★1 「夢の中でもあなたに会いたい」
タイトル:「夢の中でもあなたに会いたい」
キャッチコピー:「絶対に叶える。だからこそ、夢を見る」
作者:うさぎパイセン、オーナーはもうダメだ。
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093082380036390
評価:★1
【あらすじ】
幾度となく夢を見る。すきなひと。
…絶対、この気持ちを粗末にしないよ。私が好きなあなたを大切にするんだから!
そんな思いを抱え、目指すは魔王の眠る白い塔。
魔王が目覚めると世界が滅ぶと言う。
勇者、と呼ばれた青年は魔王と呼ばれた女性を目覚めさせてしまうのか?
恋は時に人を殺してしまう。そしてそれは世界ですら。
恋とは恐ろしいものですね。
【拝読したストーリーの流れ】
本作の作者である「うさぎパイセン、オーナーはもうダメだ。様」は以前に批評させて頂いた『めんどくせえ嗚呼めんどくせえ』『【午前8時15分、ボクはきっと担当さんに抹殺される(確信)】』の2作品の作者でもあります。
また、本作は1話完結の短編です。
全ての災いの源とされる、名も無き「まおう」。
それを滅する使命を帯びて「勇者」は白夜の雪原を征く。
「勇者」は「まおう」を夢で見た――。
「まおう」も「勇者」を夢で見た――。
夢で出会ったのは運命の啓示か、それとも……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは「切ない恋愛もの」のような雰囲気ですね。
シンプルですが、まるで歌詞の一節のような文章はそういった作品を好む読者にはウケが良いと思います。(タイトルだけを見れば、ですが)
ただ、本作のジャンルは「異世界ファンタジー」で登録されています。
ジャンルミスではありませんが、「恋愛」の方が良かったのではと愚考します。
続いてキャッチコピーですが、こちらは「誤認を招きそうなコピー」だと感じてしまいました。
「絶対に叶える。だからこそ、夢を見る」という言葉からは強い決意を感じます。私はそこから「ここで言う『夢』とは『目標』の事だ」と感じてしまいました。
ですが【あらすじ】からは「寝る時に見る『夢』」だと思われます。
恐らく両方の意味を込めたダブルミーニングだとは思うのですが、読者に分かりづらいコピーに思えました。
本文を読む前なら、なおさら分かりにくいと思います。
【キャラクターの批評】
キャラですが、ギャップが物凄い事になっていますね。
「勇者」と「まおう」を題材にした「恋愛もの」は時々見かけますが、「ラブコメ作品」においては役職に関わらず女性側が可愛らしい性格などのデザインになっている事が多いと思います。
本作もその例に漏れていないのですが、1話(2096文字)という短編ながらそのギャップを見事に表現しています。
ただ1点、気になった事があります。
本作は、本文では「まおう」と平仮名表記ですが【あらすじ】では「魔王」と漢字で書かれています。
どちらも複数回書かれていますので変換ミスではないと思うのですが、意図が読めませんでした。
【文章・構成の批評】
文章は、少し分かりにくい箇所がいくつかありますね。
序盤の分かりにくさは意図的だと思うのですが、後半でも分かりにくい場所がいくつかあります。
まず「まおう」は名前が無かった為か後半では「わか」と呼ばれますが、名前の由来などは語られておりません。
また、その際に「わかって言わないでよ!はずかしい!」と言っていましたが、なぜ恥ずかしいのかも書かれておりません。
「オリハルコンとかだれがふかした」などの文章も読みにくかったですね。
せめて「誰」くらいは漢字の方が良いと思います。(「ふかした」に関しては、漢字なら「吹かした」、カタカナで「フカした」もアリだと思いますね)
あとは「現今」という言葉はあまり一般的では無いですね。
人によっては読めない読者もいるでしょうし、ルビを振るか「現在」などの一般的な言葉にした方が良いと思います。
構成に関してですが、本作では前半と後半で作風がガラリと変わります。
前半では純文学のような雰囲気で、後半ではライトノベルのような雰囲気で描かれます。
個人的にはギャップが面白いと感じたのですが、他の読者にとってはどうでしょうかね?
ラノベ専の方は冒頭で読むのを止めるかも知れませんし、文学好きの方は後半でガッカリするかも知れません。もちろん私のように、面白いと思う読者もいるでしょう。
ここは賛否がありそうですね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーに関しては、書くとネタバレになってしまうので書けません。
ネタバレを回避して語る方法が思いつきませんでした。
そして設定ですが、少し「ご都合主義」に感じてしまいますね。
とはいえ説得力を持たせようとすると文字数が2000文字では収まらなくなるのは明白なので、仕方のない事だとは思います。
ただ物語冒頭で、白夜の事を「日本の言葉で白夜と言うのだ」「もちろん、勇者が住まう、こちら側の世界ではそんな名で呼ばれていない」とありましたが、後半で「まおう」視点の地の文では「確か…ニホンかな?」という言葉が出てきます。
【文章・構成の批評】で例に挙げたように「オリハルコン」という単語も出てきますし、ジャンルは「異世界ファンタジー」なのですが、なぜ「まおう」はニホンを知っているのでしょうか?
【総評まとめ】
総評ですが「ギャップ萌えに特化した作品」ですね。
確かにギャップはキャラを魅力的に見せてくれます。実際、本作の「まおう」は可愛らしいと感じました。
ですが、それだけでは「面白い作品」には一手足りないと感じます。
「魅力的なキャラが何を為すか」そこに「ドラマ」があるから「面白い作品」になり得るのだと思います。
本作はそこが「ご都合主義」に感じてしまいました。
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