★0 【カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募作品】ゲーム知識とチートのせいで物語の中心に引きずり込まれる主人公のお話。


タイトル:【カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募作品】ゲーム知識とチートのせいで物語の中心に引きずり込まれる主人公のお話。

キャッチコピー:チート、TS要素は当たり障りないぐらい。

作者:さんばん煎じ

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093072800840479


評価:★0


【あらすじ】

魔法がとても大好きな主人公。

そんな主人公が突然、

好きなゲーム世界に転生し、

始めは生きるのに精一杯だったが、

原作のイベントやら周りの関係やら、

果てには原作にないイベントにまで

巻き込まれてどんどんと

原作の中心に押し込まれていくお話。



【拝読したストーリーの流れ】

 まず本作には、本編に入る前に設定資料集が2種類・幕間の説明(?)・幕間1という、4つのエピソードがありました。

 一応、これらを読んだ上で本編開始のプロローグ~第4話までを批評対象とさせて頂きます。



 ストーリーは【あらすじ】で書かれている通りですね。

 魔法に憧れて、それを実現しようと何やら研究までしていた大学生が交通事故で死に、大好きだったゲーム世界に転生して冒険するお話です。

 TS要素もあるようですが、他作品との差別化は特に無いですね。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 まずタイトルですが……、【カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募作品】という言葉が目につきますね。


 個人的には「邪魔」ですね。当然ですが、作品の面白さを担保するものではありません。「コンテストに参加する」だけなら誰でも出来ますので。

 ★やPVが多ければ面白さの担保になるかと問われれば、もちろんそれも違うと思いますが、これはそれ以上に「意味のないアピール」に感じます。

 何より文字数を使い過ぎです。


 そして、その後に続くタイトルにも何の魅力も感じません。

 『ゲーム知識とチートのせいで物語の中心に引きずり込まれる主人公のお話。』との事ですが、これでは「ゲーム世界に転生した主人公がチートを得る」事しか分かりません。「主人公が物語の中心になる」なんて、言わなくても全部そうですよ?


 読者の興味を惹きそうなワードとしては「ゲーム」「チート」がありますが、これらは非常にありふれた、供給過多とも言えるジャンルです。

 そしてせっかくのパワーワードすら、先程の「コンテスト参加アピール」の文章のせいで埋もれているように感じます。



 キャッチコピーに移りますが、『チート、TS要素は当たり障りないぐらい。』ってどういう意図で書かれたのですかね?

 本来キャッチコピーとは、読者をキャッチする為に作品の魅力をアピールする為のものだと考えます。ですがこの文章は、まるで逆に感じます。


 私には「チートはそこまでではないよ」「TSも控え目だよ」と、まるで「作品がつまらない事を言い訳している」ように感じてしまいました。

 私の受け取り方が極端なのは自覚しておりますが、この文面からは作者の「この作品は絶対に面白いっ!」という気持ちが感じられません。

 本来「チート」「TS」とは、作品の強みになる筈です(現在では、それだけでは強みにはなりませんが)。それをスポイルするようなコピーを読んで、面白そうだと感じる読者はいるのでしょうか?



【キャラクターの批評】

 第4話までに登場する主なキャラは、主人公だけでした。

 ですが残念ながら、魅力的なキャラとは言えないですね。その説明をする為に、作中で書かれた主人公の特徴と行動を羅列いたします。


 まず転生前ですが、中性的な顔立ちの、魔法を使いたくて理数の勉強を重ね(?)、大学でも優れた論文を書くエリートという設定です。

 ですが考え事をして道路を渡り、前方不注意で車に撥ねられて死んでしまいます。


 ここまでで特に魅力的な特徴はありませんね。せいぜい「中性的な容姿」くらいでしょうか。


 そして転生後ですが、何故かより女性的な身体になり、女物の服を着て森にいて、まず異世界転生の可能性を考え、金銭を得る為に冒険者になり、ダンジョンに潜って得た報酬で果物と包丁・男物の服と財布を買って文無しになり、野宿するという流れです。


 起こった現象もキャラの魅力には繋がりませんが、主人公の取っている行動がメチャクチャです。

 「死んだ後に見知らぬ森にいたら異世界転生を疑う」「まずは冒険者ギルドに」って、「なろうテンプレ」に毒され過ぎですね。


 しかもずっと空腹を訴えていたというのに、やっと得た金銭で買う食糧が「リンゴと梨」って何でですかっ? 殆ど水分ですよっ!

 「包丁もないから食材を刻めないんだよ」とか、道具がないから仕方なく丸かじりできる食べ物を買ったみたいな事が書かれてましたけど、食堂くらいあるでしょうっ⁉ しかも、その後に包丁を買ってるじゃないですかっ!


 主人公の行動にツッコミばかり入れてしまいましたが、本作がギャグならば良い主人公だったかも知れませんね。

 その場合、ツッコミ役が必須ですが。



【文章・構成の批評】

 文章は非常に拙いです。正直、読めるレベルでは無いですね。

 まず誤字と誤用などの、単純な間違いがありますね。特に「別のキャラの苗字と名前がミックスしている」という間違いは酷いですね。


 次に「一行の文字数が非常に少ない」事を挙げさせて頂きます。

 おそらく本作は「スマホ」か何かで執筆されているのだと思います。そして文章が行を跨ごうとする度に改行を入れておられるのだと推測します。

 その為か、一行の文字数がおおよそ20文字くらいとなっています。


 結果として1つのエピソードが非常に縦長になっております。スクロールの手間が無駄に増え、読者としては面倒です。

 何より単純に読みにくかったですね。


 最後に、身も蓋もない事ですが「単純に文章力が拙すぎる事」です。

 その為「何を伝えたいのか」は分かるのですが「何を言っているのか」が分からないという、非常に残念な文章となっています。

 こちらは例文を引用します。下の文章は「魔法の説明」です。

――――――――――――――――――

魔法はイメージの世界で、イメージと

それを具現化する魔力で成り立つ。

その補助や演算の肩代わりをする

魔法陣や道具。

イメージは具体的であればあるほど

発動効率や魔力の霧散が少ないなど

様々な恩恵が微妙にある。

――――――――――――――――――

 まぁ、分かりますよ? 「魔法はイメージが重要で、それによって効果や消費魔力などが変わる」「魔法を補助する道具もある」という事を伝えたかったのでしょう。

 ですがそれは「読者の側が、作者の意図を読み取ったから」です。こんな単純な内容でさえ、それをしなければならない文章を読むのはストレスですね。

 もちろん、この様な内容の文章は全編にわたって書かれています。



 構成に参りますが、本編に入る前の「設定資料」と「幕間」について先に語ります。


 まずは「設定資料」ですが、私はそもそも「これをエピソードの1番最初に持ってくる」のは良くないと思っています。

 その理由は「本編を読む前の読者が設定を読んで、何が面白いのか?」と考えているからです。


 いきなり「キャラの名前」や「作中の用語」を見せられても理解は出来ないですよね? そして、これらを読まなければ本編が理解出来ないようなら、それは本編の方を改めるべきだと考えています。

 そして本編を読み進めてから、わざわざエピソードの最初に戻って「設定」を読む読者はごく少数だと思います。


 そういった私の考えを抜きにしても、本作の設定資料にはとんでもない問題がありましたので、一部を引用させて頂きます。

――――――――――――――――――

ナレーターさん

解説枠。この人が入るとき、視点が

三人称になります。

「彼」とか、「人間」とか、独特な言い回し

の時は大体彼です。

シームレスに変わったり変わらなかったり

するので、ちょっと注意して読んで下さい。

――――――――――――――――――

 何を言ってるんですか? 「注意して読んで下さい」? 注意をするのは「読者」ではなく「作者」ですよ? なぜ、作者が読みやすく表現する努力を怠りながら、読者に注意を促しているのですか?


 どうやら作者さまは勘違いをなさっているようですね。

 ハッキリ申し上げますが、読者は「あなたの作品を読みたい」のではありません。「面白い作品を読みたい」のです。そして「読みにくい作品」は、間違いなく「面白い作品」からは遠ざかります。

 あなたの作品が「面白さ」よりも「読みにくさ」が上回った時、読者は「注意をしてまで続きを読みません」。


 続いて「幕間」に参ります。

 こちらについてはまず、別作品の批評でも述べましたが「物語冒頭では、まだ『幕』が上がっていないので『幕間』と呼ぶのは相応しくない」ですね。

 そして「幕間1」の内容ですが、「読者に最初に見せるエピソードとして相応しいとは思えない」と思いましたね。


 「幕間1」では、未来の時間軸で「意志を持った武器が、主人公の服を買う」だけの話ですね。恐らく「TS要素である、主人公の可愛さ」を描きたかったのだと思います。

 ただ、物語冒頭で見せる話では無いと思いますね。


 続いて本編に入ってからの構成に移ります。

 こちらはそれほど問題は無いように感じますね。1話1話に区切りがあり、話の最後も次話へのヒキを見せています。



【ストーリー・設定の批評】

 本作のストーリー・設定に語るべき所のある部分はありませんね。

 「TS要素のある、ゲーム世界転生」です。オリジナリティは全くありません。



【総評まとめ】

 作者である、さんばん煎じ様には申し訳ない事を言いますが、「本作に見所は1つも無い」と感じました。


 ストーリー・設定は「なろうテンプレのデッドコピー」です。

 文章は読みにくく、展開も面白くありません。

 キャラも思考・言動に現実味がなく、魅力がありません。

 タイトル・コピーですら、「読みたい」と思えるものではありませんでした。


 極めつけは「シームレスに変わったり変わらなかったりするので、ちょっと注意して読んで下さい」という注意書きですね。

 「良いものを書く」「作品を良くしていく」という志の無い作者に、良い作品は絶対に作れないと断言いたします。出来たら天才ですね。



【追記】

 本作は作者さまの要望により第5話、および第四章 「学園」一年生編53話〜57話の追記を予定しています。


 一気に50話近くも話が飛んで、内容が理解できるのか不安ではありますが……。



 まず、第5話を拝読しました。

 第4話の内容で「野宿をして、倒れた木の上で寝た主人公」でしたが、それは倒木ではなく材木であり、主人公を発見した木こりが不憫に思って連れ帰るといった話でした。

 第5話はその続きで、主人公と木こりの会話だったのですが……。正直、「意味のあるエピソードにはなっていない」と感じました。


 主人公と木こりの会話は「噛み合っていないようでいて、噛み合っていて」と、私が何を書いているのか分からないほど酷いものです。

 話の流れが突飛であり、発想も飛躍しております。そんな2人の会話が齟齬を起こす事も無く噛み合っております。

 かなり不自然な会話ですが、おそらく作者は内容を理解している為に気付かないのでしょう。


 そんなエピソードなので、キャラの魅力を引き出す役には立ってはおりません。

 そしてストーリー進行としては「ゲーム世界での位置関係の情報を得た」事で、次の目的地が決まったようです。



 そして一応、第53話~第57話までを拝読しましたが……。やはり内容は理解ができませんでしたね。

 分かったのは「本作の主人公と、ゲームの主人公が敵対していた事」くらいです。まぁ、「ゲーム世界転生もの」の8割くらいはゲーム主人公と敵対していると思いますが。


 文章は相変わらずですね。話が飛んだ事を抜きにして考えても、何が起きているのかが分かりづらい文章でした。

 特に戦闘描写は酷く、状況がほとんど分かりません。魔法名で『バースト』とか『ロックメアル』とだけ書かれても、読者には伝わらないと思います。


 あとは、どうやら主人公は「女」として学園に通っているようで、沢山の女子生徒たちと仲良く生活しているような描写がありました。

 たぶん、日常パートは「おに〇い」のような感じなのですかね?


 おそらく、作者さまは「本作の見所」として「主人公同士が戦うシーン」を見せようと第53話~第57話を指定されたのだと思います。

 ただ「見所のシーン」や「感動のシーン」というものは、それまでの「過程」があるからこそ見所があり、感動が出来るのだと思います。それらのシーンを、ただ切り抜いて見ても「面白い」とは私は感じませんね。

 特に読んだ意味は無かったな、と感じました。


 「映画などのCMなんかは切り抜きじゃないか」と考える方もおられるかも知れませんが、あれらは「面白い」ではなく「面白そう」と思わせるのが目的です。

 そしてweb小説で「面白そう」と思わせる役割を持っているのは、物語の序盤数話です。数十話も読み進めてから初めて「面白そう」と思う読者は、ほぼいないと思います。(もし、いらっしゃったら教えてください。どのような読書スタイルなのか、ぜひ尋ねてみたいです)

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