★0 響かせろ!あの日の声を!


タイトル:響かせろ!あの日の声を!

キャッチコピー:君がいるから。僕の心に声が戻ってくる瞬間を信じて

作者:ネコを愛する中学生(略してネコ愛)

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093085784737465


評価:★0


【あらすじ】

〜あらすじ〜

中学時代にいじめを受け、声を失った佐藤みのるは、高校でも孤独な日々を送っていた。誰とも話すことなく、ただ周りの目を避けるように過ごす毎日。しかし、彼の平穏な日常は、ある日突然やってきた転校生・白石優奈によって大きく変わり始める。


明るく、誰に対しても分け隔てなく接する白石は、自然な笑顔でみのるに積極的に話しかけ、彼の殻を少しずつ打ち破ろうとする。話せないみのるにとって、彼女との交流は戸惑いと喜びが入り混じったものだった。


だが、過去のトラウマがみのるの心を締めつけ続ける。白石との関係が深まる中で、再びいじめや孤立への恐怖が彼を襲い始める。しかし、白石は彼をそっと支え続け、みのるは少しずつ変わり始める。


この出会いを通して、みのるは自分の声を取り戻すことができるのか。そして、二人の関係はどのような結末を迎えるのか――。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は1話が非常に短い作品です。

 第5話までの文字数は227文字~575文字しかなく、ストーリーは【あらすじ】までしか進んでおりません。

 その為、誠に勝手ですが本作は現在公開中の最新話である第6話までを読ませて頂きました。



 中学時代にいじめを受けて、それが原因で声を失った主人公「佐藤みのる」。

 声が出せなくなって、それが当たり前になり、学校に行っても誰も話しかける事もない。

 だがある日、1人の女の子「白石優奈」が「みのる」に話しかけてきた。


 最初は困惑するだけだった「みのる」だが、実は「優奈」が話しかけてきたのには理由があり……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが、本批評へのご依頼時と変わっておりますね。ご依頼の際のタイトルは『君の声が届くとき』と、まるで詩のタイトルのような静かな雰囲気でしたが、現在は『響かせろ!あの日の声を!』と、非常に力強いものになっています。


 まるで真逆の雰囲気を感じる2つですが、個人的には変更前のタイトルの方が良かったと感じます。

 本作の主人公は「いじめを受けていた」という設定からか、内気で物静かな雰囲気を感じます。変更前のタイトルの方が作品には合っていると思いますね。



 続いてキャッチコピーですが、こちらは変更前のタイトルのような雰囲気は良いと思いますね。

 懸念点を挙げるなら「心に声が戻ってくる瞬間」という言葉が若干意味が伝わりづらく感じる点と、「文字色が薄ピンク」に設定されている点です。


 前者に関しては「詩的な雰囲気で読者の気を惹く」という意味でしたら悪くないのでは、と思います。

 本批評の最初にある『ご挨拶とルール説明』で述べた通り、私は詩などはよく分かりませんが、雰囲気は悪くないと思います。


 ですが「文字色」は変更した方が良いと、個人的には思いますね。

 こちらも雰囲気的には合っていると思うのですが、「カクヨムの背景は白」ですので、文字の色が背景に溶けてしまいます。薄い文字色は目立たなくなりますので、基本的には使用しない方が無難だと思いますね。(なぜ、カクヨムはこんな配色設定にしているのか疑問ですが……)



【キャラクターの批評】

 キャラクターですが、(文字数が少なくて)主人公以外のキャラは評価できるほどの情報がありませんね。

 ただ、その主人公の設定は「共感しづらい」と感じました。


 主人公は「中学時代のいじめが原因で声を出せなくなった」という設定ですが、どうやら怪我などではなくストレス性によるもののようです。(心因性失声症?)

 当然ですが読者のほとんどは経験をした事が無く、想像も難しいと思います。

 一歩引いた目線から「かわいそう」と感じる事は容易ですが、「主人公を自分の事のように感じる」のは難しいと思いますね。


 それと揚げ足取りのようですが、第3話で主人公はヒロインに話しかけられて「誰かが僕に話しかけてくるなんて何年ぶりだろう」と思っています。ですが第2話で母親に「行ってらっしゃい」と言われているんですよね。

 「親を気に掛けない子供」というのはリアルだとも思うのですが、一部の読者からは嫌われてしまいそうに感じました。



【文章・構成の批評】

 文章は非常に読みやすく、ストレスは一切感じません。キレイな文章を書かれています。


 ただ作品の傾向を見ると、もう少し情緒的な文章があった方が良いのでは、と感じてしまいました。

 「起きた出来事」「主人公の気持ち」は描かれているのですが、それ以外はほとんど書かれていません。情景や時間の流れを感じさせるような文が要所にあれば、一気に雰囲気が良くなると思いますね。


 あと、毎回エピソードの最後に「つづく」で締められているのですが、個人的にはチープに感じてしまい、作品世界から現実に戻されるような気になってしまいましたので無い方が良いと思います。(本当に個人の感想ですが)



 次に構成ですが、まず「文字数の少なさ」が挙げられますね。

 「1話の適切な文字数」に関しては諸説があり、読み手によっても異なるので最適解は無いと思います。

 ただ個人的には、もう少し読みごたえが欲しいと思いました。



 それ以外ですが、「状況や因果を分かりやすく書けていない」という問題を感じました。


 第2話で主人公に話しかけてくるヒロインですが、文中では本当に唐突に話しかけてきます。

 「HRなどで教師から紹介される」ところが抜けているので、転入生だという事も分からず、状況が分かりません。(エピソードタイトルが『転校生』ですし、第3話でヒロインが「転校してきた」と言いますが)


 そしてヒロインが主人公に話しかけた理由ですが、第2話で「転入生だから、主人公が声を出せない事を知らなかった」と読者に推測をさせます。

 しかし実は主人公とヒロインは中学時代に面識があり、ヒロインは第3話で主人公に気付いた描写があります。ですが続く第4話で「何て名前なの?」と聞いてきます。

 そして続く第5話・第6話で、ヒロインは主人公に恩があったという事が判明します。


 「この流れは絶対におかしい」というものではありませんが、話の流れをスムーズに理解する事を妨げているように感じます。

 せめて第3話で主人公に気付いたのなら「名前を聞く」よりも、「名乗っていないのに何故か名前を知っている」の方がベターな演出だと感じますね。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーは「声を出せない主人公が、ヒロインとの交流で声を取り戻す物語」ですかね? 王道なら、主人公とヒロインの配役は逆だと思いますね。

 第6話の時点では王道を避けた事が良い方に出ているのか、悪い方に出ているのかは判断できませんが、個人的には「あまり良くないのでは?」と感じました。


 まずは【キャラクターの批評】で述べた「主人公に共感しづらい」という問題があります。

 本作のように一人称で書かれる作品の場合、やはり主人公はなるべく読者に近い目線の方が基本的には良いと思いますね。


 そして「助ける側は主人公」の方が、カッコよく映ると思います。

 主人公が助けられてはダメだという事はありませんが、やはり基本は主人公が「助ける側」の方が良いと思いますね。

 下手をすると「ヒロインに助けられてばかりの情けない主人公」となってしまうかも知れません。(あくまで想像です)


 話が進んでいませんので何とも言えませんが、現状では「王道を外した利点は、まだ出ていない」と思いますね。



 そして設定ですが、こちらは盛大に説明不足ですね。

 まず主人公の年齢などは書かれていません。「いじめを受けたのが中学時代」であり、「学校に通っている」という事から高校生だとは思うのですが、明記されていない為に確証はありません。(同様の疑問を感じた読者がコメントで質問し、作者が「高校生」だとは言っていました)

 読者に隠す理由も無いと思いますので明記した方が良いと思います。


 そして「いじめの詳細」も不明です。

 いじめの内容もそうですが、第2話で「いじめも前より少なくなったけど」とあり、「いじめは無くなっていない」事が分かります。

 ですが主人公が高校生なら、中学時代のクラスメイトとは別ですよね? 「なぜ、いじめが続いているのか?」が全く語られておりません。


 「声を失う程のいじめを受けながら、普通に通学している」のも、少し疑問です。

 もちろん私はそのような経験はありませんが、不登校になってもおかしくないですよね? というか、その方が自然に感じます。(現在もいじめがあるなら尚更)

 ここも説明がない為に「主人公への共感」を妨げているように感じます。



【総評まとめ】

 総評ですが「話が進んでいなくて現状では評価不能。だが期待感は薄い」ですね。


 話が進んでいないのはしょうがないと思います。文字数が少ないのも、人によっては「気軽に読みやすい」という利点もありますので絶対に悪いという訳ではありません。


 期待感が薄いとした理由ですが、だいたいこれまでの批評で説明した通りです。

 「主人公への共感性が低い」「文章に雰囲気や情緒を感じない」「状況や因果が分かりづらい」「説明不足」ですね。

 更に付け加えると「キャラ・設定・ストーリーに個性が無い」事が挙げられます。


 文章にクセがなく、非常に読みやすいので「ただ読むだけ」なら読める作品です。

 ですが「面白いか」と問われれば、私は首を振りますね。

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