★0 黎明戯境〜就職先は自分以外の従業員が全員人外の旅館でした〜


タイトル:黎明戯境〜就職先は自分以外の従業員が全員人外の旅館でした〜

キャッチコピー:人もそれ以外も関係なく戯れよう、くだらぬ種族の境がなくなるほどに!

作者:鏡坂なぎ

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093078365181789


評価:★0


【あらすじ】

就職活動がうまくいかない青年、白鷺玄。


玄の家にある日、旅館の従業員募集中というチラシが届く。あまりの高待遇に即決で就職することを決めた玄が向かった先は、

なんと、人外だらけの旅館、戯境旅館だった!!、

しかも、人間の従業員は玄だけ!!


従業員を辞めようにもこの旅館以外に住む場所がない!!!!、つまり辞めれない!!!


途方に暮れた玄だったが、

さらにさらに、この旅館では月札という特殊な力を使って喧嘩をすることもわかって、もうてんてこまい!



「僕はただの人間なのに!!!」



謎多き上司に、

チート幼女、

天然美少女の先輩

ヤンキーみたいな掃除人

心を読む料理人、

性転換できる系幽霊、

絶対やばいやつなどなどなど…



退職届が見つかろうものならチート幼女に燃やされて上司に外堀埋められるし!



これからどうなってしまうのか!、



シリアスあり、ギャグあり、恋愛もあるかも?、人間と人外たちによる旅館ストーリー!!



【拝読したストーリーの流れ】

 1ヵ月前に大学を卒業したというのに、未だに就職の決まらない主人公「白鷺玄」。

 今日も彼の家には「不合格通知」が届いたのだった。

 かれこれ、150社以上の会社に落ち続けた「玄」は絶望に沈んでいた。


 そんな時、郵便受けにチラシの束が入れられる。

 その中には旅館の従業員を募集するチラシが含まれていた。


 チラシに書いてあった番号に電話をすると、その場で採用が決まってしまい、不審に思いながらも旅館で働く事を決意する「玄」。

 だがその旅館は異世界にあり、他の従業員は全て人外だったのだ……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが、まずメインタイトルの読みと意味が難しいですね。

 読みはともかく、意味まで察する事の出来る読者は多くないと思います。


 ですがサブタイトルが「説明文タイトル」となっていますので、作品内容はよく分かります。

 「主人公が不思議な旅館で働く」というジャンルは結構多いので、本作がどういう作品かを間違う事は無いでしょう。



 次にキャッチコピーですが、作品のテーマの説明ですかね?

 人(主人公)と、それ以外の者たちの人間関係を描いた物語という解釈で良いと思います。

 「タイトルの意味」についても、こちらで補足が出来ているように感じますね。



 タイトル・コピーのどちらも悪くないと思います。ですが「キャッチーさ」が足りないと感じてしまいました。

 両方とも、伝えるべき事は伝える事が出来ていると思うのですが「キャッチ」は弱いと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラは個性があって良いと思います。

 登場キャラは4~5人程ですが、それぞれ見た目にもこだわっており、口調などにも変化をつけていますので混同する事もありませんでした。


 ただ【文章】にも関係する事なのですが、分かりにくい描写が目立ちます。

 特に感じたのが第1話の主人公の描写です。本文から引用します。

――――――――――――――――――

 彼の髪は日本人らしい焦茶色で、少し長いが、程よく切り整えられおり、通常ならば清潔感のあるザ、好青年の髪型に見られていただろうが、このときはその髪はボサボサになり、まるで山姥が怒り狂った後のような髪型になっていた。


 それほどまで、青年の心は疲弊しきっているのだ。


 青年の顔は今にも殺し屋に殺されるのではないかと言うほどに鬼気迫る表情だった。

――――――――――――――――――

 「心が疲弊しきっている」「鬼気迫る表情」に疑問を感じないでしょうか?

 私には、主人公がどのような表情をしているのか想像が出来ませんでした。(この少し後に「鬼と言われても遜色ないような見た目」とありましたが)


 「心が疲れている」なら、それらしい表現を。「鬼のように怒っている」なら、それらしい心理描写をするべきだと思いますね。


 また細かい事なのですが、「うな」という名前のキャラが出てくるのですが、最初の1度目だけしかルビが振られていません。

 文脈によっては「うみ」と混同してしまいますので、こういった名前は付けないか、ルビを振り続けた方が良いと思います。(もしくは「海ちゃん」のように、「ちゃん」をセットにするなどの工夫が欲しいですね)



【文章・構成の批評】

 文章ですが、三人称で書かれているにしては勢いのある軽快な文章で、読みやすく好感が持てます。

 ですが多くの問題を抱えており、根本的な書き直しが必要だと感じます。


 「句読点の使用法」「誤字・誤用」「カギ括弧内での改行や空行」「簡単な二重表現」など、基本的な事が出来ておりません。「1字下げ」も、あったり無かったりです。

 特に「句読点の使用法」は酷く、何故か「感嘆符(!)の後に読点がある」などの使われ方もしています。


 また【キャラクターの批評】でも述べましたが、説明や描写が非常に分かりにくい箇所があります。こちらも例文として引用させて頂きます。

 以下の文章は「異世界にある旅館と、様々な世界を繋ぐ『しめ縄』の注意点」を説明した文章です。

――――――――――――――――――

 久遠がいうには、あのしめ縄はいろんな世界にいる旅館にとってのお客さまたちをで迎えるための世界の狭間を渡り、この旅館がある異世界へ導くための門のようなものらしい。


 それだけを聞くとものすごく便利なものと思うかもしれないが、注意事項もあり、それは、異なる世界に属すものが異なる世界へ行くと、元の世界には戻れなくなるという点である。


 ゲームなどで例えると、元の世界では自動でセーブがかかっていたおかげで、ここに来てもしめ縄に記録されたセーブデータのおかげで元の世界に問題なく帰ることができる。


 だが、他の世界のモノに触れたりしながら、例えば人二人がこの旅館側の世界からあのしめ縄をくぐると、先にしめ縄をくぐった方のセーブデータに上書きされてしまい片方の世界に帰れなくなる、と久遠は説明した。

――――――――――――――――――

 分かりましたか? 私にはサッパリ理解が出来ませんでした。


 すぐ後の主人公のセリフで「つまりこの旅館側から複数人であのしめ縄をくぐると、元の世界に戻れないってことですか?」とありましたが、こちらの方がよっぽど分かりやすいですね。(それでも疑問点は大量にありますが)



 それでは構成に移りますが、こちらは良いと思いますね。

 勢いのある文章とは裏腹に、非常に丁寧に物語が進んで行きます。話にもメリハリがあって読み進めやすかったですね。


 ただもう少し、エピソードの終わりに次話へのヒキが強ければ良かったと思いますね。

 特に第4話、第5話ですが、次話への興味は惹かれませんでした。(個人的には、ですが)



【ストーリー・設定の批評】

 本作はストーリーと設定を纏めて批評いたします。


 まず本作はタイトルとコピーから読み取れるように「旅館を舞台に、主人公が人外の者たちと交流するドラマ」であるのは間違いないと思います。

 作中の第3話で、主人公は「人とそれ以外の違いは分かる?」と質問をされます。このような質問からも、上記の予想は外れてはいないと思います。


 ですが「人とそれ以外の違い」の問いの答えは「価値観」だそうです。

 皆さんお判りでしょうが「人間同士でも価値観に違い」はあります。そして、本作に登場する人外たちには「現状では人間との価値観に大きな違いは無い」と感じました。(もちろん第6話以降で「人外の価値観」を見せてくれる可能性はあります)


 そもそも登場した人外たちは「髪や目の色、肌が違う」「子供なのに怪力」「2mを超える大男」くらいの違いしか出てきておりません。全員、「人と同じ姿」です。

 タグには「妖怪」とありましたが、もっと分かりやすく「人外」を表現した方が良いと思いました。


 第1話、第2話の、就職までの話の流れにも違和感を感じましたが、こちらは割愛します。

 本作の主題は「異世界の旅館」だと思いますので、現実世界のガバは多少は許容の範囲だと考えます。

 ただ、物語の冒頭なので違和感や矛盾は無い方が良いですけどね。



【総評まとめ】

 作者の鏡坂なぎ様には申し訳ありませんが「書き方の基本がなってない」ですね。素人の私が言うのも烏滸がましい限りですが。


 「小説の書き方」などで検索をすれば、基本的なルールを書いたブログが大量に引っ掛かります。何ならカクヨム内にもありますので、一度調べてみる事をお勧めします。


 「書き方の基本」を修め、説明や描写を分かりやすく描く事が出来れば、軽快な文章は本作の、そして今後に書かれる作品の強みになると思います。

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