★0 夏空の天気雨


タイトル:夏空の天気雨

キャッチコピー:雨はいつも私達に降り注いでいる

作者:ファンラックス

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093081202983912


評価:★0


【あらすじ】

「ここはどこ?私は誰?」

目が覚めると知らない場所で寝てた私。


自らの記憶を失い、名前も、帰る場所すらも忘れた彼女は

どうやら異世界へと迷い込んでしまったようです。


同じく自分の記憶がない彼とミヨちゃんと言う少女との

出会いを通して、この世界からの脱出を目指します。


襲いくる化け物

明かされる彼女達の衝撃の記憶

そしてこの世界の真相とは!?


謎だらけな世界を駆け巡るSFファンタジーサスペンス

ここに開幕。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作のエピソードには「第〇話」といったナンバリングがされておりませんでしたが、本批評内では1話目を「第1話」といった風に呼称させて頂きます。

 また本作には『プロローグ』がありましたが、たった141文字のものでしたので、こちらを含めた6話を批評対象とさせて頂きます。



 主人公の少女が溺れる夢から目が覚めた時、そこは見知らぬ公園だった。

 知らないのは場所だけではない。自分の名前も、過去も、全てが記憶に無かった。


 そんな彼女に声を掛けてきたのは、学生服の青年と5歳くらいの女の子。

 青年も自分と同じように記憶を失い、数ヵ月前からこの街を彷徨っているそうだ。


 自己紹介などをしていると雨雲が近付き、青年が慌て始める。

 なんでも「水虫」という名の化け物が空から降って来るそうだ。


 主人公たちはなぜ記憶を失い、このような化け物が現れる街にいるのか?

 そして彼らの運命は……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは正直、良くないと感じますね。どちらかというと「青春ドラマ」のような雰囲気のタイトルに感じます。

 web小説では表紙等がありませんので、タイトルから受ける印象は重要です。

 このタイトルでは作品内容は一切分かりませんし、その印象もかけ離れていると感じます。



 続いてキャッチコピーですが、こちらも作品内容が分かりませんね。

 タイトルと合わせて「雨」が重要なテーマである事しか分かりません。



 タイトル・コピーの共に、「文学的な雰囲気」はよく出ていると思います。

 ここから分かるのは「『雨』がテーマの文学作品」という事ですが、恐らくそれだけで作品を読んでくれる読者は少ないと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラについては、よく分からないというのが本音です。

 登場キャラは3人ですが、全員が記憶喪失であり(少女は不明ですが)、更に本作は1話の文字数が1000文字前後と少ないので、キャラを判断するには情報が足りません。


 ただその中で青年は描写が多く、途中で記憶を(一部分?)取り戻すのですが、そのおかげか青年のキャラが掴みづらく感じました。

 最初は自分を「僕」と呼び、「ですます調」で喋るのですが、唐突に記憶を取り戻すと「俺」となり、口調も荒くなります。

 記憶を取り戻す前に1度だけ「私」と言っているセリフもあり(誤字?)、物語の最序盤でこうもコロコロ印象が変わってしまうとキャラの特徴が掴めません。


 「記憶を取り戻す前後で性格が変わる」というのをやりたかったのだと思いますが、それなら「記憶が無い時の性格」をもっと見せる必要があったと思いますね。



【文章・構成の批評】

 申し訳ありませんが、文章は全体的にヒドイものです。

 誤字が非常に多く、文末に句点が無い箇所も多かったです。その他、文章が意味不明で読み取りづらく、(恐らく)文法的な間違いもありました。

 正直、たった1000文字を読むのが苦痛で仕方なかったです。


 まずは単純な誤字の訂正。

 その後は文法的な言い回しなどの間違いが無いかの確認。

 そして、「この文章で読者に伝えたい事が伝わるか?」を詰めていかれた方がよいと思います。



 構成に移りますが、話の流れ自体は良いと思います。

 それぞれにヒキや山場が用意されてエピソードが締め括られております。


 ただ先程から述べているように、本作の1話は1000文字前後です。

 その少ない文字数でドンドン話が進んで行きますので、非常に駆け足……というか、すっ飛ばして進んでいるように感じます。

 もっと文字数・話数をかけて進めた方が良いと感じますね。


 その最たる例が【キャラクターの批評】で申し上げた、「青年が記憶を取り戻す」というイベントでしょうか。

 主人公のキャラすらも掴めていない状況で他のキャラにスポットを当て、しかもそのキャラの性格が前後で変わるのは悪手なのではないかと思います。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーとしては、「化け物が蔓延る中で生き残るサバイバル」と「世界の謎を解き明かすミステリー」が主軸になっているのではと予想します。(第5話までではハッキリとはしませんが)


 非常に謎の多い世界観なので、それらに明確な理由付けがあり、矛盾や違和感なく1つに収束すれば面白くなると思います。

 その上で「サバイバル」も面白く見せる事が出来れば言う事は無いですね。



 ただ、設定面では不安がありますね。

 何度も取り上げた「青年が記憶を取り戻す」というイベントですが、彼が記憶を取り戻す切っ掛けとなったのは「死にかけたから」です。(ミスリードの可能性も否定しきれませんが)


 せっかく、「主人公と青年は共に記憶を失っている」という共通点で「世界の謎」を演出したのに、記憶が戻る切っ掛けがこれでは先の期待感も薄れてしまいます。

 悪い言い方になってしまいますが「どうせ主人公も都合よく記憶が戻るんだろう」と考えてしまいました。


 「ご都合主義」と読者に感じられてしまえば、この手の作品はお終いだと思います。

 緊張感や深刻さが薄れ、「謎」への興味も失ってしまいます。



【総評まとめ】

 まとめますが「序盤だけでは全体の評価できない。だが文章は非常に読みにくい」というのが本作への感想です。


 世界観の複雑さ・イベントの詰め込み・文字数の少なさから、第5話まででは評価は出来ません。

 ですが、あまりにも読みにくい文章なので「面白くなるまで続きを読みたい」という気にはなりませんでした。

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