★1 自分に自信を持てない四天王構成員が、ハーレムで伴侶を探す話。


タイトル:自分に自信を持てない四天王構成員が、ハーレムで伴侶を探す話。

キャッチコピー:地球帝国四天王は実質ハーレムだった(PV6万2000越えました。感謝)

作者:XX

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330666573063870


評価:★1


【あらすじ】

地球帝国という国で、辺境警備隊で腕利き隊員をしていた若者・藤井大河。

彼は「ネメアの獅子」の魔力保持者で、その能力と、理解ある上司のサポートで日々成果を挙げていた。

そんな彼だが、力を得る前は不遇の一言であり、そのせいで現在に至っても自分に自信を持てないでいる。

特に女性関係が酷く、就職する前は一切男女交際をしたことが無かったことと、初デートの後、相手に自分はATMとしての価値しかないと言われたトラウマで、相手を信頼することができないでいた。

そんなときに、四天王抜擢の話が飛び込んだ。

魔力保持者の最高峰「四天王」

四天王ならば、転写目的の婚姻がある。

転写は相手との相互信頼関係が出来ていないと起きないから、そこでなら自分は生涯の伴侶を得ることができるかもしれない。

そう思った彼は、その話を受けたのだった……

だが、実際に行ってみると。

そこにあったのは真っ当な男女関係の斡旋、ではなく。

ハーレムだったのだ。



【拝読したストーリーの流れ】

 「絶対に物理攻撃では倒せない」という魔力(能力)を持った主人公「藤井大河」は辺境警備隊の一員として暮らしていた。


 そんなある日、母親から見合いの打診をされてしまう。

 過去のトラウマから軽い女性不審に陥っていた「大河」だが、一生独身でいるのはきっと辛い。


 そんな葛藤から母への返事を保留している所に、上司から「四天王」への昇進(?)が報告された。

 皇帝の護衛である「四天王」ならば「転写」目的の結婚があるだろうと、上司から告げられる。


 両親の魔力(能力)を、子に引き継ぐ「転写」。

 それには「両親に信頼関係がある事」という条件がある。


 それならば「真に信頼できる結婚相手に出会えるかもしれない」と考えた「大河」は、期待と共に「四天王」に着任するのだった……、と言ったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが、説明文タイトルですね。

 ただ説明文タイトルではありますが、このタイトルを見ても分かるのは「主人公は四天王であり、自信が無い」「婚活ハーレムもの(?)」くらいで、明確な設定やストーリーラインは分かりません。

 説明文タイトルとしては、少し中途半端な印象を受けました。


 ただ個人的には、このくらいの説明バランスの方が好きです。

 説明文タイトルだからと全てを説明されてしまうと、その内容次第では本文を読む気がしません。(私個人の話ですが)



 続いてキャッチコピーですが、まず「地球帝国」という単語が強力なパワーワードであると感じます。

 ただ、そのすぐ後に「四天王」と漢字が続くので折角の強力なワードが埋もれてしまっているように感じました。

 ここは2つの単語の間に「の」などの文字を挟んでみてはいかがでしょうか? 「地球帝国」という単語がより浮かび上がるのではないかと思います。


 それ以外は残念ながら「タイトル以下の情報」しかありません。

 別の情報……本作のジャンルが「ラブコメ」や「エロコメ」であるのなら、ヒロインの魅力などを伝える方向性が良いのではないかと愚考します。(どちらもタグにはありませんが)



【キャラクターの批評】

 キャラですが、第5話までに登場する主なキャラは主人公のみで、その設定とキャラ造形は良いと思います。


 数少ない魔力(能力)持ちで、物理攻撃が効かないという設定。

 魔力(能力)に目覚めるまでは弱く、強くなった途端に手の平を返してすり寄って来た女性への不信感。

 その流れは自然で、主人公のキャラがよく伝わり、かつ魅力的であると思います。


 ただ、所々で「突拍子がない」と感じてしまう部分もありました。

 例えば、上司から電話がかかってきて「クビになるのではないか」と心配するのは意味不明です。

 主人公は自分の能力や有用性を理解していますし、よほど日頃から失敗を重ねているのでもない限り「上司の電話=解雇宣告」とは思わないでしょう。


 そして、主人公が「四天王」になる決心をした理由の「転写」ですが、その説明や決心が行われた際に、主人公の心理は「問題のすり替え」が起きているように感じてしまいました。


 「転写」、つまり「親の魔力(能力)を次世代に継ぐ」には「両親の信頼関係」が必要です。

 だから、独身は嫌だが「女性不信」の主人公は「真に信頼できる相手に出会える」と考えました。


 これ、おかしくないですかね?

 主人公は「女性に不信」を抱いてはいますが、問題があるのは「女性側ではなく、主人公側」ではないでしょうか?

 まるで「信頼に足る女性が周りにいないのが悪いんだ」「俺は悪くない」と言っているようで、残念な気分になりました。


 その後、第5話で登場したヒロイン(?)に一目惚れしたような描写があったのもキャラの方向性がブレて良くないと思いましたね。



【文章・構成の批評】

 文章は一文が極端に短く、非常にあっさりしています。ここは好みが分かれそうですね。

 個人的にはもう少し濃い文章が読みたいとは思いますが、読みやすくて丁度良いと感じる読者も多いと思われます。


 ただ、応援コメントで疑問に感じておられる読者もいらっしゃいましたが「1つの文章を空行で分ける」というのは、あまり良いとは思えませんでした。

 コメントへの返信から作者さまが意図的になさっているのは明らかですが、個人的には読みにくく、無駄に行が増えただけだと感じてしまいました。

 他に同様の手法を行っている作者もあまり見かけませんし、他の読者の中にも戸惑う方もいると思います。



 それでは構成ですが、「世界観の説明と主人公を見せる」という意味では悪くないと思います。

 特に本作はかなり特殊というかゴチャゴチャした世界観なので、説明にはある程度の尺は必要だと思いますし、その説明も何とか「面白さ」に絡ませようとしていると見受けられます。


 ただ、「ハーレムもの」「ラブコメ」「恋愛もの」としてはヒロインの登場が遅すぎます。

 本作は1話の文字数がかなり少ない(約1200~1900文字)ですが、第5話までヒロインの姿は全く見えません。

 流石にもう少し早く、せめて「女の影」くらいは見せた方が良いと思いますね。



【ストーリー・設定の批評】

 本作は、ここをまとめて批評させて頂きます。


 まず【構成】で述べたように、本作の設定はかなりゴチャゴチャしてますね。

 大枠は「面白い設定」に感じましたし、ストーリーへの組み込みも悪くないと思います。

 ただ、中には「不必要」に感じる設定や、「矛盾や違和感」を感じる設定もありました。


 あまりにも多いので1つ1つは取り上げませんが、本作の核となる「転写」の設定は疑問だらけでしたので、その説明文を本文から引用します。

――――――――――――――――――

 転写……

 それは、魔力所持者同士が子供を設けた場合に起きる現象のことだ。


 子供が出来た瞬間、その男女が所持する魔力が相手にコピーされる。

 ただし、やみくもに子供を作ればいいというものではなく。


①その男女が相互に信頼関係があること。

②その男女関係で、パワーバランスが大きい方に小さい方が所持する魔力が転写される。


 こういう条件があるんだ。

――――――――――――――――――

 ①の条件はどうやって確認・証明をしてきたんですかね?

 ②の説明は、全く意味が分かりませんでした。


 物語の核となる設定の説明がこれでは、気持ちよく読み進める事ができません。

※作者のXX様よりコメントを頂きまして、「魔力のコピーが行われるのは親同士であり、子供ではない」と説明されました。

 そうであるのなら②の説明は理解できます。ですが説明文を読んでも、その前提となる「親同士でコピーが起きる」というのが理解できません。(一読しただけで理解できた方はいらっしゃいますかね?)

 この説明文は修正された方が良いと思いますね。



 あと最後にですが、「転写」や「魔力」などのネーミングはどうにかした方が良いかと思います。

 一般的な言葉や他作品でよく使われたりする単語ですが、元の意味とはかけ離れています。その為、すんなりと読み進める事ができないと感じてしまいました。



【総評まとめ】

 まとめますと「設定が多すぎて詰めが甘くなった作品」ですかね。

 本作の設定はあまりにも多すぎると感じました。そのせいかヒロインの登場は遅れてしまい、「設定の説明や運用」にも雑さが感じられます。


 せっかく考えた設定を披露したいという気持ちも分かりますが、その設定は必要な時まで取っておいた方が良いと思います。

 もし必要な時がこなければ、そのまま表には出さないくらいの気持ちで良いと思いますよ。

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