★0 悩んでいる娘を励ましたら、チアリーダーたちに愛されはじめた


タイトル:悩んでいる娘を励ましたら、チアリーダーたちに愛されはじめた

キャッチコピー:あの日、君を励ましたことが全てのはじまりだった――。

作者:上谷レイジ

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093073670453330


評価:★0


【あらすじ】

「他人は他人、自分は自分」を信条として生きている清水優汰は、幼なじみに振り回される日々を過ごしていた。

そんな時、クラスメートの頼みでチアリーディング部の高橋奈津美を励ましたことがきっかけとなり、優汰の毎日は今まで縁がなかったチアリーダーたちに愛される日々へと変わっていく。



【拝読したストーリーの流れ】

 高校1年の主人公「清水優汰」は、クラスメイトの女子「小泉奏音」に頼まれて「高橋奈津美」という女の子を励ました。

 それが切っ掛けで「奈津美」から好意を寄せられて……、と言ったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルなんですが、私は盛大な勘違いをしておりました。それを説明する為に、改めてタイトルを表示させて頂きます。


『悩んでいる娘を励ましたら、チアリーダーたちに愛されはじめた』


 私は「主人公がお父さん」で「むすめの同級生」から言い寄られる「歳の差ハーレムもの」だと勘違いをしました。ですが主人公は高校生ですので、どうやら「むすめ」ではなく「」と読むようです。

 この勘違いはきっと私だけでは無いと思いますので、誤解を招かないように「女子」などに変更された方が良いと思います。



 キャッチコピーは悪くないと思いますね。

 物語の始まり、その切っ掛けの出来事が分かりやすく描かれ、雰囲気も良く感じます。

 この短い言葉の雰囲気だけでも、多少なりとも「キャッチ」の効果はあるのでは、と思いますね。



【キャラクターの批評】

 キャラクターなんですが……。申し訳ありません。先に謝っておきますが、私は本作の主人公に「全く共感できない」と感じてしまいました。


 まず第1話で、主人公が一人称による独白のような地の文で幼馴染の説明するのですが、その一部を引用します。

――――――――――――――――――

 中学校時代に僕が吹奏楽部に入ると言ったら「自分も入る」と言い出したので、少しは好意を持たれているんじゃないかと期待していたりする。だけど、僕自身は柚希に対して友達以上の感情を抱いたことはない。

――――――――――――――――――

 この時点で少し「自意識過剰」だと感じましたが、その後は更に共感の出来ない表現が増えます。


 本作は「ハーレムもの」ですので(タグに「ハーレム」があります)女性キャラが複数登場するのですが、その度に身体的特徴を「一人称」で細かく描写されます。

 「ラブコメ」ですので、ヒロインたちの外見的魅力を伝えるのは重要ではあるのですが……初登場時だけでなく事ある毎に「胸がどうした」とか「下着が見えた」などと書かれる為、主人公に対して「女を性的にしか見れない色欲オバケ」にしか見えませんでした。



 他の点については、全体的に「会話の流れが飛んでいて、読者に理解できない」「セリフが作者に言わされている」などと感じてしまいました。

 まるで過程を省略して会話をしているように感じてキャラの心情が掴めず、結果出てくる言葉は「ストーリーを進める為のもの」であって「キャラの言葉」に聞こえませんでした。

 「キング〇リムゾン+作者の操り人形」ですね。



【文章・構成の批評】

 文章ですが、正直読むのが辛かったです。

 文法などがおかしい訳では無いのですが、上記のように「話の流れが飛ぶ」事が多く、また「矛盾」なども多いので読んでいて理解に苦しむ箇所が多々あります。

 作者さまには申し訳ありませんが「結論ありきで物語を書いて、その整合性を取る努力を怠っている」ように感じました。


 また、全体的に文章が冗長です。

 無意味に分かりにくい文章が多発しており、非常に読みにくかったです。


 次に、物語冒頭で幼少期(「小学校の頃より前」とあったので幼稚園児?)の夢のシーンから始まるのですが、「幼児」だという事からセリフが「平仮名」で書かれています。

 それ自体は良いのですが、問題は「平仮名の長文」があった事です。言うまでも無い事ですが、これも非常に読みにくかったですね。


 ついでに「平仮名」で喋っていたのに、いきなり自分の名前は漢字で表示されたのは違和感を覚えました。

 ここは統一した方が自然に感じますね。


 上記までの問題に比べれば大した事は無いのですが、時々「空行の無い長文」があります。

 適度に空行を挟んだ方が読みやすいですね。「ラブコメ」ジャンルは「読みやすい軽さ」も重要だと思いますので、ここは修正をした方が良いと思います。


 最後に少しだけ褒めておきます。

 女性キャラの身体的特徴の描写は良かったと思います。

 少しありきたりな表現が多い気はしましたが、「よく使われる」という事は「良い表現」だという事ですし、分かりやすいと思いました。

 ただ【キャラクターの批評】で述べた通り、あまりに頻繁に一人称で描写されるので「主人公に対する不快感」に繋がってしまいましたが。



 それでは構成に参りますが……。ここはもう、メチャクチャだと感じてしまいました。正直、問題が多過ぎてどう伝えれば良いのか分かりません……。

 申し訳ありませんが問題点を提起するのは諦めさせて頂き、私が物語の構成を考える時に注意している事を書く事で代わりとさせて頂きます。


・まず、「この1話で何を見せるか」を決めましょう。

・それと同時に、「オチ、またはヒキ」を考えましょう。

・次に「見せる為の、舞台とキャラ」を配置しましょう。

・最後に「見せたいものや、オチへ辿り着く為の順序フロー」を考えましょう。


※話を進める為に「キャラの性格を捻じ曲げる」コトは絶対にしない事っ!

※伏線はなるべく自然に、目立たないように出す事。

※必要な話以外は贅肉。余計な話は入れない事。


 これはあくまで私の我流です。素人なので真に受けないで下さい。

 ネットなどでも「物語の構成」について書かれた記事はありますので、そちらを参考にされた方が良いと思います。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーですが、まぁ多分タイトルの通りだと思います。

 ただ構成にも通じる話なのですが、幼馴染の出し方はヘタだと思ってしまいました。


 第1話から主人公は事ある毎に幼馴染を引き合いに出すのですが、実際に幼馴染が登場するのは第4話です。

 本当に何度も名前だけが出てきますが、読者としては「知らないキャラ」の話題を何度も出されてもうんざりしてしまうのではないかと思います。



 設定に移りますが、まず共学で「女子専用クラス」って実在するのですか? 軽く調べてみましたが分かりませんでした。(色々問題が起きそうですし、多分実在しないと思いますが)

 実在の有無はともかく、物語として必要な設定なのでしょうか? なぜこのような設定にしたのか、お尋ねしてみたいですね。


 他に、「幼馴染」や「主人公の座右の銘となった言葉の、元となるマンガ」といった設定もありましたが、上手く使えているとは言えません。


 「主人公が、幼馴染に失恋してショックを受ける」というエピソードがあるのですが、「主人公には共感が出来ない」ので同情できません。

 「座右の銘でヒロインを励ます」というシーンも、何の脈絡もなく唐突に使われるだけですので薄っぺらいです。


 全体的に「設定の使い方・見せ方がヘタ」だと感じてしまいました。



【総評まとめ】

 作者の上谷レイジさまには申し訳の無い総評となりますが、「良い所は女性キャラの身体的表現だけ」です。

 残念ながら他に褒める事の出来る所は、せいぜいタイトルとキャッチコピーくらいです。


 まずは順序だてて話を組み上げ、「他人が読んでも理解の出来る話の流れ」を書けるようになる所からでしょうか。

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