★0 冒険者の果てなき旅
タイトル:冒険者の果てなき旅
キャッチコピー:「この国にミジンコが現れた」「す、すぐにギルドマスターに報告します!」
作者:しろめし
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093075589155071
評価:★0
【あらすじ】
王都からほとんど出たことがないA級冒険者リライズ・シェフト。
彼は魔術学院を卒業したあと、冒険者になって6年であるにもかかわらず、冒険らしい冒険をしたことがなかった。
冒険者という名ばかりの彼は家族から外の世界へ行くことを勧められ、まだ見ぬ未知と発見を探すという体裁でしばらくあっていない魔法都市にいる妹と会うための旅にでる。
そんな彼が20年以上いた王都から出て、果なき旅をする物語である。
【拝読したストーリーの流れ】
本作にはプロローグがありましたので、第4話までを読んだ批評とさせて頂きます。
第4話までの時点では、【あらすじ】で書かれている事が全てです。
王都で自由気ままに生きている主人公「リライズ」が、家族から旅に出るように勧められて王都を後にする。
それ以外は描かれていませんでした。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルですが、あまり良いとは思えませんね。
というのも、本作のジャンルは「コメディ」になります。(タグには「シリアス」と「コメディ」の2つがありましたが、第4話まででシリアス要素は皆無です)
なのに、タイトルからコメディを思わせる雰囲気が全くありません。
もっと、「コメディらしさ」を表したタイトルに変更した方が良いと思います。
対してキャッチコピーですが、こちらはコメディ色が全開ですね。
実際に作中でこの様な描写があるのかは不明ですが、ミジンコが大きな脅威のように書かれているのは興味を惹いて良いと思います。
タイトルとコピーで齟齬が起きているように感じますが、タイトルをコメディ寄りに変更すればこの問題は解決すると思います。
また、タグの「シリアス」は消去した方が良いのでは、と愚考します。
【キャラクターの批評】
キャラは全員が淡白で、人間らしさを感じません。
主人公以外は心理描写もされず、言動の全ては「物語を進める為の台本に沿ったもの」のように感じてしまいました。
では心理描写のある主人公には人間らしさを感じるのか、と申しますとこちらも難しいですね。
まず主人公は特徴として「高い実力を持つAランク冒険者」「友達がいないソロ冒険者」「20年以上王都からロクに出ていない」という設定があります。
つづいて精神的な特徴として「面倒くさがり」「短気」「他責思考が強い」「僻み根性が強い」「被害妄想も強い」「他者の意見を聞かない」といった性格に感じました。
冒険者として働いていますし実家を出て宿屋暮らしをしているようなので、表現としては正しくありませんが「ニート」や「こどおじ」などと近い精神性を持っているように感じます。
決して現実世界における彼らを貶すつもりはありませんが、物語の主人公としては魅力に欠けますね。
本作は「コメディ」ですので、その辺りは少し緩和されていますがプラス材料にはなりませんね。
【文章・構成の批評】
文章は、「子供にも読みやすく」と意識でもされているのでしょうか? 非常に拙いというか、幼稚な言い回しが多いですね。
そのおかげか読みやすくはありますね。拙いという印象は拭えませんが。
ただ誤字脱字誤用が少しあり、読点も少ないのは読みにくいですね。
また微妙な表現もあり、プロローグで主人公が殴った相手が「地面にバウンドして、壁にぶつかった」という描写があったのですが、どういった動きなのか想像できませんでした。
この表現は2回あり、2度目では「地面に何度もバウンドし壁に、ドォォォォンとぶつかる」と書かれています。
ちなみに2回とも冒険者ギルド内の出来事です。(「床」ではなく「地面」と書かれているのも気になりますが)
続いて構成に移りますが、こちらもあまり良いとは言えないと思います。
プロローグで主人公が他の冒険者に絡まれるのですが、このイベントの意味があまり無いように感じます。
軽くあしらう事で主人公の強さをアピールするのなら、次の話でグリフォンを嬲り殺しにしている事で十分でしょう。
そして第3話の終わり方がブツ切りで、全く何のヒキにもなっていません。
一番の問題は「第4話までに、主人公以外のメインを張れるキャラが登場していない」という事です。
あくまで個人的にはですが、私は本作の主人公に魅力を感じませんでした。
ただ主人公は確かに重要ですが、ヒロインやライバルなどの重要なキャラに魅力があれば面白くする事も可能です。
ですが本作には、そういったキャラが登場しないまま第4話を終えてしまいました。
1話ごとの文字数が多くても1500文字以下なので、読むのは楽ですが「続きが気になる」作りは出来ておりませんでしたね。
【ストーリー・設定の批評】
ここには何も面白い所はありませんでしたね。
「精神的に未熟な男が無双して旅をする」話だと思います。(間違っていたらゴメンナサイ)
【構成】でも申し上げましたが、「コメディ」を面白くする為に絶対に必要な「役」が本作には抜け落ちているんですよね。
それは「ツッコミ役」です。
主人公は不快でも、無双しても良いんですよ。「コメディ」なら、そこに大した理由がなくても構いませんし、無茶な理由でも構いません。
ただ「ツッコミ役」が不在では、絶対に面白くはならないと断言します。
もしかしたら今後出てくるのかも知れませんが、遅すぎますね。
最初の5話まで……、出来れば最初の1話で「この作品はこんなに面白いんだ」とアピールする必要があります。これは「コメディ作品」なら、なおさらです。
重厚なストーリーや、濃密な設定などがウリの作品なら「面白さの片鱗」を見せるだけでフックにもなり得ますが、「コメディ作品」の場合は特に「短期での面白さ」が重視されます。
本作の序盤に、それは感じられませんでしたね。
【総評まとめ】
作者のしろめし様には申し訳ありませんが「中途半端な作品」ですね。
描写は軽く、コメディっぽい雰囲気を出してはいますがコメディにはなりきれていないと感じました。その最たる理由は「ツッコミ役」の不在です。
主人公には魅力が無く、むしろ不快にすら感じます。
そして最大の問題は、「序盤で面白く出来なかった事」ですね。
他ジャンルでも重要な課題ではありますが、「コメディ作品」においては致命的だと思います。
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