★1 少女は呪いを背負い、銃を持つ。研究所が生み出す負の連鎖を断ち切る為に。
タイトル:少女は呪いを背負い、銃を持つ。研究所が生み出す負の連鎖を断ち切る為に。
キャッチコピー:対物ライフル担いでいざバイトですっ!
作者:さんばん煎じ @WGS所属
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093082429632606
評価:★1
【あらすじ】
バイト生活を送る少女、南風観夢。しかしその正体は能力者。ARCという極悪研究所に少女が立ち向かうっ。
シリアス8割コメディ2割のミリタリー(?)現代ファンタジーここに開幕っ!
【拝読したストーリーの流れ】
本作は、別の作者さまが起こされた企画『主人公達が集まる町、起眞市』に参加されている作品のようです。
同企画は「複数作家による作品の舞台を、『起眞市』という架空の市を舞台にしませんか?」という企画でして、本作品も「起眞市を舞台」とした作品となっております。(本批評とは直接関係がありませんのでURLは貼りません)
また本作の作者である、さんばん煎じ @WGS所属さまは、以前に批評させて頂いた『【カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募作品】ゲーム知識とチートのせいで物語の中心に引きずり込まれる主人公のお話。』の作者様でもあります。
最後に、本作のエピソードタイトルにはナンバリングがありませんでしたが、本批評内では1話目を「第1話」という風に呼称させて頂きます。
起眞市にある使山神社に住む主人公「南風観夢」。彼女は日々バイト生活を送っていた。
運送会社で1トンもの重量物を運び、それが終わればコンビニのバイト。
そんな中でも一風変わったバイトは、武器工場を壊滅させたり、要人の暗殺などだ。
人間離れした身体能力と、怪力をもたらす「パワードアーム」や銃火器を駆使して「観夢」は危険なバイトも難なくこなす。
そんな「観夢」は、当然普通の人間ではなく……、といったお話でしょうか?
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルですが……最序盤の展開とのギャップが激しすぎるように感じました。
【あらすじ】には「シリアス8割コメディ2割」とありますが、物語冒頭は「コメディ」から始まります。(「シリアス」も、言うほどシリアスには感じませんでしたが)
タイトルの良し悪し以前に、本作の作風とはあまり合致していないように感じますね。
続いてキャッチコピーですが、こちらは良いと思いますね。
「対物ライフルを使うって、どんなバイト?」と単純に興味が湧きますね。(まぁ、容易に想像はつきますが)
ただ、間に読点を挟んだ方が読みやすくなるとは思いました。
『対物ライフル担いで、いざバイトですっ!』の方が良いと思いますね。
【キャラクターの批評】
キャラですが、主人公は非常に良いと思いますね。
基本的に前向きで常識に疎い、少しおバカな軽い雰囲気で始まるのですが、戦闘が描写され始めると倫理観の欠如が伝わってきます。ですがその事で最初のイメージが損なわれる事は無く、良い感じでマッチしていると思いますね。
ただ、主人公以外は何とも言い難いですね。
まず「運送会社の作業員たち」が、「パワードアーム」を使って1トンもの重量物を運ぶ主人公を見ても「怪力の嬢ちゃん」としか思っていない事ですね。
本作の世界は最初に述べた「起眞市」が舞台なので「基本的には現代日本」ではないかと思うのですが、どう見ても現代日本ではないですね。
本作が参加している「起眞市」のレギュレーションも確認しましたが、大丈夫なんですかね? 私には本作はグレーだと感じましたが。(本批評とは関係はないのですが)
そして第5話で暗殺依頼の仕事を持ってくる「依頼人」(仲介のエージェント?)が登場するのですが、彼と主人公の会話は大半が意味不明でした。
「依頼人」どころか、主人公すらも立場や目的が明かされておらず、急に「組織」などの単語も飛び出してきます。(もちろん「組織」の説明もありません)
2人の関係も不明なまま、暗殺依頼と武器を手渡されます。(ターゲットも、「どういう人物なのか?」「なぜ依頼されたのか?」は語られません)
読者に与えられている情報が何も無いまま話を進められるので、キャラの魅力を感じる以前に疑問しか湧いてきませんでした。
【文章・構成の批評】
文章ですが、前回の批評では「読めるレベルではない」とまで言ってしまいましたが、本作では「読めるレベル」になっていると思います。前回から比べると成長が著しいですね。
ですが、 たまに意味不明な文章がありますね。
「着地と同時にターゲットの首をもぎ取り、ゆっくり義彦にします」って、どういう意味でしょうか?(ギャグ?)
続いて構成ですが、大きな問題を2つ感じました。
1つは【タイトルの批評】で述べた、「冒頭がコメディで始まる」という事です。
【あらすじ】に書かれているように本当に「シリアスが8割」なら、序盤とその後のギャップが悪い方向に作用する可能性が高いと感じます。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーですが、申し訳ないのですがよく分かりません。
【タイトルの批評】で申し上げましたが「シリアス8割」とありますが、私にはそれほどシリアスには感じませんでした。
では全編通してコメディなのか? と問われれば首を捻ります。
最序盤は間違いなくコメディだと思うのですが、戦闘ではエグイ描写もあり、しかしシリアスな描写でもなく、何とも表現しにくいですね。
主人公は平気で人間を惨殺するなど明らかに一般的な倫理観を持っていないのですが、運送会社やコンビニでバイトをするくらいの一般常識も持っているんですよね。
「面白くない」という訳ではないのですが、本作のジャンルというか「向かっているところ」はよく分かりません。
あと細かいのですが、銃器の出し方が雑に感じます。
第3話で主人公は対物ライフルを持って武器工場を壊滅させるのですが、その標的は全て「生身の人間」です。
完全に運用を間違えています。(ワザとだとは思いますが……)
そして第5話で暗殺依頼を受けた際には武器として拳銃を受け取るのですが、一切使わずに素手で全滅させています。
なぜ拳銃を出したんですかね?
シリアスシーンをシリアスに感じないのは、この辺りのせいもあります。
それでは設定ですが、第4話で「主人公のルーツをほのめかすような詩(?)」が書かれています。
そこから推測すると、主人公は「何らかの組織が生み出した、サイボーグか人造人間」ですかね?
設定はシリアスっぽいですね。
ただそうなると、主人公の異常な力を目にした運送会社の人間が「怪力の嬢ちゃん」と呼ぶのは矛盾を感じてしまいますね。
「主人公の力は異常であり、それには明確な理由がある」のなら、「何も知らない一般人は受け入れられない」のが自然ですから。
【総評まとめ】
総評ですが「まとまりの無い作品」ですね。
そうなってしまった大きな原因の1つは「シリアスとコメディの境界がない」という事が挙げられると思います。異なる2つのジャンルを1つの作品にする場合、明確にパートを分けた方が良いと思いますね。
そして、その為か「この世界における常識」も分かりづらく感じました。
「一般人が主人公の能力を見てもさほど驚いていない」「銃器が普通に登場し、対物ライフルまで使用する」「武器生産工場がある」など、どれも現実の日本とはかけ離れています。
ギャグなら「そういう設定なんだ」と納得も出来ますが、シリアスなら「そうなった理由」がなければ受け入れるのは困難に感じます。そして本作に「そうなった理由」は書かれていません。
これらの為に「どんな心構えで読めばよい作品」なのかが、分かりませんでしたね。
色々と問題点の多い作品だと思いましたが、主人公のキャラは良く、文章も一部の意味不明な文章以外は読めるレベルでした。
今後の見せ方次第では普通に面白くなるポテンシャルを持っている作品だと思いますので、★1とさせて頂きます。(本音を言うと★0とするか迷った作品です)
【追記】
本作は作者さまの要望により、第8話相当の回までを読んで追記します。
第8話までを拝読させて頂きました。
第6~第8話の3話はエピソードタイトルに「コラボ回」と書かれており、本作と同じく『起眞市』を舞台にした別作品とのコラボだと思われます。
まずここで1点、問題が浮かび上がりました。
エピソードタイトルには「コラボ回」と書かれているのですが、本文中にそれを説明する文章は一切ありませんでした。
「コラボである事の説明」「コラボ先の作品の説明」が抜け落ちています。
これではコラボをした意味が無いのではないかと思いますね。
コラボは、ただ別作品のキャラを登場させれば良いという訳ではありません。
他作品を自作品に招待する事で「互いのファンを、互いの作品に呼び込む宣伝」が主目的です。
せめて、コラボした作品のタイトルくらいは載せるべきだったと思いますね。
そして内容なのですが……コラボだという事を考慮に入れても問題だらけだと感じました。
主人公がねぐらにしている神社で武器の手入れをしていると突如、地雷の轟音が鳴り響きます。(地雷は主人公が仕掛けた物です)
そこには地雷で足を失った少年がいたのですが、驚異的な回復力で足が回復します。
主人公はそれを見て、「研究所からの刺客」ではないかと思い始めます。
そこからは問答無用で主人公が襲い掛かり、少年は応戦するという流れです。
ひたすら銃撃戦の描写だけが第8話まで続きます。
主人公の軽妙な語りや、少年の特殊な能力など見所がない訳ではないのですが、話としては全く意味が分かりません。
「コラボ回」と銘打っているのですから、「本編とは直接関係がない」という意識も相まって「何を読んでいるのか」さえ分からなくなりました。
そしてやはり最大の問題は、「コラボ相手へのリスペクトを全く感じない」というところです。
戦闘は終始、主人公の視点で描かれるので仕方のない部分もありますが、戦闘において少年の良い所はほとんど見られませんでした。
これを見て「コラボ相手の少年、カッコイイな。コラボ先も読んでみよう」とは、中々ならないと思いますね。
更にコラボ相手の名前をずっと「少年」と呼び続け、戦闘が終わった後に(しかも本人は気絶中で)やっと名前が出てくるというのは大問題です。
コラボなら、真っ先に紹介するべき所でしょう。
【追記】分の総評ですが、「コラボというなら、ちゃんとコラボしよう」ですね。
どちらの作者からコラボの話を持ち掛けたのかは分かりませんが、もし私の作品のキャラがこんな扱いを受けたら怒り狂いますね。
自分の作品が1番大事だというのは分かりますが、それは相手も同じです。相手の作品を立てる事が出来ないのであれば、コラボなどするべきではないというのが私の考えです。
……コラボではない視点の評価ですか?
よく分からない相手と、ひたすら銃撃戦をするだけでしたね。
表現的な見所はなくもありませんが、絶賛する程でもありません。
そしてストーリーは「無」ですね。
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