★0 保健室登校の僕になぜか学園の三大美女が惚れています。でも僕の本命は保健室の先生です


タイトル:保健室登校の僕になぜか学園の三大美女が惚れています。でも僕の本命は保健室の先生です

キャッチコピー:三大美女に狙われてます。ごめんなさい僕の本命は保健室の先生なんです。

作者:リアム

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093079441605480


評価:★0


【あらすじ】

保健室登校の主人公はとある事件をきっかけに学園の三大美女に惚れられ始める。


だが彼の本命は保健室の先生だった。


彼はそれをきっかけに徐々に保健室登校をやめるようになっていき、次第に彼女達との交流が増えていく。


だがその頃彼の本命の保健室の先生は奥底で眠っていた恋心を自覚し、徐々に嫉妬が溜まっていく。



【拝読したストーリーの流れ】

 イジメ(?)が原因で保健室登校の主人公「神木 賢也」。

 「賢也」は、ひょんな事から学園の三大美女と呼ばれる女生徒たちから好意を向けられる。

 だが「賢也」の本命は、従兄弟で幼馴染の養護教諭「松風 瀬良」なのだ……、というお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 こちらもタイトルは「説明文タイトル」ですね。分かりやすくて非常に良いと思います。

 「保健室登校≒陰キャ」に「三大美女が惚れる」。しかし「本命は保健室の背院生」と、作品のストーリーと面白さが上手く伝えられていると感じます。



 ですがキャッチコピーでも同じ内容を繰り返していますね。

 言い方を変えただけで内容としては全く同じですので、「キャッチ」の効果は殆ど無いかと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラクターですが、正直「よく分からない」というのが本音です。


 まず主人公ですが、「高校3年に事件を起こして、それが原因でイジメられ、不登校になる」「その後、現在の学校に転校したが、またしても不登校になり、その後は保健室登校になった」とあります。

 僅か1年以内の間に、別の場所で2度も問題を起こしているのですから主人公自身に何らかの問題があるものと推測できます。しかし、その詳細は第5話までの時点では全く触れられておりませんでした。


 主人公というキャラを形作る「重大な何か」が全く明かされていませんので、評価のしようがありません。


 そして、恐らく本作のメインヒロインである保健室の先生ですが、こちらも「何を考えているのか理解に苦しむキャラ」です。

 主人公を現在の学校への編入を勧めたのが彼女なのですが、その時点で主人公は「不登校を止め、登校している」のです。それを「無理するくらいなら」と「うちの学校きなよ」と非常に軽いノリで勧めます。


 正確な時期などは書かれていませんでしたが、高校3年生の時期に転校を勧めるなんてマトモな社会人の行動とは思えません。

 しかもその後に結局主人公は保健室登校になっている訳ですが、その事についてもどう考えているのかは文章からは読み取れませんでした。


 また登場する全てのキャラの言動が、どこか「造り物らしい」ものに感じられました。別の言い方をするなら「わざとらしい」ですかね。

 特にモブキャラが顕著でしたが、「主人公に絡む為に、作者に言わされた言動」にしか見えません。

 残念ながら「生きたキャラ」とは思えませんでした。



【文章・構成の批評】

 文章は非常に拙く、読みにくいですね。

 まず誤字脱字が多く、文法や「てにをは」の間違いなども目立ちます。必要な文章が省かれていると感じる場面もあり、動きやキャラの心情が理解出来ない場面もありました。


 ですが一番の問題は「一人称と三人称が混在している」という事です。

 本作では「基本的には三人称」ですが、時折「明確な一人称」が挟まれます。特に三人称の場面では人称代名詞を「彼」「彼女」と書き、一人称の場面では「俺」と書いています。


 三人称で文章を書く場合「視点の位置が分かりにくい」というのは起こりがちな問題ではありますが、本作の場合は「三人称と一人称の距離感のギャップが激しすぎる」と感じました。

 「彼」と、非常に遠い位置から俯瞰していたのに、急に「俺」と言われては戸惑ってしまいます。



 次に構成に移りますが、「まだ話が始まっていない」という感想です。

 主人公の状況説明に、ヒロインとの関係の説明。そして「三大美女」のうちの2人が登場しただけという印象です。

 1話が約3000文字以内で短めではあるのですが、5話もかけて「話が動いていない」というのは、少し展開が遅いと感じますね。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーですが、話の大筋は良いと思います。

 「三大美女に言い寄られるが、主人公は保健室の先生が好き」という構図は美しいと思います。ですが、本文を見ると「メインヒロインは保健室の先生」の様に見えます。

 あくまで個人的にですが、スポットを当てるべきは「三大美女」の方が良かったのではないかと愚考します。


 また本文では「保健室の先生もまんざらではない」ように見えましたが、ここは「全員が一方通行の恋愛」をした方が楽しい物語になったのではと愚考します。



 そして設定ですが……、主人公の設定は無理があり過ぎですね。

 【キャラクターの批評】でも述べましたが、

「高校3年生で事件を起こす」

「それが原因でイジメられ、不登校になる」

「引き籠っていた主人公にヒロインが喝を入れ、少しづつ登校するように」

「再度イジメられたが、主人公が相手にしないでいると次第に無くなっていった」

「無理をしている主人公を見かねたヒロインが転校を勧める」

「転校したが、主人公はまた学校を休むようになり、保健室登校に」


 ……主人公は高校生ですよね? これ、1年間で起きた事ですか? というか、作中では何月なのでしょう? まさか留年したなんて事はないですよね?

 きっとこれを見て「そんなに言うほどおかしいか?」と仰る方は少ないと思います。


 創作なので、絶対に現実準拠でなければならないという事はありません。時にはリアリティを捨てた方が良い場合も多くあります。

 ですがこれはあまりに酷いですね。現実世界なら絶対に有り得ないほどの経緯ですが、作品の面白さに何一つ寄与していません。

 それどころか「何度も問題を繰り返す主人公」という、主人公の、ひいては作品の魅力の低下に繋がっていると感じます。



【総評まとめ】

 纏めますが、「キャラの配置は良い。だがそれだけの作品」ですね。

 恐らく、最初の思い付きは良かったのだと思います。ですがその後の調理があまりにも下手でしたね。


 作者のリアム様には申し訳ありませんが、全体的にレベルが低く、特に設定面においては目も当てられません。

 本作を面白くするには全体的な作り直しが必要かと思います。

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