61~70作品の批評

★0 フューダリズム・スタディーズ


タイトル:フューダリズム・スタディーズ

キャッチコピー:あなたは、学園を信じていますか?

作者:トルティーヤ忠信

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330666681668493


評価:★0


【あらすじ】

諸侯が群雄割拠する封建制の学園を生徒会が統一する話。チートとかは一切ありません。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作には「序章」がありましたので、第4話までを読んだ批評とさせて頂きます。



 念願の志望校に入学を果たした主人公「史部干城」。

 初登校に思いを馳せながら「私立仏暁学園高校」へと向かう際中、一人の女生徒に声をかけられた。彼女は「次期生徒会長の襲ユリ」と名乗り、主人公に「封臣」になれという。

 彼女の説明によれば「私立仏暁学園高校」は部活動の長が、まるで中世ヨーロッパの貴族のような封建社会が成り立っていたのだった……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは、作品のテーマが素直に現れていて個人的には良いと思います。

 ですが、「フューダリズム」という言葉はあまり一般的とは思えません。(「封建制」という意味です。分からなかったので調べました)

 良いタイトルだとは思いますが、多くの読者に伝わらなければ意味はないと思いますね。



 キャッチコピーですが、意味不明ですね。

 このコピーから分かる情報は、「学園もの」である事だけです。

 読者を惹きつける言葉にも思えませんし、「キャッチ」の効果は薄いと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラですが、主張が弱いと感じました。

 というのも本作は、物語の中心が「学園」にあるように感じます。「キャラ」が中心ではないのです。

 その為、主人公であってもキャラが薄く、「学園」の添え物のように感じてしまいましたね。これはヒロインも同様です。


 また封建制を意識しているのか、芝居がかったセリフに違和感も感じますね。

 他のキャラはともかく、主人公はこの学校に入学したばかりですし、会話の反応からすると「この世界が特殊」なのではなく「この学校だけが特殊」なのでしょう?


 あとは、名前が読み難いですね。

 作者さま以外の読者さまは、【拝読したストーリーの流れ】で書いた主人公とヒロインの名前が読めましたか? 主人公は「史部干城ふひとべたてき」、ヒロインは「おそいユリ」です。

 ヒロインは「ユリ」と呼ばれる事が多そうですが、主人公は最初だけでなく全てルビを振った方が良いと思います。最初の1度だけでは読者は覚えられません。



【文章・構成の批評】

 文章自体は十分に良い文章だと思います。

 ただし2点、大きな問題があります。


 1つは、先ほど主人公の名前でも言いましたが、難しい単語を多用している点です。

 封建制という事で、その様な言い回しをしているのでしょうがライトな読者には多くの文字が読めないと思いますし、意味も分からない可能性があります。

 せめてルビを振り、出来るなら言葉も優しい言葉に置き換えた方が読み易いとは思います。

 もちろん、この難解な単語が作中の雰囲気を作っている事は否定しませんが。


 もう1つは、改行が少なく「空行が一切ない」事ですね。

 正直、ディスプレイに埋め尽くされた文字を見ただけで読むのがイヤになります。


 両方とも、比較的簡単に修正が出来ると思いますので、手を加えられた方が良いと思います。



 次に構成ですが、先ほど【キャラクターの批評】で申しましたが、もっとキャラを見せた方が良いと思いますね。

 物語、そして会話の中心は常に「学校」「生徒会」などの事ばかりで、殆どがその説明となっている様に感じます。


 あくまで私の個人的な考えですが、「キャラに魅力のない作品に、面白い作品は無い」と思っております。

 同意頂けないかも知れませんが、「延々と世界観(学校)の説明をし続ける作品」が面白いとは思えません。

 もう少し早く、多く、キャラの魅力を見せてはいかがでしょうか?



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーと設定は、ここだけを見れば「部活動が強大な権力を持つ、学園コメディ」になるのだと思います。(タグに「コメディ」はありませんが)

 そこに「封建制」を持ってきたのは、面白いアイディアだと思いました。


 しかし、この作品は「コメディ」にはなっておりません。(度々申し上げますが、本作のタグに「コメディ」はありません)


 先ほど申し上げましたが、第4話までの時点では「学校の説明や解説」を延々と行っております。結構しっかりと作られていると感心はするのですが、やはり基本は「トンデモ設定」である事には変わりがありません。

 「コメディ」なら「トンデモ設定」でも許容できるのですが、作り込めば作り込む程、説明されれば説明される程、「それはおかしいだろう」と思わざるを得ません。


 あまりにも作り込まれ、真剣に権力闘争をしそうな雰囲気なので、「これ、なんで学園ものにしたんだろう?」と思ってしまいました。

 同時に「普通に中世ヨーロッパ(ファンタジー)でやれば良かったのに」とも思ってしまいましたね。



【総評まとめ】

 この作品の感想をまとめますと「ジャンルと設定があってない。それはそれとして読み難い」でしたね。


 設定そのものは面白そうだと思いました。文章力も普通にあると思います。むしろ語彙には感心しました。

 ただ、組み合わせと見せ方が絶望的に悪いと思ってしまいましたね。

 作者さまの実力自体は感じましたので、「次回作に期待」といった所でしょうか。

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