★2 ヤンデレお嬢様が離してくれないので全力で逃げる事にする。


タイトル:ヤンデレお嬢様が離してくれないので全力で逃げる事にする。

キャッチコピー:ヤンデレお嬢様、謎の黒服達、警察、自衛隊……うん、逃げるの無理じゃね?

作者:渡辺

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093076717696302


評価:★2


【あらすじ】

「好きです。付き合ってください!」


 屋上の昼下がり俺は告白された。相手はあの西園寺財閥のご令嬢、西園寺穂乃果だ。文武両道、品行方正、才色兼備という非の打ち所がない完璧超人……けど、俺は告白を断った。


「やあ隼人!君、西園寺さんと付き合ったんだって?隅に置けない死ね」


「……後半聞かなかったことにするから、どういうことか詳しく教えやがれ」


 あの告白、俺は断ったはずなのに学校中で俺と穂乃果が付き合ってるという噂が流れているらしい……どう言う事だ!?



【拝読したストーリーの流れ】

 本作の作者である渡辺さまは、以前に批評させて頂いた作品『救国の英雄〜メンタルだけなら誰にも負けねぇ〜』の作者でもあります。


 また本作には第1話の前に『一万PV突破記念 番外編 男子会』と『登場人物強さレベル!!』という2つのエピソードがありました。

 『登場人物強さレベル!!』に関しては「キャラの強さランキング」が並べられていただけですが、『一万PV突破記念 番外編 男子会』はSS仕立てのエピソードでしたので、これを含めた第4話までの批評とさせて頂きます。



 本作はコッテコテの「ギャグ作品」です。

 【あらすじ】のやり取りが第1話冒頭で行われて主人公「速水隼人」が、ヒロイン(?)「西園寺穂乃果」と彼女を慕う生徒たちから襲撃を受けるドタバタコメディとなっております。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルはストレートで良いと思います。

 作品のストーリー・方向性が短い言葉で、これ以上ないくらい分かりやすく述べられています。


 懸念点としては、「ヒロインのヤンデレ感が薄い」という部分ですね。

 「普通の世界観」なら、十分にヤンデレだとは思います。ですが他の登場人物が「あまりにも奇人・変人揃い」なので、「ヤンデレ感(個性)」が薄まっているように感じました。

 タイトル詐欺ではありませんがね。



 次にキャッチコピーですが、こちらは「未来の主人公を示唆」しているものと思われます。こちらでは「スケール感」が感じられて良いですね。

 「お嬢様が、警察や自衛隊までを動かして主人公を追い詰めてくる」という展開が予想できます。



 タイトル・コピー共に素晴らしいですね。

 本作において、これ以上のタイトルとコピーはそうは無いと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラクターは、先ほど申し上げた通り「奇人・変人揃い」です。「ギャグ作品」としては素晴らしいですね。


 特に良いのが主人公ですね。

 主人公も普通ではなく、むしろ作中で1番の「奇人・変人」かと思われます。そのおかげで文章のほぼ全てがギャグになっていますね。

 「受け身主人公」というと、「大人しい普通」か「斜に構えた」といったキャラになりがちだと思うのですが、本作の主人公のキャラクター像は英断でしたね。作品全体が面白くなっています。


 ただ欠点もありまして、それは【タイトル・キャッチコピーの批評】で申し上げた「他のキャラが濃すぎて、ヒロインの個性が薄い」と感じてしまった事です。

 ただこちらに関しては、まだ第4話ですので今後のヒロインの活躍次第だと思います。



【文章・構成の批評】

 文章は拙いです。拙いのですが、文章に勢いがあり、その内容がハジけているのもあってストレス無く読めてしまいます。

 多少、意味不明な文章もありましたが、それでも気にならないくらいの勢いを感じましたね。


 ただ、句読点は見直した方が良いと思います。

 読点があまりにも少ない文章が多く、どこで区切って読めば良いか分かりません。

 また、文末に句点の無い文章も散見されました。



 それでは構成に参りますが……、なぜ1番最初に『一万PV突破記念 番外編 男子会』というエピソードを差し込んだのでしょうか?

 このエピソードでは、主人公と友人の5人で雑談が行われます。そして「読者に対するキャラの紹介は行われません」。これでは初見の読者には何がなんだか全く分かりません。ファンとなってくれた読者に対しても気付きにくい位置であり不親切だと思います。

 何はともあれ、ここだけは修正をされた方が良いと思いますね。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーは【あらすじ】や【拝読したストーリーの流れ】で説明した通りです。

 何というか、「昭和のトンデモラブコメ」のような雰囲気を感じます。(有名作としては『うる星○つら』とか『らん○1/2』とかですかね)


 主人公の性格や立ち位置などは『うる星○つら』の主人公「諸星〇たる」に近い雰囲気を感じました。



 世界観の設定も似通った雰囲気があり、町や学校は無法地帯であり、キャラの倫理観は死んでいます。

 主人公は悪口を言ってきた友人をいきなり川に突き落としますし、ヒロインの親衛隊を名乗る女生徒はスタンガンを所持しています。しかし、誰も咎めようとはしません。


 非常にやりたい放題で楽しい世界観ですね。「ギャグ作品」なので、全く違和感も嫌悪感も抱きません。

 むしろ、これからもっとエスカレートしていく事を期待してしまいます。



【総評まとめ】

 総評ですが、「文章は拙く荒いが、勢いのあるギャグ作品」ですね。

 句読点を指摘しましたが、ここを見直すだけで良作になり得る作品だと思います。


 第2話のあとがきで作者さまが「適当に殴り書きで書いた本作が、プロットをしっかり練った『救国の英雄』よりも評価が高い」という事を疑問に思われていましたが、私個人の意見としては「当然の結果」だと思います。


 まず本作は非常に分かりやすい「ギャグ作品」です。対して『救国の英雄』の方は「コメディなのかシリアスなのか」読んでもハッキリしませんでした。

 全ての読者が該当する訳ではありませんが、「読者は分かりやすい作品を好む」と言われています。


 また、申し訳ありませんが作者の渡辺さまの文章力は低いと思います。

 「コテコテのギャグ作品」である本作は、その文章力の低さが「勢いのあるギャグ」で上手く隠れているように思いました。しかし「シリアス成分」のある『救国の英雄』では、文章力の低さが大きく影響していると感じました。


 2作を比べた場合、本作の方が「良い部分が突出」していて「悪い部分が隠れている」ように感じます。

 カクヨムの評価は「運の要素が大きい」と思いますが、この件に関してはその限りではないと思いますね。(あくまで私個人の見解ですが)



【追記】

 本作は作者さまのご要望により第6話までを読んで追記いたします。


 追記は9/8(日)までに行う予定です。


 盛大に【追記】の事を失念しておりました……。

 その事に気付いたのが先程で、慌てて第6話までを読み、書かせて頂いております次第です。

 作者の渡辺さま、及び本作『ヤンデレお嬢様が離してくれないので全力で逃げる事にする。』には心より、深くお詫び申し上げます。

 (9/21日記述)



 それでは追記とさせて頂きますが、基本的には第5話も第6話も良い部分はそれ以前と同様ですね。

 キャラと文章に勢いがあり、楽しく読める「ギャグ作品」だと思います。


 ただ、描写等にいくつか改善点があるように見られましたのでいくつか指摘させて頂きます。


 まず第5話で「龍骨院金堂」という名前の筋肉オネェキャラ(?)が登場するのですが、彼女の口調はもっとネチっこい雰囲気にした方が個人的には良いのではないかと思います。

 あくまで個人的な好みではあるのですが「普通の女性キャラのような口調」よりも、より強調したオネェ口調の方がキャラが立つのではないかと思います。


 次に同第5話ですが、主人公が逃走するシーンの描写が分かりづらかったですね。

 キャラの動きが想像出来なかったので、何が起きているのか、それに対してキャラが何を言っているのかが、よく分かりませんでした。

 ここは描写の勉強や訓練を繰り返すしかないと思います。


 最後にですが、ヒロイン「西園寺穂乃果」の情緒が不安定すぎるように感じました。

 「情緒が安定してるヤンデレ」というのも変な言い方になってしまいますが、第6話でのヒロインは少し不安定すぎるように感じます。

 何ていうのか、ヤンデレの「嫉妬深い可愛さ」でもなく「嫉妬深さからくる恐怖」でもなく、「ただ単に話が通じない人」としか感じられませんでした。


 このヒロインと会話ができる主人公は、良い主人公だと思うのですが、ヒロインの方は「メインヒロインと呼ぶには魅力が明後日を向いている」ように感じてしまいました。(もちろん私個人の感想であり、人によっては彼女が魅力的なヒロインと言う読者もいると思います)



 【追記】のまとめですが、良い所も悪い所も第4話以前と同様。

 第6話で、それまでに感じていた「ヒロインの個性が薄い」は解消されたが、「その個性が魅力的とは言えない」と感じてしまいました。

 ただヒロインの見せ方の問題だとは思うので、今後次第で魅力的なヒロインともなれる事とは思います。



 最後にですが、今回はあり得ない失態をしてしまった事を、再度お詫び申し上げます。

 今後は、2度とこのような事が起きないように対策を取ろうと思います。

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