★0 リーフ~ファッション部とお嬢様~


タイトル:リーフ~ファッション部とお嬢様~

キャッチコピー:中学生お嬢様と仲間の成長物語

作者:石川 円花

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093073795681528


評価:★0


【あらすじ】

 私、白鳥円菜。

 大企業の一人娘。

 小学生の頃とは違う生活をすることを決めて、中学校へ入学!

 でも、いきなりの友達付き合い、部活で大混乱!!

 部活ではファッションコンテストで金賞を目指して頑張ることに。

 でも、お父様はコンテストのことを許してくれなくて・・・。

 このままで、コンテスト優勝できるの!?



【拝読したストーリーの流れ】

 大企業のお嬢様として育てられた主人公「白鳥円菜」は、今日から中学生。

 やっかみからかイジメられていた小学生から心機一転を誓い、新たな生活に臨む。


 小学一年生の頃友達だった「あーちゃん」の面影を持つ「佐野綾」と友達になり、2人で服のデザインを行うファッション部へと入部する。

 部のみんなでコンテストを頑張ろうとするが、先輩に嫉妬する人たちの妨害や、厳格な父親に阻まれて……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルですが、メインタイトルの「リーフ」が第五話までを読んでも意味が伝わりませんね。「reef」「leef」のどちらとしても、本編にハッキリと関係があるような描写はありませんでした。


 サブタイトルの方は悪くないと思います。

 「お嬢様が主人公」「ファッション部」と、物語に重要な部分が簡潔に説明されていると思います。



 次にキャッチコピーですが、こちらは少し具体性に欠ける気がします。

 「どんな仲間がいるのか?」「どう成長するのか?」を伝える事ができれば、もっと魅力的に映ると思います。



 タイトル・コピーの共に作品の舞台や設定が説明されているだけで、そこでどのような物語が描かれていくのかが分からないのが問題に感じますね。

 「中学生のお嬢様がファッション部で仲間と成長する」だけでは作品のジャンルも分かりません。

 ちなみに本作は「現代ファンタジー」で登録されていましたが「ファンタジー要素」は全くありませんでした。お話の流れからも今後出てくるとは思えません。

 登録ジャンルの選択を間違ってしまっているように感じますね。


 また読者の興味を惹くようなパワーワードも無いので、「キャッチ」の効果は弱いと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラですが、その造形や役割はハッキリとしていて良いと思います。

 ただ、その設定や表現方法は稚拙ですね。


 まず友達の「佐野綾」ですが、小学校の時の友達の「あーちゃん」と同一人物だという事は、もう少し隠した方が良いですね。

 あらゆる場面で共通点などを押し出してくるので、お互いに気付いていないという状況が読者視点ではかなり不自然です。


 次に父親ですが、キャラ崩壊が激しいです。

 「厳格な父親」で、主人公の部活動を許してくれないという立場なのですが、その時のセリフが「学校の友達とランランランラン遊ぶんだろう?」です。

 笑ってしまいましたが、この笑いは「作品の評価を下げる失笑」ですよ?


 代表的な2つを例に挙げましたが、全体的に設定はおざなりで表現は稚拙です。



【文章・構成の批評】

 文章ですが、まずは誤字が目立ちます。

 また1文が短く、改行も多く、しかし空行が少ないので全体的にアンバランスに感じました。


 ですが1番の問題は「導線がしっかり引かれていない事」ですね。

 話の展開に「そこに持っていく流れ」が無いので、唐突に場面転換されるような気になってしまいます。

 おかげで会話も脈絡が無いと感じる事も多かったですし、キャラの心情も理解出来ずに感情移入できません。



 構成ですが、こちらは駆け足と言うか詰め込み過ぎに思います。

 1話の間に2~3のテーマがあったり、あっちこっちに行ったり来たりしているように感じました。

 作中の時間軸に合わせて進行しているのだと思いますが、1つの話を終わらせてから次の話へ、とした方が読者は読みやすいと思いますね。(もちろん、それを逆手に取った手法もありますが)



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーについてなんですが……、正直よく分かりません。

 作者の意図としては「主人公が部活を通じて成長する話」だと思うのですが、色々と詰め込み過ぎでとっ散らかっているように感じました。



 そして設定ですが、【キャラクターの批評】でも申し上げましたが全体的におざなりですね。

 1つだけ例を挙げますが、第一話で主人公の自己紹介が始まるのですが、そこでは「お嬢様として、自由時間なく勉強漬けの毎日」が語られます。その中の、特に気になった内容を引用します。

――――――――――――――――――

 朝起きたら、中国語の勉強。

 これが、十年ぐらいやっているけど、結構大変。

 中国人に失礼だけど……中国語は暗号みたい……。

――――――――――――――――――

 主人公は新中学1年生ですよ? 「十年ぐらい」という事は2~3歳の頃からです。それで「暗号みたい……」って、どんな勉強をしてきたんですかね?


 物語冒頭からこのような違和感しかない設定を披露されると、その後の展開にも期待感が持てなくなります。

 そしてその予想の通り、先に待っていた設定も適当なものばかりに感じました。



【総評まとめ】

 作者の石川 円花さまには申し訳ありませんが、一言でまとめると「全体的に未熟」です。


 色々と指摘しましたが、私が特に問題と感じたのは「導線がしっかり引かれていない事」です。

 これが出来ていないと話の流れが不自然になりますし、読者としては非常に読みにくいものになります。


 設定や構成などについては、まず「分かりやすい文章」を書けなければ上手く伝える事が出来ませんので、その後の問題ではないかなと思います。

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