121~130作品の批評
★0 1人のVtuberと支える俺の話
タイトル:1人のVtuberと支える俺の話
キャッチコピー:転生したと思ったら女子高生のもう一つの人格になっていた だから支えます
作者:トマトP @猫部@NIT所属
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093081207183570
評価:★0
【あらすじ】
特技なし、顔の特徴なしと本当に特にこれといったものが何にもない男子高校生がいる。
そして配信者になってみたいとVtuberやYouTuberに憧れている女子高校生がいる。
舞台はダンジョンが自然発生したりなんて事も起きていない平和な現代日本。
これは本来決して交わることのなかったはずの2人の話である。
【拝読したストーリーの流れ】
本作のエピソードには「第〇話」といったナンバリングがされておりませんでしたが、本批評内では1話目を「第1話」といった風に呼称させて頂きます。
普通の男子高校生だった主人公は、通学途中でトラックに撥ねられそうになった女の子を助け、代わりに死んでしまった。
そして何も無い空間で気の遠くなるような時を過ごしたが、突然光が目に広がる。
気がつけばそこは見知らぬ部屋で、自分の身体は女子高生になっていたのだった。
一方で、幼い頃にトラックに撥ねられそうになった所を高校生に助けられた、Vtuberに憧れる女子高生「松井朱里」はいくつものオーディションを受け、とうとう最終選考の面接まで漕ぎつけていた。
それなのに最近、突然に意識を失っては覚えのない場所で目を覚ます。
Vtuberを目指す「朱里」の為に、主人公は行動を開始して……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは本編の内容を端的に表していて、基本的には良いと思います。
ただ個人的にですが、「1人のVtuber」と「支える俺」をもっと明確に区別する為に読点があった方が良いと思います。少し比べてみましょうか。
『1人のVtuberと支える俺の話』
『1人のVtuberと、支える俺の話』
読点を挟む事で文章が前後に別れ、2人の物語だという事が明確になると思います。
また、第5話までの時点ではハッキリとはしませんでしたが、もし「朱里」は主人公ではなく「死んだ男子高校生」だけが主人公ならば『1人のVtuberを支える俺の話』とした方が適切かもしれません。
続いてキャッチコピーですが、こちらは少し違和感のある言葉ですね。
「転生したと思ったら女子高生のもう一つの人格になっていた だから支えます」とありますが、まず元々全くの別人である主人公を「女子高生のもう一つの人格」と呼んでよいのかが疑問に思います。
更に、次の「だから支えます」という言葉が前の文章から繋がっていないように感じます。
他人の身体に乗り移ったから「じゃあ、主人格の助けになろう」というのは、若干思考が飛躍しているように思いますね。
最後に、前後の文章はスペースで区切るのではなく、句点で区切った方が良いと思いますね。
【キャラクターの批評】
あくまで第5話までの話ですが、キャラの評価を出来るだけの表現をして頂けていません。
第5話まででは、主人公・「朱里」の両名ともが誰とも接触していないので、セリフも殆どありません。ほぼ完全に「一人称による心の声」のみで話が進んでおりましたが、その中での主人公たちの思考や行動は少し「発想が不自然」だと感じました。
主人公は転生時に「見知らぬ部屋」「自身の声」「視線の高さ」などから、自分が女の子になっているという事を察しますが、確認の為(?)に鏡を見に洗面所に移動しました。
自分の身体を確認するだけで「女の子になっている」事くらい、確認できますよね? わざわざ知らない家の洗面所まで行くのは不自然に映ります。
その直後に主人公と入れ替わった「朱里」は、意識の無い間に1階まで降りていた事に疑問を感じるのですが、「寝ぼけたとしてもありえない」と考えた直後に「私の中に誰かがいるかもしれない」と考えます。
「まるで最初から答えを知っている」ように見えてしまいますね。
そして第5話まででは、基本的に現状把握の話ばかりで主人公たちの掘り下げは行われておりません。
これではキャラクター像が殆ど掴めませんでしたね。
【文章・構成の批評】
文章は、色々と粗が目立ちますね。
まず、物語冒頭で酷くお粗末なミスがあります。以下に引用します。
「そう、俺は俺は通学中にトラックに轢かれそして死んだ」
ただ単純に「俺は」を2回繰り返しているだけの簡単なミスですが、いきなりこのような文章を見せられた読者は「この作者は投稿前に見直しをしないんだ」と感じてもおかしくはありません。
すぐにでも修正をされた方が良いでしょう。
そして「余計な文章が多い」事が問題に感じます。こちらも引用します。
「目の前にいた少女が友達と鬼ごっこしていたのかどうかは知らないが急に赤信号の横断歩道に飛び出したのだ」
ここでは「友達と鬼ごっこしていたのかどうかは知らないが」という文章は不要に感じました。
主人公の推測を書かれたのでしょうが、それを読者に見せる事に特に意味は無いように感じますし、何より読みにくいと思います。
ここは「目の前にいた少女が急に赤信号で飛び出したのだ」で良いと思いますね。
このような表現が非常に多く、それらから「無駄に文章が長い」と感じてしまいました。
また、読点はもう少し多い方が良いですね。
文章と文章の合間や、言葉を強調する場合に使用した方が良いと思います。(多すぎても問題ですが)
最後にですが、本作は基本的に一人称で書かれているのですが、第5話ではVtuber事務所の社長たちの視点に移り、ここでは三人称で書かれています。
ですが、その最初の一文が「三人称としては違和感があり、誰の視点か分からない」というように感じました。
以下にその文章を引用します。
「どうやらVTOPの2期生として出すにはどの応募者がいいかどうか、面接の日も近くなっているようなので話し合っているようだ」
「どうやら」「ようなので」「ようだ」と、推測を表す言葉が並んでいます。
三人称では、なるべく避けた方がよい表現だと思います。「誰の推測なのか分からない」からです。
次に構成ですが……。【キャラクターの批評】で申し上げた通り、5話をかけて現状把握以外が殆ど出来ていないのは良くないと思いますね。
1話の文字数が約1000文字と短いので読み進めるのにストレスは少ないですが、先程も指摘したように「余計な文章が多い」ので、話の進みはとても遅く感じます。(展開の遅さについては、あとがきで作者様ご自身も仰っておられますが)
そしてこれも【キャラクターの批評】で指摘しましたが、やはり主人公たちが誰とも接触しないのは問題だと感じますね。
私には主人公たちの状況は理解できても、彼らの魅力は理解できませんでした。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーについては何も語れませんね。【拝読したストーリーの流れ】でお伝えした事が第5話までのほぼ全てです。
今後はタイトルの通りに「朱里」の為に主人公が奮闘するのだと思いますが、現時点では「面白そう」とも「面白くなさそう」とも判断が出来ません。
設定についてですが、こちらも分からない事が多すぎて指摘できる箇所が殆どありません。
ただ、この世界では事務所に所属しなければVtuberになれないのでしょうか?
「朱里」のシーンで「これで受からなかったら最後だ」とありました。
これは「個人で活動を行う気が無い」という事か、それとも「受からなかったら事務所所属は諦めて、個人で活動を行う」という事なのかが分かりませんでした。
こういったところの説明や表現が抜け落ちている為、Vtuberを目指す動機や決意に共感が持てませんでしたね。
【総評まとめ】
作者であるトマトP @猫部@NIT所属さまには申し訳の無い総評となってしまいますが、「全ての面が足りない作品」だというのが私の感想です。
文章力・表現力・構成力が低く、キャラ・ストーリー・設定を伝える事が出来ていないように感じます。
いくら魅力的なキャラと、壮大なストーリー、緻密な設定を考える事が出来ても、それを読者に伝える事が出来なければ意味はありません。
特に問題に感じたのは構成ですね。
本作の第5話までに、見所といえるイベントやシーンは1つもありませんでした。
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