★2 話題作りに出馬した市長選で当選した底辺ダンジョン配信者。論破王としてバズるw
タイトル:話題作りに出馬した市長選で当選した底辺ダンジョン配信者。論破王としてバズるw
キャッチコピー:底辺ダンジョン配信者→「市長」兼「論破王」
作者:松本生花店
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093080549226564
評価:★2
【あらすじ】
売れていないのに無駄に活動年数だけが長い底辺ダンジョン配信者、高橋伸二35歳。
彼は売名目的で立候補したダンジョンがある街の市長選に、偶然が重なり当選してしまう。
不幸なことに探索業者組合の組合長から圧力がかかり辞職もできない。
ダンジョンを有効活用とした政策の立案に、ダンジョンを中心とした市政の運営……。慣れないこと仕事に全力で取り組まされて、彼のストレスは募る一方だった。
なのでうさ晴らしに、長年の配信で培ったダンジョン知識とトークスキルを武器に突っかかってくる老害議員達を論破しまくっていたら……。
これは不本意な形で初めてバズってしまい、全国屈指の有能な首長だと崇められた男の物語である。
【拝読したストーリーの流れ】
本作は第4話の後が『掲示板の反応』というエピソードであり、その後に第5話が続くのですが、本批評は『掲示板の反応』までを対象とさせて頂きます。
また本作はタイトルに「市長」とある通り、「市の財政」や「議会」など政治的な話がメインとなりますが、私には政治や市の運営などの知識は全くありません。
トンチンカンな批評をしてしまったら手厳しく指摘して下さい。
202X年、世界にはダンジョンが発生していた。
日本に10カ所あるダンジョンの内の1つがある「備後市」に住む、底辺ダンジョン配信者の主人公「高橋伸二」は、ただ売名行為の為だけに市長選挙に立候補した。
だが生配信をしている最中に、自分が当選してしまった事をニュースで知る。
慌てて原因を探る「高橋」だったが、視聴者の証言で、同じダンジョン配信者の「和木ゆず希」の仕業である事が判明する。
最初は当選を辞退しようとする「高橋」だったが、強大な影響力を持つ「ゆず希」には逆らえず、結局市長となる事に。
だが議員や市役所員が素人市長の「高橋」を快く思っている訳もなく、露骨な排斥工作を行ってくるのだった……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは説明文タイトルですね。
初期設定が非常に分かりやすく、また「市長」という変わった配役にも興味が湧きます。
良いと思いますね。
ただ「論破王」という単語は「ひろ〇き」氏を連想させてしまい、それだけで好みが別れてしまいそうですね。
彼をオマージュ(?)した作品もありますし、人気もあるとは思うのですが、個人的には「諸刃の剣だな」と感じてしまいました。
続いてキャッチコピーですが、ここでは「ある読者層」を失ってしまっている様な気がします。
『底辺ダンジョン配信者→「市長」兼「論破王」』となっていますので、作中で主人公は「ダンジョン配信」はしないものと読み取れてしまいます。
「ダンジョン配信もの」を期待した読者は去ってしまうかも知れないという懸念を感じました。(5話以降は分かりませんが、第4話までの時点ではダンジョン配信のシーンはありません)
あと細かいですが『「市長」兼「論破王」』という表現には違和感を感じますね。
「市長」は役職ですが、「論破王」は称号(?)ですから。これらを兼ねる事を殊更に強調するのは少し違和感を感じます。(「ダンジョン配信者」兼「市長」なら強調する意味も分かるのですが)
【キャラクターの批評】
キャラクターはメリハリが効いていて良いと思いますね。
主人公は流されるままに市長になってしまうなどダメダメな部分もありますが(キャラとしてではなく、人として)、キメる所はキメるというカッコ良さもあります。
他のキャラ、特に主人公を排斥しようとする敵対議員などですが、「リアルに考えるなら」少しワザとらし過ぎる気はします。
ですが本作は「コメディ色」が強い作品ですので(タグに「コメディ」はありませんが)、「分かりやすい敵キャラ」としては非常に優れたデザインです。
最後に、あくまで私の個人的な感想ですが、エピソード『掲示板の反応』での主人公に対するスレ民の評価は少し高すぎると感じましたね。
賛否両論とするか、むしろ「否」の意見の方を多くして、物語の進行と共に少しずつ(あるいは大きな事件で一気に)「賛」の意見を多くした方が映えるのではないかと思いました。(本当に個人の感想ですが)
【文章・構成の批評】
文章は全体的に読みやすく、理解もしやすい良文だと思います。
ただセリフの長文が多く、また基本的にセリフの間には空行がない為に会話が連続する場面などは読みにくさも感じました。
長文セリフを少なくし、セリフの間に空行を設けたり、セリフの間に地の文を設けたりする事でだいぶ緩和されるかと思います。
また第1話では、生配信の視聴者コメントのセリフもありましたが「””」で表現されています。
ここも『掲示板の反応』でのように、「コメントのセリフ」である事を強調した方が読みやすくなると思いますね。(現状では非常に詰まって見えます)
構成ですが、全体的にソツなく良いと思いますね。
第1話で主人公の現状や市長となってしまった事を描き、第2話で主人公を排斥しようとする動きを見せ、第3話・第4話で主人公の反撃が描かれます。『掲示板の反応』は、スレ住民たちの主人公への評価ですね。
舞台説明・経緯・主人公のピンチや活躍など、見せるべき所を見せてくれているように感じます。
あえて難点を指摘するなら、女性キャラが3人も登場して「ヒロイン枠かな?」とも思わせるのですが、描写が少なくあまり目立ってはいない事でしょうか。(大した問題とは感じませんが)
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーは「主人公が市長になる」という、非常にユニークなものです。ファンタジー作品などで「領主になる作品」は溢れていますが、「現代もので市長」は珍しいですね。
内容も「対立派の議員たちをやり込める」という、あまり見ないタイプの作品です。
オリジナリティがあって、個人的には好印象ですね。
問題としては、「市の運営」という読者の知識によっては見え方が全然変わってしまう部分ですかね。
私は冒頭で述べた通り政治や市の運営に関する知識はゼロですが、それでも「これは少しムリがないかな?」と思う部分もありました。(一度、承認して提出した書類を改竄するなど)
基本が「コメディ」っぽいので突っ込むべき所ではないとは思いますが、深い知識を持っている読者なら「おかしいだろっ」となるかも知れません。(心配のしすぎかもしれませんが)
そして設定ですが、第4話の時点では「ダンジョン」は別に要らない感じですね。ただの「動画配信者」でも問題はないストーリーです。
ただ「ダンジョン配信もの」というジャンルは流行っているようですし、読者獲得には一役買っているとは思います。(【キャッチコピーの批評】で書いた通り、本作でダンジョン配信をするかどうかは分かりませんが)
また、先のエピソードタイトルでは『第18話 モンスター災害から市を救う高橋の決断』や『第20話 レッドドラゴンを無傷で深層に返す高橋』といったエピソードがありますので、ここら辺では「ダンジョン」という設定は活きてきそうです。
【総評まとめ】
総評ですが、「リアルとコメディのバランス感覚が優れた作品」ですね。
「市の運営」やタイトルなどにもある「論破」ですが、普通に読む分には問題なく楽しく読めますね。「全く説得力がない」という訳ではありません。
専門知識がなくても読めますし、「リアル」な部分と「コメディ」のバランス感覚が絶妙に感じます。その為、「なるほど」と感じる部分と「そうはならんやろ」というツッコミが心地よい頻度で起きます。(人によって感想は変わりそうですが)
そして「ダンジョン配信もの」というジャンルですが、やはりリアルに考えれば少し無理があると思いますね。(流行っているようですが)
それはシリアスになればなるほど弊害が出てきますので、コメディに舵を切った本作は問題は少なく感じます。
最大の懸念点は、最新の第21話の更新が8/30であり、その後は10/20の『まだ早いですが予告です』というエピソードの投稿で止まっている点ですね。
やはり投稿間隔が開くと、読者は一気に離れてしまうと思います。
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