★0 俺生産系オタクに戻ります(更新休止)


タイトル:俺生産系オタクに戻ります(更新休止)

キャッチコピー:俺は天才から逃げた。けど、まだ俺を見てくれる人がいる

作者:微睡

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093077287401376


評価:★0


【あらすじ】

シナリオを書くことが大好きだった秋葉清十郎は中学生の時に同人サークルに加入。シナリオライターとして、ノベルゲームを生み出すも、天才的なメンバーとの才能の差に挫折、それ以来同人界隈に足を踏み入れることがなかった。


その出来事から5年。大学1年の春休み。

彼は自分のファンを名乗る少女と出会う。

この出会いが彼の運命の歯車を変えていくことになる。


これはブランクを抱えた元シナリオライターと仲間たちによって紡がれる1つの青春の物語である。



【拝読したストーリーの流れ】

 まず批評を始める前に、本作は作者さまが改稿をして作り直されております。今回批評させて頂くのは「修正前」の作品です。

 作者の微睡さまより「旧作のどこがダメで、完全版で改良された点はどうか、また完全版のどこが未だにダメなのかをご教授いただけると幸いです」とのお言葉を頂きましたので次回は「完全版」の批評をさせて頂きます。(2作品の批評を提案したのは私からですが)


 また、「修正前」の作品もタイトルの通り『(更新休止)』として残されていますので、お読みの際はお間違えの無いようにお願いします。



 大学2回生の主人公「秋葉清十郎」にはトラウマがあった。

 それは中学生の頃、同人サークルでゲームのシナリオライターを担当し、ユーザーから酷評され、サークルメンバーの才能に打ちのめされ、逃げ出した事だ。


 そんな「清十郎」は高校で親友とも呼べる2人、「茅野凛」と「柊葵」と出会い、高校卒業後も付き合いが続いていた。

 だがある日、「葵」が妹の「柊美雪」を連れてきた。


 「美雪」はかつて作ったゲームシナリオのファンだと言い、事もあろうか「私と、もう一度同人サークル作りませんか?」と言ってきた。

 中学以来、一切の創作活動を行っていなかった「清十郎」は……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルはシンプルで良いですね。

 ただ「間に読点を入れる」と、もっと読みやすくなると思います。

 比較してみましょうか。


『俺生産系オタクに戻ります』

『俺、生産系オタクに戻ります』


 【文章の批評】にもなってしまうのですが、本文の方でも「句読点の使い方が悪い」と感じた箇所が散見されました。



 次にキャッチコピーですが、非常にシリアスな文章ですね。

 主人公の後悔、そして今後の希望が見えてきます。この作品が「」などであったなら、悪くないコピーだと思いました。



 タイトル・コピーともに重大な問題を抱えています。それは本作のジャンルが「ラブコメ」で登録されている事です。

 「ラブコメ」で最も重要なのは「魅力のある可愛らしいヒロイン」です。ですが主人公の事しか書かれていません。これでは「ラブコメを読みたい読者」は元より、「シリアスなドラマを読みたい読者」も去っていく可能性があります。


 特にコピーは最悪と言って過言ではないと感じました。

 「重くシリアスなコピー」と、「ラブコメ」というジャンルが全く噛み合っていません。



【キャラクターの批評】

 キャラクターについてですが、主人公と親友たち3人は個性があって良かったと思います。

 ですが「ラブコメ」として見た場合、ここでも問題が発生していると感じます。


 それは「第5話までの範囲で、明確なヒロインが登場していない」という事です。

 親友の1人は女性ですが、現時点では恋愛対象として見ているような記述はありませんでした。

 そして親友の妹ですが、他の3人の個性が強すぎる為か、全く目立っていません。


 「ラブコメ」として見たなら、本作はこの時点で落第ですね。


 他の問題点としては、回想として主人公の中学時代の同人サークルメンバーが出てくるのですが、「余計な情報が多い」と感じてしまいました。

 この回想での重要人物は「主人公をゲーム制作に誘った先輩」だけであり、イラスト担当やプログラマーなどの紹介は軽くで良かったと思います。その後に本編で登場するのなら、説明はその時でも良いのではと思いました。



【文章・構成の批評】

 文章自体は読めるレベルではあるのですが、問題点も多いですね。


 まずは【タイトル・キャッチコピーの批評】でも触れた通り、「句読点の使い方が悪い」と感じます。

 ここは「こうあるべきだ」というような正解は無いのでセンスなどの問題にはなりますが、一度見直した方が良いと思います。


 次は「誤字脱字が散見される」事です。

 そこそこの量がありましたので、こちらも見直した方が良いでしょう。


 続いて「マンガやゲームなどの実名を出す事が多い」事です。

 個人的にはですが、これは「必要が無ければ出さない方が良い」と私は考えます。その大きな理由は「元ネタを知らないと読者に伝わらない」からです。

 本作で用いられる元ネタは有名な作品が多かったのですが、あまりにも用いられる頻度が多いです。有名作とはいえ、全てのネタが分かる読者は少ないのではないでしょうか。


 最後に、私が本作最大の問題と感じた点を書かせて頂きます。

 それは「地の文のバランスが悪い」という事です。これだけでは何の事か分からないですよね。順を追って説明します。


 まず本作の地の文は一人称で書かれています。

 その為か、時には「読者に語り掛けるような文章」であり、所々に「ギャグなどの、読者を笑わせようとするような文章」が大量にあります。


 そして本作は「非常に説明文が多い」です。

 この「説明文」と「ギャグ」が非常に相性が悪いです。

 説明文の中にギャグが挟まる事で理解が阻害されてしまいます。そして、ギャグは全く笑えません。

 この相性の悪さが全編にわたって行われるので、「読み難く、つまらないギャグ」が延々と続きます。

 これはギャグセンスなどの問題ではなく、相性の問題だと私は思いました。



 次に構成に移りますが、全体の流れは悪くはないと思います。

 ですが、ここでも「無駄な説明や描写が多い」と感じました。

 第1話の麻雀、第4話の主人公が過去に作ったゲーム内容、第5話のテレビゲームなど、とにかく詳しく描き過ぎだと思いました。


 麻雀やテレビゲームなどはもちろん、主人公の作ったゲーム内容なども「軽い説明」でもストーリー進行に問題はないでしょう。

 「描写や説明が雑でも良い」などと言うつもりは毛頭ありませんが、あまりに細かく描き過ぎるのも良くはないと思います。

 ストーリーとは直接関係ない話が「テンポを悪くしているだけ」に感じました。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーは、過去に挫折した主人公がキッカケを得て再び挑む「再起もの」ですね。「ラブコメ要素」は殆どありませんでした。

 やはり「現代ドラマ」としてなら面白いと感じもしたのですが、「ラブコメ」としては読めませんでした。



 設定に関しても「再起もの」として見た場合はシンプルで良いと思います。

 挫折理由も、分かりやすく納得のいく設定となっています。



【総評まとめ】

 実は本作の「完全版」の方は「現代ドラマ」で登録されています。

 ですが今回は、登録されている通りの「ラブコメ」として批評させて頂きました。

 もし「現代ドラマ」として評価したなら、ギリギリ★1としていました。


 この批評の執筆時点では「完全版」の方は拝読しておりませんが、私が最大の問題点とした「バランスの悪い地の文」が改善されていない場合、例え他の改善が良くても★2以上の評価をする事は無いと思います。(「完全版」の批評は現在執筆中です)



【追記】

 本作は作者さまのご要望により第8話までを読んで追記します。

 「完全版」の方も同様に第8話まで追記しております。



 まず第6話、第7話、第8話は、それぞれ独立したエピソードであり、繋がりはありませんでした。


 第6話では、「友人の妹から『同人サークルを作りませんか?』という誘いを断る」シーンから始まり、その後に主人公の妹が現れます。

 エピソードタイトルが「妹は目に入れても痛くない」でしたので、妹がメインの話だと思います。


 ですが、本作のストーリーとしては「誘いを断った」という事実の方が重要だと思います。

 なのにその直後に、「主人公のシスコンぶり」と「園芸の話」を延々とされるのは疑問に感じました。


 第7話は、「登場人物の紹介」でした。

 こういった話は、「作品が始まる前」か「章終わり」もしくは「章初め」が良いと思います。


 また、友人の妹「柊美雪」がいなかったのはミスですかね?


 第8話では、一転して「美雪」視点となりました。

 主人公に対する感想を述べた後、「美雪」がなぜ主人公に執心するかの理由が書かれていました。……が、その理由の説明が分かりにくかったですね。


 「美雪」は中学2年の時、イジメに遭っていたと書かれています。

 ですが、まるで「自分以外の誰かがイジメられていた」ように書かれており、それがいつの間にか「美雪」の事になっている様に読めてしまいます。


 また、ここでは具体的な事が書かれておらず、ただ「イジメに遭った」「主人公の作ったゲームをプレイした」「そのシナリオに自分を照らし合わせ、感銘を受けた」「イジメに打ち勝った」という流れしか分かりません。

 詳細が分からないのが原因だとは思うのですが、不自然で強引な流れに感じました。


 また「イジメに打ち勝った」と書きましたが、その内容は「やられたらやり返す」というものです。

 この件に関しては「結局、友達は出来なかったが、心から笑って中学を卒業できた」という、理解し難い描写で締め括られております。

 あまり、一般ウケするヒロインではないですね。



 ここまでを追記とさせて頂きますが、第8話までの3話を読んだ感想としては「纏まりに欠ける」と思いました。

 1話1話に繋がりが無く、妹の登場で第5話までの流れを断ち切ってしまっている様に感じます。

 第8話では「美雪」の魅力が上がるどころか、むしろ下がってしまいました。


 この辺りの構成が修正されていると期待して、「完全版」に移ります。

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