★1 音符を守れ!
タイトル:音符を守れ!
キャッチコピー:【㊗1100PV】音符が奪われちゃう?そんなの、私が許さない!!
作者:石川 円花
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093077144001773
評価:★1
【あらすじ】
私、符川和音。
今日から中学生。
トランペットの実力者。
大好きなおばあちゃんが死んでしまって、トランペットが思うように楽しめない……。
そんななか、私の「My music ファイル」の音符が消えちゃった!
選ばれた私達だけで、解決しないと駄目!?
ドキドキのバトル、開幕!?
【拝読したストーリーの流れ】
本作の作者である石川 円花さまは、以前に批評させて頂いた『リーフ~ファッション部とお嬢様~』の作者でもあります。(該当作は現在は『私色に染まりたい~ファッション部とお嬢様~』と改名されています)
音楽家の家系に生まれた中学生になったばかりの主人公「符川和音」は、大好きな演奏が楽しめなくなってしまっていた。
それでも明るく、音楽を楽しもうとする「和音」の前に幽霊少女が現れる。
幽霊少女は「和音」と友達の「五線梛」にしか見えなくて、吹奏楽部の先輩を呪ってしまって、先輩は音楽が嫌いになってしまった。
幽霊少女から逃げる「和音」と「梛」だったが、2人の目の前に1人の男の子が現れる。
亡くなったおばあちゃんから貰ったブレスレットの力と、男の子「坂本歩翔」の指示に従って3人は幽霊少女を倒した。
こうして世界から音楽を守る為、3人は『ミュージック使い』として戦う決意をしたのだった……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルはシンプルですが、非常に力強くて良いですね。
一見意味不明ですが、音楽が重要なテーマである事は分かりますし、「守れ!」という単語から「何らかの危機に陥っている」「それを守る決意をしている」という事が分かります。
非常に短い言葉で、大量の情報が伝わる良いタイトルだと思います。
ただ本作のジャンルを考えると、もっとポップでキャッチーなタイトルが欲しいとは思いますね。
続いてキャッチコピーですが、こちらは主人公のセリフですかね。
この「音符が奪われる」という言葉で超常的な世界観だという事が分かりますし、「そんなの、私が許さない!!」というセリフや他の単語の雰囲気から「女児向けヒーローもの」というジャンルも想像がつきます。
こちらもタイトルの捕捉となる上に、設定や主人公の雰囲気などが伝わる良いコピーだと思いますね。
【キャラクターの批評】
キャラクターですが、まず主人公の基本的な造形は良いですね。
底抜けに明るく、辛い事があってもクヨクヨし続ける事はありません。第五話まででは特に描写はありませんでしたが、それなりに正義感や使命感も強そうに感じました。
ただ【構成】で後述しますが、第一話のラストのシーンが主人公に共感できずに白けてしまった読者はいると思います。
そして主人公は良いと感じたのですが、友人の「梛」は造形が良く分かりませんでしたね。
いわゆる「女児向けヒーローもの」の主人公の仲間なのですが、他には「鳥が寄ってくる体質」「美少女で、クラスメイトから『バード様』と呼ばれている」「運動音痴」などの設定があるのですが、設定ばかりで「個性が見せれていない」と感じてしまいました。
設定ではない、「生きた個性」が欲しいですね。主人公は「生きた個性」を感じましたので、余計にそう思ってしまいます。
また「梛」という名前は、本作の主な読者層などを考えると読みにくいとは思います。「ナギ」とカタカナで表記するのはいかがでしょう?
主人公たち『ミュージック使い』3人だけをカタカナ表記にすれば特別感も演出できるのではないでしょうか。
あとは、少し登場キャラが多いですね。
第五話までの話ですが、一言しかセリフの無いキャラまで名前が付けられており、その必要性を感じません。
また、セリフに特徴が少ない為に「誰が喋っているのか分からない」という事も何度かありました。
【文章・構成の批評】
文章は、前回批評させて頂いた作品と同様の問題がありますね。
「誤字がある」「改行が多いのに空行が無い」「話の導線がしっかりと引かれていない」これらは前回と変わりありません。
また前回は取り上げませんでしたが、書式が安定していません。
文頭の一字下げがあったり無かったり、二字下げになっていたり。感嘆符(!)や疑問符(?)の後に空白があったり無かったり。「 」にも一時下げがあったり無かったり。と、全く安定感がありません。
申し訳ありませんが、全体的に文章は読みにくいですね。
対象年齢の低い(と思われる)本作では「読みやすさ」「理解のしやすさ」は、中高生以上をターゲットにした小説よりも重要だと思います。
それでは構成に参りますが、まず【キャラクターの批評】で申し上げた第一話のラストのシーンですが、第一話でいきなり「亡くなったおばあちゃんを思い出して泣き出す主人公」を見せるというのは早計に感じましたね。
第一話では、当然ですが読者はまだ主人公の事を何も知りません。感情移入が出来ていないのです。
それまで明るかった主人公が突然おばあちゃんを思い出して泣き出す様子は、読者の視点としては唐突過ぎて戸惑ってしまいます。
後の展開を鑑みるに「作者にとっては必要な演出」だったのだろうとは思いますが、私としては「別のアプローチ」の方が良かったと思いますね。
それと、「最初の事件」としては幽霊少女が登場してから倒すまでが冗長に感じてしまいました。
主人公が幽霊少女を目撃してから、「梛」と共に目撃して吹奏楽部の先輩が呪われ、追いかけられて逃げ出し、主人公の楽譜帳に異変が起き、その異変を解決しようとして、また幽霊少女から逃げて、先輩が呪われている事に気付き、また幽霊少女に追いかけられて、やっと倒します。
こちらも前回の作品で指摘した点と同じく「話があっちこっちに行ったり来たりしている」という問題がありますね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーは「女児向けヒーローもの」として非常に良いですね。
音楽をテーマにしている事から「プリ〇ュア」よりも、昔に有名だった「おジャ魔女ど〇み」を彷彿とさせますね。
ただ二番煎じ、三番煎じと言われようが「変身」でもさせた方が、より「それらしく」なって良かったのではないかと思います。
設定ですが、こちらは良い部分と難しい部分があります。
まず良い部分ですが、非常に分かりやすい王道の設定が良いですね。
幽霊少女は「邪楽」という存在で、「邪楽」は「音楽を消し去ろうとしている」という設定です。
この手の作品で「なぜ?」とか「どういう原理で?」という疑問は野暮ですね。
暴力などを使わずに危機感を抱く事の出来る、非常に良い設定です。
そして難しい部分ですが、「音楽」をテーマにしていて、その力で「邪楽」を倒すのですが、やはり文章しかない小説という媒体で音楽の表現をするのには限界があると思います。
一応、第五話までに出てきた音楽のほとんどは実在する曲でしたが、文章による擬音のみでは原曲を知っていないとイメージが出来ません。(何なら知っていてもイメージは困難です)
これは結構、致命的な問題であると感じました。
最後に『ミュージック使い』というネーミングは、できればもう少し可愛くカッコイイ、キャッチーな名前が欲しいですね。
「プリ〇ュア」や「セーラー〇ーン」のような、タイトルに出来るくらいの名前が付けられれば言う事なしです。
【総評まとめ】
総評ですが「王道として全く問題を感じない女児向けヒーローもの。ただし文章・構成は精進の必要あり」です。
指摘した点は前回と同様の部分もありましたが、これは前回批評をしたのが8月であり、本作の第一話の公開が5月ですのでフィードバックが出来ないのも仕方ありませんね。
キャラクター・ストーリー・設定は非常に良いと感じました。アニメで放送されていても違和感を感じないと思ったほどです。
しかし文章・構成はまだまだ未熟です。もし、これらが上手く書けていれば★2以上は確実ですし、★3も十分にあり得る出来だと感じました。
文章力と構成力を上げるには、勉強をして知識と経験を積むしかないと思います。
ですが作者の石川 円花さまはお若い(何と小学生‼)ので、これからいくらでも実力を伸ばす事ができると思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます