★0 あやかしチルドレン~就活生の俺は妖怪に子守の仕事を押し付けられました~(旧タイトル:22歳冬、妖怪の子育て始めます!)
タイトル:あやかしチルドレン~就活生の俺は妖怪に子守の仕事を押し付けられました~(旧タイトル:22歳冬、妖怪の子育て始めます!)
キャッチコピー:妖怪✕子育て✕お仕事コメディ
作者:星城亜美
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093081478751833
評価:★0
【あらすじ】
時は明治、古来から日本にいた妖怪たちは、西洋から入ってきた科学の力によって、迫害の波にのまれつつあった。
そのため時のリーダー妖怪たちが話し合った結果、結界をつかさどる四神の力を借り、人間の入れない妖怪だけの楽園、「妖怪の里」を作った……
▽ △ ▽
時は流れ令和となり、就活生の山崎拓海(やまざきたくみ)は途方に暮れていた。
「正社員じゃないとだめ」という母親のため就活を頑張っているのに、内定がもらえないからである。
面接に行った会社は40を超え、年が明けてからはもう神頼みしかないという状態になっていた。
そんなある日、拓海はたまたま見つけたボロボロの神社で、妖怪の里に住むさとり妖怪、春採(はるとり)うららと出会う。そして妖怪の里に連れて行かれ、ほぼ無理やり仕事を押しつけられた。
その仕事とは「四神の後継者の子育て」だった!
早速結界の神(四つ子)の卵を持ち帰った拓海だったが!?
和風ファンタジー✕子育て✕お仕事コメディ、開幕!
【拝読したストーリーの流れ】
本作のエピソードタイトルのナンバリングは、ただ数字が振られているだけでしたが、本批評内では「第〇話」という風に呼称させて頂きます。
また本作は2024/8/30時点で第4話までしか投稿されておりませんので、そこまでを読んだ批評とさせて頂きます。
中々就職先が決まらない主人公「山崎拓海」は、たまたま目に着いた神社で神頼みをしていた。
「正社員になれますように」
「なぜそんなに正社員にこだわるの?」
切実に祈る「拓海」の前に、1人の女性が現れる。
仕事を探す「拓海」に、女性は仕事を紹介するという。
そして強引に連れて行かれたのは妖怪の里だった。
そこで「拓海」は、里の結界を維持する為の「四神」の卵の養育を任されてしまい……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは悪くないと思います。
メインタイトルは簡潔で分かりやすいと思いますし、サブタイトルでも作品のストーリーを分かりやすく解説しています。
ただ「旧題」を残すのは、個人的にはあまり良いとは思えません。
文章量が倍近くになり、ゴチャついている印象になってしまいました。
旧題の時から読んでいた読者に対する配慮なのかも知れませんが、そちらは近況ノート等で報告すれば良いのではと思います。
キャッチコピーですが、こちらはジャンルを書き並べたものですね。
正直、この手のコピーは良くないと思います。ジャンルを羅列しただけのコピーを見ても、それだけで作品に興味を持つ読者は少ないだろうと予想するからです。
タイトル・コピー共に、「読者をキャッチする」効果は少ないと思います。
タイトルは「悪くない」と評しましたが、それは「作品内容を伝える」という意味でです。「キャッチ」の出来るタイトルだとは思いませんでした。
コピーも同様に「キャッチ」は弱いと感じます。
【キャラクターの批評】
キャラですが、それぞれに個性があり、しっかりとキャラ分けが出来ているのは良いと思います。
ただ、主人公の思考や行動がブレブレで読者の共感を得るのは難しいと思います。
「就職面接に40社以上落ちる」というのも納得の性格ではあるのですが……。
妖怪たちは、その存在からして人間では無いので「人間の常識が通用しない」「人間とは異なるメンタリティを持っている」と考えられるので納得できるのですが、主人公や第4話で登場する人間のキャラたちまで「常識から外れている」と感じてしまいました。
「現代日本」を舞台とするには、全体的にキャラの言動に無理がありますね。
こちらについては【ストーリー・設定の批評】で後述いたします。
また、無駄に登場キャラが多すぎるように感じました。
「無駄に」と書いたのは、話の流れに必要の無いキャラに感じたからです。特に役割も無く、唐突に現れただけのように感じてしまいました。
また第4話で、主人公がヒロイン(?)を痴漢から助けるというエピソードがあるのですが、捕まった痴漢の名前まで出てきます。
たぶん、必要の無い名前ではないかと思います。(名前の出し方も非常に不自然でした)
【文章・構成の批評】
文章自体は、ギリギリ読めるレベルではあります。
あくまでギリギリ読めるレベルであり、表現力・文章力は拙いです。
特に気になったのは、空行が突然少なくなったりする場面が多く、そういった場所は読みにくかった事ですね。
また長文のセリフが続いたり、地の文で改行がされていない箇所も読みにくかったです。
無理のあると感じる描写や、意味不明と感じる描写もありました。
これは「読者に作中描写を伝える事が出来ていない」のではなく、「作者の頭の中に作中のイメージが出来ていない」と感じました。
「ダチョウサイズの卵を4つ、リュックに入れて持ち運ぶ」のは、少し無理があると思いますね。
続いて構成ですが……、第1話と第2話は良いと思います。
この2話は導入です。【あらすじ】や【拝読したストーリーの流れ】の内容ですね。
ですが第3話と第4話は、正直意味不明です。
第3話では、やる事が無くてヒマな主人公が「(物語冒頭の)神社を掃除しよう」と思い立って出かけ、石像に化けていた妖怪と出会うという話です。
第4話では、大企業の面接に向かう主人公が、移動途中で痴漢を見つけてヒロイン(?)を助けるという話です。
どちらもメインストーリーとは関係の無い話に感じました。
第3話は本当に出会っただけで終わってしまいましたし、第4話はヒロイン(?)を登場させる為の舞台をムリヤリ用意したようにしか見えませんでした。
「四神の卵」の謎や、今後の展開が全く見えてこない状況でやるべきエピソードとは思えませんでしたね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーについては第4話までの時点では何とも言えません。
タイトル・コピー・あらすじ等から、「子育て」がメインテーマだと思うのですが、肝心の「子供」がいないからです。
現状では「不思議な体験をした、ダメダメ主人公を眺める話」としか感じられませんでした。
そして設定ですが……、妖怪周りの大枠は悪くないと思います。
細かい所をつつけば荒い所も見えますが、十分に目を瞑れる範囲です。
ただ、「現実世界における常識や構造」については酷いものですね。
特に酷かったのが第4話の痴漢の話です。
満員電車でスカートを捲ろうとしている男を見つけて痴漢を止めるのですが、その際に「電車を止めて」しまいます。
そして警察に捕まりそうになった痴漢は暴れて取り押さえられるのですが、その際の罪状は「傷害罪」だそうです。
その後、主人公は警察官から事情聴取をするように協力を要請されますが、その際に警察官は「痴漢の男のフルネーム」を喋ってしまいます。
もうメチャクチャです。とても現代日本の出来事とは思えません。
まず「痴漢は未遂」です。被害者のヒロイン(?)は気付いてもいません。
この状態で止めに入る主人公も私の想像外の存在ですが、それで非常停止ボタン(作中ではSOSボタン)を押して電車を止めるのは、非常識とかそういうレベルではありません。(押したのは居合わせた高校生ですが)
そしてこの場合、男の罪状は「公務執行妨害」です。
暴れはしましたが、誰も負傷はしていないので「傷害罪」にはなりません。せいぜい「暴行罪」でしょう。
更に、たとえ相手が犯罪者でも、警官が一般人に他人の個人情報を伝える事はありません。
教える理由が微塵もありませんので、違和感しか感じませんでした。
【総評まとめ】
作者の星城亜美さまには申し訳のない総評となりますが「現実社会を描きたいなら、現実社会を勉強しよう」ですね。
作品に寄せられていたコメントを見ると、どうやら星城亜美さまは中学生のようです。お若いので、知らない事が多いのも当然だとは思います。
ですが、多くの読者は作者の年齢などは知らないと思いますし、あまりにも設定や描写に無理があると離れられてしまいます。
「知らない事や、自信のない事は逐一調べる」という事は非常に重要です。
それをしているかどうかは、作品を読めば分かってしまいます。
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