★2 ママなんか死んじゃえ。


タイトル:ママなんか死んじゃえ。

キャッチコピー:『もうママなんか大嫌い!!死んじゃえばいいのに!!!』

作者:ツバキ丸

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330669724122639


評価:★2


【あらすじ】

『ママなんか大嫌い!もう死んじゃえばいいのに!』

そんな一言によってなのか、ママはその日のうちに死んでしまった。

棺桶の中のママの身体は、冷たいまま動かず、まるで私のことを拒んでいる様だった。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は1話完結の短編です。



 ママが交通事故で死んでしまった。スーパーでの買い物帰りにトラックに撥ねられてしまったのだ。

 出かける前に『ママなんか死んじゃえば良いのに!』と放った言葉の後悔が、12歳の主人公「梨々子」の瞳から涙を奪う。


 自分はママをどう思っているのか……。

 ママは自分をどう想っていたのか……。

 答えの見つからない「梨々子」が出した結論は……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 非常にセンシティブなタイトルですね。目に止まった際に、非常に心に残るタイトルだと思います。

 ただ言うまでも無いでしょうが、このタイトルを見て「面白そう」と感じる読者は殆どいないと思います。むしろ敬遠されるタイプのタイトルだと思いますね。



 キャッチコピーも全く同様ですね。

 こちらは主人公のセリフを微妙に変更したものですが、その内容はタイトルと全く同じですね。



 タイトル・コピー共に目にした時点で、多くの読者をふるいにかけていると感じます。もし「多くの読者に読んで欲しい」と思われているのなら、両方とも変更した方が良いと思います。



【キャラクターの批評】

 本作の主なキャラは主人公だけです。基本的に主人公の1人語りや、葛藤を描いた作品となっています。あえてそれ以外の登場人物とするなら、「心の悪魔」ですね。

 「悪魔の囁き」という形で、主人公との会話も描かれています。


 そんな主人公ですが、悪くないですね。

 12歳の、母親を亡くした子供らしい、纏まりの無いぐちゃぐちゃの心情が上手く描けているとは思います。


 ただ「ぐちゃぐちゃ」とはいっても、ある程度は纏まっているのは仕方ないですね。あまりに纏まりが無さ過ぎると、読み手の理解が得られませんからね。

 そういった意味では「母親を亡くした12歳」にしては落ち着きすぎている様にも見えました。


 正直、ここはバランスが難しい所ですね。

 個人的には、主人公の年齢設定をもう少し上げても良かったのかも知れないと思います。



【文章・構成の批評】

 基本的に文章は読み易いのですが、2点だけ気になる所がありました。


 1つは、1部の箇所に「 」の上に空行が無い箇所があるという事です。

 これは物語後半に2ヵ所だけあり、他の部分では上下に空行が設けられています。

 ただのミスだとは思いますが、直した方が読み易くなると思います。


 もう1つは「…」ではなく「...」を用いているという事です。

 これは「半角ピリオド」ですかね? 「三点リーダー」の方が一般的だとは思います。

 「半角ピリオドでは駄目だ」という訳ではありませんが、特に意味が無いのでしたら一般的な書体に合わせた方が無難かと思います。



 次は構成に移りますが、無難な構成だと感じました。

 というよりも、本作は1511文字と非常に短いので、あまり文字数を増やさずに話を纏めるなら他に選択肢は少ないと思いますね。



【ストーリー・設定の批評】

 まず本作は、ママの葬式が舞台であり、物語の始まりから終わりまで1歩も動く事がありません。(何なら本当に、主人公は1歩も動いていない可能性もあります)

 個人的にですが、舞台と世界が狭すぎるように感じてしまいました。


 この問題は「ラストシーンの感動が軽くなる」という弊害があるのでは、と考えました。

 本作のラストシーンでは、主人公は「結論を出して前向きに終わる」という終わり方です。劇中では(恐らく)何時間も経っておらず、年齢が12歳という事もあり、出した結論が少し軽く感じてしまいました。


 ラストシーンを数年後や、十数年後にしても良かったのではと思いましたね。

 安直ですが「主人公が母親になり、そこでママの気持ちに気付く」なんてパターンは王道ですよね。



【総評まとめ】

 まとめますが「センシティブ過ぎて、一般ウケはしない作品」ですね。

 恐らく「〇キブリ」のように、「言葉を目にするだけでも嫌だ」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。(ゴキ〇リ嫌いの方、ゴメンナサイ)


 内容に変更を加えなくてもタイトルとコピーを変えれば、もっと多くの方に受け入れて貰える可能性はあると思います。(もちろん保証は出来ませんが)

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