★2 俺生産系オタクに戻ります


タイトル:俺生産系オタクに戻ります

キャッチコピー:俺は大切なモノから逃げた、けど俺を見てくれる人はまだいる

作者:微睡

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093077896273183


評価:★2


【あらすじ】

シナリオを書くことが大好きだった秋葉清十郎は中学生の時に同人サークルに加入。シナリオライターとして、ノベルゲームを生み出すも、ネット上での批判やメンバーとの才能の差に挫折、それ以来同人界隈に足を踏み入れることがなかった。


その出来事から5年。大学1年の春休み。

彼は自分のファンを名乗る少女と出会う。

この出会いが彼の運命の歯車を変えていくことになる。


これはブランクを抱えた元シナリオライターと仲間たちによって紡がれる1つの青春の物語である。



【拝読したストーリーの流れ】

 前回お伝えした通り、今回は『俺生産系オタクに戻ります』の「完全版」の批評となります。



 基本的にストーリーの流れは同じです。

 拝読したところ、どうやら本作は「1から作り直した」という訳では無く、「改良前の文章に加筆修正した」作品のようです。


 ですので、「基本的には同じ」です。

 大きな違いとしては「作品ジャンルが『現代ドラマ』に変更」「女性キャラ2人が、やや『ラブコメ色』が強くなる」「説明文が読みやすくなった」「第5話のラストに追加がある」、そして「地の文から空行が無くなる」といった事でしょうか。

(「第5話のラストに追加がある」に関しては、「修正前」の第6話冒頭にもほぼ同じ文章がありました)



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは全く同じですね。割愛します。



 キャッチコピーですが、僅かに変化がありますね。


(旧版)「俺は天才から逃げた。けど、まだ俺を見てくれる人がいる」

(新版)「俺は大切なモノから逃げた、けど俺を見てくれる人はまだいる」


 まぁ、大した違いではありませんね。

 ただ、読んだ時のリズム感は(旧版)の方が良く感じますし、句読点の使い方も(新版)の方が悪化している様に見えます。



【キャラクターの批評】

 最初に書いた通り「女性キャラ2人が、やや『ラブコメ色』が強くなる」といった変化があります。作品ジャンルは「現代ドラマ」へと変更されていますが、これは良い変化だと思いました。


 そこまで露骨な媚び方ではないですし、個人的には「親友の妹」の魅力が増したように見えます。


 他は、中学時代のサークルメンバーから「サウンド担当がいなくなった」くらいで、特に変化は無いですね。



【文章・構成の批評】

 文章に関しては、「全く変化の無い問題点」と「改善している点」、「悪化している点」があります。


 まず「句読点の使い方が悪い」「誤字脱字が散見される」に関しては、変化がありません。


 そして前回「最大の問題点」とさせて頂いた「地の文のバランスが悪い」に関しては、若干改善がされていると思います。

 ここは恐らく、文章の配置バランスを見直したりなどして、説明文を理解しやすいように修正なされたのだと思います。

 「説明文とギャグが混在する」という基本は変わってはいませんので、相変わらず相性は悪いとは思いますが、随分と読み易くなっているように感じました。


 次に「マンガやゲームなどの実名を出す事が多い」という事についてですが、こちらは更に頻度が増えています。

 個人的にはマイナスポイントですね。理由は前回に申し上げた通りです。


 そして致命的だと思うのが「地の文から空行が無くなった」という事です。(厳密には、「完全に無くなった」のではなく「大きく減少した」が正しいですが)

 なぜ空行を無くしたのでしょうか? 前回は確かにありました。


 web小説では行間が短いので、空行が無いと非常に詰まって読み難いです。

 特に本作は地の文が多めですし、第1話を開いて文字が埋まっているのを見た読者が、本文を読まずにブラウザバックする可能性も高いと思います。



 構成に移りますが、こちらは「無駄な説明」が増えましたね。

 特に、主人公が中学時代に作ったゲームの設定が長々と記載されてたのは良くないと思いました。(約1700文字)

 恐らく、この設定は本作の面白さに全く貢献しておりません。むしろ、「読者の読む気を失くさせる文章」だとすら思います。こういう設定が好きな方もいらっしゃるかとは思いますが、間違いなく少数派です。


 せめて、本文とは違う場所に「設定集」などのエピソードタイトルをつけて、「読みたい人だけ読んでくれ」といったスタイルの方が良いと思いました。


 また、全体的に文字数が増えたのも良くないですね。

 当然ですが、文字数が少ない方が読者は読みやすいです。内容がほぼ変わっていないのに文字数が増えたので「薄まった」ように感じてしまいました。



【ストーリー・設定の批評】

 ここは変化なしですね。割愛します。



【総評まとめ】

 「完成版」との事ですが……、個人的には「悪化」したとすら感じます。

 最大の問題点としていた「地の文のバランスが悪い」に関しては一定の改善がされたと思いましたが、それ以外の悪化要素が無視できません。


 大きな悪化要素は「空行が無くなった」事と「説明が増えた」事の2点です。

 「空行」に関しては、絶対に入れた方が良いと思います。

 「説明」に関しては好みもありますが、テンポを阻害するような説明文は省いた方が多くの読者にはウケが良いと思います。


 前回は、「『現代ドラマ』として評価したなら、ギリギリ★1として評価していました」と書きましたが、今回も「ギリギリ★1」です。

 問題点が改善したのに評価が変わらないのは、「改善したのと同等の改悪があった」と判断したからです。



【追記】

 本作は作者さまのご要望により第8話までを読んで追記します。

 「旧作」の方も同様に第8話まで追記しております。



 まず「修正前」との比較から入ります。


 第6話に関しては、冒頭の「美雪」からの誘いを断るシーンが第5話のラストに移動しておりますので、主人公の妹に終始したエピソードとなっております。

 おかげで「修正前」で感じた様な「纏まりの無さ」がなく、一貫していて良くなったと思いました。


 第7話は「修正前」の第8話がスライドしており、「人物紹介」が無くなっています。

 「美雪」の回想の大まかな流れは同じなのですが、説明がより分かりやすくなっていました。ただ、それでも「自分以外の誰かがイジメられていて、それがいつの間にか『美雪』になった」と感じたのは変わりませんでした。


 しかし「修正前」で締め括られていた「結局、友達は出来なかったが、心から笑って中学を卒業できた」という部分は変更が加えられており、その内容は十分に理解と許容の出来るものと変化していました。


 また「完全版」では更に話が続き、「美雪」の主人公への想いが綴られます。

 ここは「好き嫌いは分かれそうだな」とは思いましたが、私は個性的なヒロインで良かったと思いました。


 第8話では「美雪」が再度、主人公に「同人活動をしよう」と誘い、それを断る、という話です。

 これだけを見ると「1度やったシーンの繰り返し」に聞こえるかも知れませんが、読んでみると全然違うシーンです。


 まず「美雪」が本性を表しましたね。

 真っ直ぐで、暴走気味な、厄介なオタクで、ストーカーです。先程も言いましたが、好き嫌いは分かれそうですが、私は好印象です。


 そして主人公とのやり取りも、熱が入っていて良かったです。

 熱が入っている為、「最終的に誘いを断る」のは第5話と同じなのですが、言葉の重みが全然違いますね。



 ここまでを読んだ感想ですが、「修正前」とは大分違いますね。

 「人物紹介」が消えたのも大きな理由ですが、第6話が「妹の話」で一貫してたのも良い変化だと思いましたし、何より「美雪」がしっかりと魅力のあるヒロインへと変化していたのが大きいですね。


 そして、批評本文で私が「改悪だ」と評した「空行が無くなった」と「説明が増えた」に関してですが、説明は確かに多かったですが、序盤ほどは気になりませんでした。

 そして空行に関しても、第6話以降では「もう少し増やした方が良いが、許容内」だと感じました。……書かれたタイミングが違うんですかね?


 説明に関しては、簡単に修正する事は難しいかと思いますが、空行は簡単に修正が可能だと思います。

 空行の修正がなされたものだと仮定すれば★2が妥当だと感じましたので、評価を★1から★2へと改めさせて頂きます。

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