★- 死んでも継なぐ
タイトル:死んでも継なぐ
キャッチコピー:銃を握る少年少女の恋愛劇
作者:原滝 飛沫
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330648294353294
評価:★-
【あらすじ】
解代ジンは首席の少年兵。未来に絶望しながら死ぬ場所を探す日々を送っていた。
訓練をさぼって昼寝をしていると、次席の少女玖城ミカナに安眠を妨げられた。ジンはミカナに昼寝をさせて事なきを得たが、上官に訓練のさぼりを咎められる。二人で未開拓地域の探索に臨み、小屋の中で女児を見つける。
後日上官命令が下った。ジンとミカナは女児を騙して仮初の家族を演じる。料理勝負や決闘で仲を深め、ジンはミカナと結ばれる。
ある日拠点奪還作戦が行われた。作戦は成功。物資回収に励むジンだったが、テントの中で汚れた手記を拾う。嫌な予感を押し切って中身を改め、ジンとミカナは残酷な真実を知る。
舞台は技術的特異点後。人類とAIが戦争中。
少年兵が紡ぐ恋愛劇
【拝読したストーリーの流れ】
まず本作のジャンルは「SF」です。
ですので『隔離部屋』行きですね。
少年兵たちの首席を務める主人公「解代ジン」。
ある日の射撃訓練の最中、彼は興を削がれてサボる決意をする。いざ昼寝をしようとしていた所に邪魔しに来たのは、次席であるヒロイン「玖城ミカナ」だった。
結局2人とも訓練をサボる結果となり、罰として未開地の探索を課せられる。
だがそこで2人が見たのは……、といったお話でしょうか。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
まずタイトルですが、よろしくないと思いますね。
理由は他でもさんざん言ってきた通り、「作品内容が読み取れない」からですね。
ただ、第5話で早くも伏線回収となる言葉が出てきたのは良かったと思います。
タイトルの意味も、深くありながらも単純で分かり易いですしね。
キャッチコピーでは作品説明をなされていますね。
タイトルでは全く説明されていなかったので、ここで説明をするというのは良いと思います。
ただしタイトル・コピーの両方とも、魅力的なワードや世界観、キャラなどを表してはいませんので、キャッチは出来ていないと感じますね。
【キャラクターの批評】
キャラですが、造形自体は悪くないと思います。
ただ細部を彩るディテールが説明不足だったせいか、違和感を覚える部分が多かったですね。
まず主人公たちの置かれている環境がよく分かりません。
「少年兵」「首席」「訓練」などの言葉から軍学校のようなものをイメージしましたが、どうやら実戦も行っているようです。
また主人公たちの年齢も不明です。
「少年兵」という事ですので10代半ば以下の年齢だと思われますが、15歳と8歳では同じ少年兵でもイメージが全然違います。(作中の描写からは、恐らく15歳くらいだと思いますが)
あとあと分かる事かとも思いますが、それまでは読者のイメージと異なる描写がされる度に「ん?」と思い、読む手が止まります。
ストーリー展開に不都合が無ければ、最初に説明するべきでしょう。
これら以外にも、「最近転属してきたばかりなのに次席となっているヒロイン(しかも、なぜか主人公は努力家だと知っている)」や「兵士なのに、汗をかいたまま寝るのが嫌だと考える主人公」など、違和感は多かったですね。
【文章・構成の批評】
文章は文学的な表現が多いですが、キレイで読み易い文章だと感じました。
特に第4話冒頭の「枝葉の隙間からは木漏れ日が差し込み、光降り注ぐ箇所は妖精が踊りそうな雰囲気で満たされている」という言葉は雰囲気があって、個人的には好きですね。
ただ、この様な表現が非常に多い為か、テンポが悪いですね。
この辺りは好みの問題が大きいので一概には言えませんが、少し多すぎるとは思いましたね。
後は「まるで三人称のような一人称」の書かれ方には違和感を感じました。
こちらも慣れれば問題ないのかも知れませんが、第1話で「三人称」だと思っていたら突然地の文で「俺」と書き出された時は「ん?」と思ってしまいましたね。
構成についてですが、とにかく「展開が遅い」ですね。
本作は先ほど書いた通り「文学表現」が多く、文字数も少ないです(1話当たり2~3000文字)。そのせいで「世界観や主人公の立場といった説明」や「読者を惹きつけるエピソード」が書けていません。
これでは「良い文章の作品だ」とはなっても「面白い作品だ」とはならないでしょう。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーは先ほど述べたように殆ど動いていませんので、評価は出来ません。
設定に関してですが、こちらも前述した通り説明不足が多いですね。
「主人公たちの立場」などもそうですが、「世界情勢」「文明レベル」「機械軍」なども一切説明はされていません。
更に「サボりの罰」として「未開地の探索」を主人公とヒロインの2人に課せられますが、「レアメタルなどの資源の回収」などたった2人で、しかも懲罰として行うような事とは思えませんね。
これも納得のいく説明がされないと違和感を拭えない箇所でしたね。
【総評まとめ】
本作を総評しますと「独特な世界観なのに説明不足」ですね。
説明しかされない作品も面白くありませんが、「するべき説明」を怠ってしまうと読者は物語に没入できません。本作はそれが顕著に感じました。
まぁ、それはそれとして「ルールは見ましょう」ね。
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