81~90作品の批評

★1 めんどくせえ嗚呼めんどくせえ


タイトル:めんどくせえ嗚呼めんどくせえ

キャッチコピー:とてもめんどくさい奴らの失恋。何かごちゃった恋の話。

作者:うさぎパイセン、オーナーはもうダメだ。

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093074828698769


評価:★1


【あらすじ】

とにかくめんどくせえやつしか出ない(※登場人物2名の予定)主人公もその相手もめんどくせえ。

ちなみに主人公→→→→→(越えられない壁)→→→相手。

相手が主人公を嫌っては無いのが更に地獄。

ネタバレすると社会的にはこの話は実ったらアウトです!倫理の奴隷。なのに何故こうなった主人公。相手に脈はZEROだぜッ!


という訳で主人公が相手への性的な好意を諦め切れるまでのお話になります。前向きにバドエンルートを目指してくぜ!



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は全4話の短編です。



 主人公は会社勤めのОL(?)。

 ある時から少しずつ、自分が先輩へ好意を抱いている事に気付いてしまう。しかし、先輩は妻子持ち。自分に勝ち目なんかある訳が無い。ってか、勝っちゃマズいだろっ!

 なのに先輩は仕事は厳しいクセに、やたらと話しかけてきて際どい行為までしてくる始末っ!


 失恋ルートしかない、そんなめんどくせえ恋愛に主人公はどういった結末を迎えるのか⁉ ……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは非常に個性的だと思います。目にした読者は「なんだコレ?」と思って見返す事もあるでしょう。

 ただ、興味は引きますが「面白そう」とは思っては貰えないと思います。



 そしてキャッチコピーですが、タイトルよりは分かり易いですが、それでも作品内容が想像出来ませんね。



 タイトル・コピーの両方とも、読者の知りたい情報が記載されてはおりません。それは「この作品はどういった内容なのか?」「この作品の面白い所は何なのか?」ですね。

 「めんどくさい」という事ですが、「何がめんどくさい」のかが分かりません。

 そして「失恋」という単語で読者層を狭めています。多くの読者は、バッドエンドよりもハッピーエンドを望んでいると思いますので。


 ただタイトルは確かに目を惹きますので、興味本位から本作を覗いて下さる読者はいるかも知れませんね。



【キャラクターの批評】

 キャラクターについてですが……。まず本作は主人公の一人称で描かれており、その文章は「脳内1人劇場」とでも言いましょうか……、ひたすらハイテンションに描かれています。

 その語りも、まるで「読者に話しかけているような」、もしくは「自分で自分にツッコんでいるような」、そんな描かれ方です。


 後で【文章・構成の批評】でも書かせて頂きますが、これが全編にわたって語られますので、読者の主人公に対しての好き嫌いは分かれそうですね。


 次に恋愛相手の先輩ですが、本作は終始主人公視点で語られますので先輩の心理描写などはありません。あるのは言動と、主人公の想いや感想だけです。

 そんな先輩ですが、「読み方によって感想が変わる」と思いました。


 【あらすじ】では「主人公もその相手もめんどくせえ」とありますが、作中の言動だけを見るとそれほど面倒臭くは感じませんでした。むしろラストシーンなどを見ると「サッパリした性格」にすら思えてしまいます。

 ですが主人公視点から見ると、確かに面倒臭い相手ですね。


 「第3者視点で読む」か「主人公に感情移入して読む」かで見え方が変わりそうですね。

 ラストシーンでは「実は両想いだった」という事実が判明しますので、もし先輩視点の物語が描かれたら、また評価が変わりそうですね。



【文章・構成の批評】

 文章なんですが……、ハッキリ申し上げて「クセの塊」ですね。「1人ボケツッコミ」のような文章で描かれています。もう、キレッキレです。

 そのような語りで重い過去や、成就する事のない恋愛感情を語られますので、非常に人を選ぶ文章です。「合う」「合わない」が文章だけで、ここまで分かれる作品も珍しいですね。


 ただ、キレが良いので短文の文章ならば非常に読み易いのですが、長文となると途端に読み難くなる傾向があります。

 その原因は改行と空行、そして読点が少ない事と、「 」と( )の長文が地の文に紛れ込む事が理由だと考えられます。

 差し出がましいかとは存じますが、本文からの引用と訂正案を書かせて頂きます。


(引用)

――――――――――――――――――

それから休みの日にあった会社のイベントも(本来私が受け持つ業務では無いので休んでよかったんだがわりと無理言って押しかけて私も参加した。給与要らんと言ったしちょっとしたお手伝い扱いなので社長にご飯奢ってもらうのが報酬だ。新人だし無給で全然良かったんだが社長曰くそうもいかんらしい。ありがてえ。)仕事バリバリバリバリとこなしまくる相手。もちろん2人きりではない。他にもたくさん社員さんたちがいる。そのときも普通に(大丈夫かこの人…)と思いつつ(でも手隙時間にバカ話して相手含む社員の皆さんたちと仲良くなれて楽しいぜッ)としか思ってない。

こちらとしては当時相手は友達のお兄さん感覚である。2つしか違わんかったらもうこの年齢の多様化。敬語は使うが(何せ立場は相手がはるか上である。)バカ話するの楽しいなあとしか思ってない。ないったらない。

――――――――――――――――――


(訂正案)

――――――――――――――――――

 それから休みの日にあった会社のイベントも、仕事バリバリバリバリとこなしまくる相手。


 本来私が受け持つ業務では無いので休んでよかったんだが、わりと無理言って押しかけて私も参加した。

 給与要らんと言ったし、ちょっとしたお手伝い扱いなので社長にご飯奢ってもらうのが報酬だ。新人だし無給で全然良かったんだが、社長曰くそうもいかんらしい。ありがてえ。


 もちろん2人きりではない。他にもたくさん社員さんたちがいる。

 そのときも普通に(大丈夫かこの人…)と思いつつ、でも手隙時間にバカ話して、相手含む社員の皆さんたちと仲良くなれて楽しいぜッ、としか思ってない。


 こちらとしては当時、相手は友達のお兄さん感覚である。2つしか違わんかったら、もうこの年齢の多様化。敬語は使うが(何せ、立場は相手がはるか上である)、バカ話するの楽しいなあとしか思ってない。ないったらない。

――――――――――――――――――


 どうでしょうか? 少しは見やすくなったでしょうか?

 一部、( )の長文は配置を変えて( )を消しましたが、それ以外は改行と空行、読点を足したくらいしか変更はしていません。(文頭の1字空白も足しましたが)

 個人的には、訂正文の方が読み易いのではないかと思います。



 続いて構成に参りますが、1点だけ非常に気になる部分がありました。それは「第2話と第3話では、全く話が進んでいない」という事です。

 両話とも、「先輩がどんな人なのか」「先輩がどれだけ面倒臭い人なのか」「先輩の事をどれだけ好きなのか」が描かれています。シチュエーションなどは違いますが、読者に伝えている内容は殆ど同じです。


 本作は1話辺りの文章量が約2000文字以下と短いので、そこまでマイナスになる事はありませんが、全体のバランスを見た場合は「どちらかは無くても構わない話だった」と感じてしまいました。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーに関しては、非常に良いと思いました。

 「恋愛もの」といえば、「ハッピーエンド」か「悲恋もの」という先入観がありましたが、「主人公が積極的に失恋しようとする物語」などは考えもつきませんでした。


 そして、ラストも意外な展開でしたね。

 【あらすじ】や「タグ」からハッピーエンドにはならないと予想はしていましたが、あんなにスッキリと綺麗に終わらせてくるとは思いもよりませんでした。

 最後の擬音が、とても気持ち良かったです。



 次に設定についてなんですが、実は主人公は非常に重い過去を背負っています。

 ですが、それも明くコミカルに、冗談を言うような口調で語られます。それがコミカルであればあるほど、読んでいて痛々しく感じてしまいました。


 この設定は「キャラの輪郭を浮き彫りにする」という意味では非常に良かったと思います。

 しかし、第1話のラストで本作の事を「ハートフルボッコギャグストーリーである」と書かれています。

 「ギャグ」にするには少々重すぎる設定なのでは、と考えてしまいました。



【総評まとめ】

 本作を読んだ感想ですが「強烈な個性は読む人を選ぶ」ですね。

 文章・キャラのクセがあまりにも強く、センスが合えば非常に面白い作品と感じると思いますが、そうでなければ本作に魅力を感じる事は無いと思います。


 ただ、長文が読み難い問題はセンスの合う・合わないとは無関係に思えますので、そこは修正をなされた方がよろしいかと思います。

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