いきなりセリフが冷静になり過ぎです。とても「一生消えないほどの衝撃を受けた直後」とは思えません。
そして第2話・第3話で共通する問題ですが「主人公の独り言」が多過ぎると感じます。
場面に主人公しかいないので多少は仕方ない部分もありますが、あまりに多いので「コイツ、1人で喋り過ぎだろ」と感じてしまいました。
そのおかげで緊迫感がどんどん下がってしまいます。
あとは第4話で刑事視点の話が少しあるのですが、ここでは名前を出す必要はなかったと思います。
今後も登場するキャラなのかも知れませんが、3人もの名前を出さなくても良いでしょう。
個人的には「3人とも名前を出さない方が良い」と思いますが、どうしても必要なら1人だけの方が読者の負担は少ないです。
少なくとも、登場すらせずに会話だけで出てくる「金田警視」はいらないと思いますね。
【文章・構成の批評】
文章ですが……前作で指摘した「カギ括弧内で改行・空行がある」が頻発しております。これは基本的にしない方が良いと思いますね。
理由は「どこからどこまでがセリフか、非常に分かりづらくなる」からです。
例文として引用した主人公のセリフのような「説明セリフ」が多いのも、地の文とセリフの区別をつきづらくさせている一因だと思います。
また、これも前作で指摘した事なのですが「文章の無駄」が多いと感じます。
前作よりは無駄は少ないと思いますが、【キャラクターの批評】で指摘した「動き出すまでが長い」というのもここに含まれます。
それ以外としては細かい指摘となるのですが、セリフに工夫をしてみた方が良いかと思います。「説明セリフが多い」のもそうなのですが、感情の籠ったはずのセリフも、もう一工夫が欲しいですね。
差し出がましいかとは思いますが、例文として本編からの引用と改善案を書かせて頂きます。
引用
「あっ……、ああっ……、ひっ……、人が……、しっ……、死んで……る!?」
改善案
「ぁ、あぁ……。ひっ……ひひ、人が……っ、ししし、死んで……る⁉」
私の改善案が良いとは申し上げられませんが、本編からの引用文では「リズムが一定で単調」に感じます。
その為、緊迫感も薄れてしまうように感じました。
最後にですが、「空行が長過ぎる」と感じました。
「間」を表現する為に「多くの行間を空ける」というのは分かるのですが、画面全部が真っ白になるほどの空行は流石に長すぎます。
好みもあるとは思いますが、もう少し抑えた方が良いと思いますね。
それでは構成に移りますが、前作と同じくこちらは大きな問題は感じませんね。
問題としては「第1話で、読者の主人公に対する好感度が下がっている」という事でしょうか。
【キャラクターの批評】で述べた通り、個人的には両親の説教シーンは良いと思います。ですが間違いなく「気分を害する読者」もいると思います。
そして私のような読者は恐らく少数派だと思いますので、第1話の見せ方は変えた方が良いかも知れません。
読者にとって主人公とは「作品を読み続けるのならずっと付き合っていく相手」です。その主人公の好感度をいきなり下げてしまうのは悪手であると、最近私も教わりました。
嫌いな相手と付き合いたい人なんていませんからね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーは「伝奇バトルもの」だと思います。(推測なのはバトルまで突入していない為です)
一般人だった主人公がトラブルに巻き込まれ、異形との戦いに……といった感じですかね。
まだ導入部分ですが、良いと思いますね。
この手のジャンルでは比較的よく使われる手法ではありますが、「とある急展開」によるヒキも十分だと思います。(いちおう伏せておきます)
まだ始まったばかりですので、これから次第といったところでしょうか。
設定ですが、現時点での問題点として「主人公が高校1年の5月で登校拒否をしている」という事には違和感を覚えました。
入学して1ヵ月で登校拒否は少し違和感を拭えませんね。
こちらも前作の「カラオケで相席」と同じく、「絶対に有り得ないとは言えないが、普通は起こりにくい状況」だと感じます。
もし問題がなければ「主人公の年齢を1歳引き上げる」事を提案します。
「長期休みが明けてから登校しない」なら、違和感はないと思いますので。
それ以外では、序盤から多数の設定が示されるものの不明な点が多いですね。ですが、決して悪いという訳ではありません。
本作独自の専門用語以外は比較的よく見かける単語が多いですし、専門用語を覚える事は難しくても雰囲気から大体を察する事が可能です。
完全に独自性の高いキーアイテムとして「邪石」というものがありましたが、こちらの説明は追々といった感じですね。
設定に関してもストーリーと同じく、これから次第でしょうか。
【総評まとめ】
総評ですが「作品としての面白さは序盤では未知数。だが可能性は感じる」でしょうか。
最初の5話は導入部分でしかありませんし、特別目立ったオリジナリティもありません。ですが「基本に忠実な話作り」は感じます。
恐らく本作のウリであるバトルもまだ起きていませんし、そこ次第では化ける可能性もあります。
ただ文章に関してはいくつか問題点があり、また第1話での主人公の好感度問題も相まって、バトルまで読んでもらえない可能性もあります。
特に「緊迫感を感じない描写」は問題であると感じます。
あと第10話からPV数が0となっていますが、よく見てみると第9話の投稿から8ヵ月も空いていますね。
投稿間隔が開くと読者が離れてしまうという実例ですね。
こうなってしまった場合、何らかの形で宣伝する必要があるかと思います。
本批評がその一助となれれば良いと、そう思います。
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