★0 皇女リリィと人魚伝説


タイトル:皇女リリィと人魚伝説

キャッチコピー:人魚の言葉がわかるお姫様、次々と起こる戦争

作者:緑みどり

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330666348928051


評価:★0


【あらすじ】

イリヤの王女、リリィはお城の中の平凡な暮らしに飽き飽きしていた。冷淡な母親の仕打ちに耐え、素敵な王子さまがやってくるように祈るだけの日々。いつこのお城から出られるのだろう?

ところが、隣国エイダとの戦争が始まった時から、リリィの運命は不吉なものへと変わってゆく。父王は戦争から戻らず、リリィは隣国の王、エズラと結婚しなければならなくなる。しかも、その王は残酷極まりないことで有名だった。イリヤの王女は祖国への愛と、一女性としての夫への愛に揺れ動いてゆく……



【拝読したストーリーの流れ】

 イリヤ帝国の皇女である主人公「リリィ」は実母である皇妃から冷遇され、城から自由に出る事のできない生活を送っていた。

 そんな「リリィ」は、いつか結婚をして城から出る事を夢見る……、というお話で良いのでしょうか?



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 本作は、ここを纏めて批評させて頂きます。

 まずタイトルとコピー、そしてジャンルに統一感が無さ過ぎます。……並べてみましょうか。


タイトル 『皇女リリィと人魚伝説』

コピー  『人魚の言葉がわかるお姫様、次々と起こる戦争』

ジャンル 『恋愛』


 どのような物語か想像つくでしょうか?

 主人公と人魚の関係を描く物語なのか、戦記ものなのか(タグに「戦記」とあります)、恋愛ものなのか、方向性がとっ散らかり過ぎです。


 本作の主題をメインにターゲットを絞って読者を惹き込まないと、中々読んで貰うのは難しいと思いますね。



【キャラクターの批評】

 ここについては殆どのキャラが判断できません。

 というのも、本作はセリフが少ない上に物語の進行が非常に遅く、キャラクターが「殆ど描かれていない」からです。

 ですが、その中でも1キャラだけ問題のあるキャラが居ました。


 それは主人公の侍女であり、親友の「メアリー」です。

 彼女は主人公の乳母の娘であり、唯一の親友だと表記されています。そのせいか、主人公に対して敬意を一切持ってはいません。

 2人きりの時ならば「それだけ気を許しているのだ」という表現にもなりますが、他に人が居ても敬語も使いません。


 更に、非常に高慢でワガママな性格付けとなっていて、控えめな性格の主人公は彼女に劣等感を感じています。

 そのような関係性ばかりが強調されるので、とても「親友」には見えませんでした。それどころか「友情があるのかどうかすら疑わしい」と感じてしまいましたね。



【文章・構成の批評】

 文章は改行・空行が少なく、非常に読みづらいです。

 ですが、そのような事が問題にならないくらいの大問題が本作にはあります。


 それは「文章の大半が説明文」だという事です。

 これは説明文が多いというよりは、「本作は説明文で構成されている」と言っても過言ではないように感じました。


 このせいで非常に読みづらく、理解しづらく、展開が遅く、キャラに共感できません。


 あとは細かい問題ですが、比喩に実在の人物を出すのは止した方が良いでしょう。

 完全な創作のファンタジー世界の人物に「カエサル」とか「クレオパトラ」などの喩えは不適切だと思いますね。



 構成の問題ですが、先程も軽く述べましたが「とにかく展開が遅い」……、いえ「全く話が展開できていない」事です。

 第5話までを読んでも全く話が進んでいません。タイトルやコピーにあった「人魚」や「戦争」など影も形も出てきませんし、ジャンルである主人公の恋愛相手も出てきません。


 「展開の遅い作品」なら、いくつも見てきましたが「全く進まない作品」は初めてです。

 恐らく、「話の進まない作品」を読み続けることの出来る読者はいないでしょう。仮にいたとしても、ごく少数だと断言します。



【ストーリー・設定の批評】

 ここは「全く話が進んでいない」のですから何も評価できません。

 設定も同様です。



【総評まとめ】

 本作を一言で表現しますと「物語とは呼べない」ですね。

 ただキャラを出して、その説明をしているだけの文章です。


 私は、「物語」とはキャラを描かなければ成立しないと考えています。

 舞台の説明や、キャラの説明を延々と続けられても面白くはありません。キャラが「何を想い」「何をするのか」これがあって初めて「物語」が成立すると思います。


 作者である緑みどり様には手厳しい事を申し上げますが、「物語とは何か?」を今一度考えて作品作りに臨まれた方が宜しいと思いますね。

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