★1 偽聖女と断罪されて婚約破棄の上国外追放された私は、何故か隣国の王女様に溺愛されています。
タイトル:偽聖女と断罪されて婚約破棄の上国外追放された私は、何故か隣国の王女様に溺愛されています。
キャッチコピー:「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! アンジェ様可愛すぎますうううう!!!」
作者:ひっちゃん
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093078373122440
評価:★1
【あらすじ】
これは、一度は何もかもを失った少女がちょっと大きすぎる愛を受けながら、新しい自分を見つける再出発の物語。
「アンジェ・バール! 今この時を以て、貴様を、聖女を騙った罪で国外追放とする!」
日々帝国内を飛び回り、聖女として民に尽くしてきた銀髪碧眼の少女・アンジェ。彼女は、ある日突然にいわれのない罪で婚約者でありこの国の第一皇子であるロランスから断罪され、国外追放を言い渡された。
神託を笠に着た彼にこれまでの実績を全て否定され、肩書も失い、アンジェは失意のどん底に突き落とされる。
そんな彼女の前に現れたのは、何故かアンジェのことをちょっと好きすぎる隣国の王女様。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! アンジェ様可愛すぎますううううううううううう!!!」
――私、この人に助けられて、本当に大丈夫かなぁ……?
愛の重さに戸惑いながらも逃れた隣国で出会った人々は、神託や肩書といったものではなくアンジェ自身を見てくれる人ばかり。そんな心優しい人々のため、アンジェは決意する。
暖かく迎え入れてくれたこの国の皆さんのため、何より愛してくれた王女様のため。聖女じゃない私にできることを見つけて、皆さんの助けになるんだ……!
……ところで、私を追放した帝国のほうが何だか大変みたいですけど、私はもうあの国の聖女じゃないので関係ないですよね?
聖女でなくなったアンジェは、自分を溺愛してくれる王女とともに、帝国にいたままではありえなかったあたたかい未来へと突き進む。
……その過程で、時折出会った女性を虜にしながら。
【拝読したストーリーの流れ】
10年前、5歳の頃に神託を受けて『聖女』となった主人公「アンジェ・バール」は、日々の責務に忙殺されていた。
「流行り病に侵された村人たちの治療」「耕作地の加護の付与」「主語結界の点検」などだ。
これらに加えて「聖女は次期皇后となるしきたり」から、その為の教育を受けたり、貴族たちとの付き合いもある。
あまりの忙しさに最近では学校に通う事も難しくなっていたが、それでも「アンジェ」は人々を幸せにするのが自分の使命なのだと奮闘していた。
そんなある日の夜会……。
その日も「アンジェ」は公務に勤しんでいたが、その道中で魔物に襲われて夜会に遅刻をしてしまう。
元平民の「アンジェ」は殆どの貴族からの心象は悪く、冷たい視線を投げられる。
だが、そんな「アンジェ」に声を掛けたのは数少ない友人である「シャルロット・ヴノワ」だった。
彼女は隣国からの留学生だからか、「アンジェ」にも親しくしてくれる。
束の間の歓談を過ごしていた時、そこに皇太子にして「アンジェ」の婚約者「ロランス・コラン・ドゥラットル」が現れた。
「ロランス」は「アンジェ」を蔑みながら、「貴様を、聖女を騙った罪で国外追放とする!」と宣言したのだった……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは「説明文タイトル」ですね。
それ自体は良いのですが、前半部分が「ありふれた設定すぎる」のが問題に感じます。「聖女が断罪されて国外追放」される作品、私は何作も目にした事があります。
それらのタイトルと本作のタイトルを並べて見ても、きっと「どれがどれだか、見分けがつかない」と思いますね。
あくまで個人的にはですが、後半部分の「何故か隣国の王女様に溺愛されています。」の方を強調した方が良いのではないかと思ってしまいます。
「溺愛」もよく使われる単語ですが、「百合」になると少なくなりますので。(本作のタグには「百合」があります)
キャッチコピーですが、こちらはインパクトに振り切ってますね。
恐らくはタイトルにある「隣国の王女様」のセリフだと思われますが、その勢いとインパクトは凄まじいものを感じます。
「キャッチ」としては良いのではないでしょうか。
懸念点としては、このコピーからは「コメディ色」が強く感じられるのですが、本文を読むと「コメディ」は無く、むしろ「シリアス寄り」だと感じます。
あくまで第5話までの時点ではですが、その間に「期待したものと違う」と思われる読者もいるかも知れませんね。
【キャラクターの批評】
キャラクターですが、「特に魅力を感じない」と思ってしまいました。
まず主人公ですが、模範的な「人々の為に尽くす聖女」です。それ以上の造形が見えません。
個性が全く無く、典型的な「ステレオタイプの聖女」としか感じられませんでした。
序盤なので仕方のない部分もあるとは思いますが、「人間臭さを感じない」と思いました。
皇太子は酷いですね。
この手の「追放もの」によく見られる、「ただ読者のヘイトを集める為だけに用意されたキャラ」です。その為に知能を著しく低下させられているのも、よく見る光景ですね。
こちらも「ステレオタイプのヘイトキャラ」ですね。
造形以外では、全体的に「セリフが芝居臭い」と感じてしまいました。
個人的な感想ではありますが、「キャラのセリフに感情が乗っていない」と感じます。
これは主人公への「人間臭さを感じない」という評価にも繋がっていますね。
【文章・構成の批評】
文章は全体的に読みやすく、突っ込みどころはありません。
web小説の書き方を、しっかりと実践なさっておられると思います。
ただ、少しだけ語彙力が足りないと感じてしまいます。
読みやすく理解もしやすいのですが、作中の雰囲気が文章からは出ておらず、読んでいても作品世界に没入できませんでした。
語彙力を増やし、言葉選びのセンスが欲しい所ですね。
続いて構成ですが、特に文句のつける所は無いですね。
というのも第5話までの時点では「追放シーン」の途中までです。第1話、第2話で、主人公の状況を説明した後は追放シーンです。
話数で言うと少し遅いようにも感じますが、本作の1話辺りの文字数は約1600文字~2500文字程度なので問題ではないと感じます。
1話1話の終わりには次話へのヒキもありますし、読者に見せるべき流れとしては問題無いように感じますね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーですが、第5話までの時点では「タイトルで説明されている」としか言いようがありませんね。
そして設定ですが、「雑」ですね。
特に『聖女』に関して本文中で色々と説明をされているのですが、正直よく分かりませんでしたね。
『聖女』という存在が、作中舞台の帝国で今までどう認められ、どう扱われてきたのかが分かりません。(ここで言っているのは「初代聖女」~「主人公」までの間の期間の事です)
『聖女』の扱いが良く分からないまま追放が行われますので、まさしく「茶番」としか感じられませんでした。
特に主人公は「聖女を騙った偽聖女」と呼ばれますが、主人公が『聖女』となったのは10年前です。その真偽の確認は10年前に済んでいるのでは? と思いましたね。
聖女の説明の為に結構な尺を割いていますが、このような「雑」な説明なら「むしろ無い方が良かったのでは?」と感じてしまいました。
最後にどうでも良い事ですが、15歳の主人公の見た目が10歳だというのは少し無理がありませんかね?
その設定自体は良いとしても、第1話で初登場の際に「年のころは十歳ほどだろうか」と書かれ、第2話で「聖女となった五歳のころから今日までの十年間~」となった時は「主人公の歳っていくつ?」と疑問に感じてしまいました。
特に意味も無く、ただ分かりにくいだけだと感じましたね。
【総評まとめ】
総評ですが、「第5話までの時点では、ただの聖女追放テンプレ作品」ですね。
本作独自の魅力は何も感じませんでした。
ただ、タイトル・キャッチコピー・あらすじから、今後は「隣国の王女様」との「百合展開」があるものと思われます。
本作の本領は、それからだとは思います。
【追記】
本作は、私の別企画『ノベルチキンレース』にも参加して下さっています。
上記までの批評はルールに則って「5話まで」としましたが、『チキンレース』の方で第8話まで読んでおります。
折角ですので、第8話までの感想と「なぜ私が読むのを止めたのか」を書かせて頂きたいと思います。
実は私は、本作を第3話で読むのを止めようと思っておりました。
その理由は【設定】で述べた通り「聖女周りの設定が雑」だと感じたからです。
ですが序盤の見所である追放シーンまでは見てみようと踏み止まりました。それは本作の文章が読みやすかったからではありますね。
そして私の想像通り、追放シーンは非常に残念な展開でした。皇太子の知能を下げて、ムリヤリ追放に持って行ったように見えたからです。
追放シーンのラスト、主人公が友人(推定ですが隣国のお姫様)に攫われるシーンは少し面白かったですが、それだけでしたね。
連れ去る際に皇太子に放ったセリフも筋が通っていない訳ではありませんが、立場のある人間が他国の皇太子に、公の場で放つ言葉としては不適切としか思えません。
何より「強引に連れ去る必要がそもそも無い」というのが大きかったですね。
一応、次話で何らかのフォローがあるかもと思い、その後の第8話を確認して終了とさせて頂きました。
私が『ノベルチキンレース』で【読むのを止めた理由】で選択したのは、
≪次話へのヒキが弱く、続きが気にならない≫
≪キャラが「操り人形」のように感じる≫
≪テンプレすぎて興味を惹かれない≫
≪ストーリー展開が陳腐に感じる≫
となります。
≪次話へのヒキが弱く、続きが気にならない≫に関しては、前半部分の「ヒキが弱い」より、後半の「続きが気にならない」を感じましたので選択いたしました。
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