★0 令和二年、それぞれの秋


タイトル:令和二年、それぞれの秋

キャッチコピー:アフターコロナの世界で生きる、三家族の追憶と未来への希望

作者:大田康湖

URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054934193864


評価:★0


【あらすじ】

 令和二年十月三日。祖母、京極かつらの法事を終えて、親戚の関本夫妻が経営する喫茶店に立ち寄った田城夫妻と大叔父の横澤康史郞。康史郞は自分の代で終わる家の後始末のため、ある頼みを田城夫妻に切り出す。



【拝読したストーリーの流れ】

 まず本作は同作者の作品『泥中の蓮(でいちゅうのはす)』『自分、みいつけた』の2作品の「後日譚」だそうです。本批評内には載せていませんが【あらすじ】と作中のあとがきに、そう書かれてありました。

 当然ですが、本批評は「本作のみ」を対象として書かせて頂きます。

 また本作は全5話で完結となっていましたので全話を読んだ上での批評となります。



 令和二年十月三日、喫茶店『リッチ』のマスター「関本士」と、その妻「関本定子」は3人の客を迎え入れた。

 その3人とは昨年亡くなった、「定子」の祖母「京極かつら」の法事へと行っていた親戚たちだった。

 5人は喫茶店の中で、思い出話やこれからの事を話し始める……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 まずタイトルですが、他作品で散々行ってきましたが、作品内容が分かりません。

 このタイトルでは時代と季節しか分からず、それがどういった話なのか、どう重要なのかも理解が出来ません。


 と、ここまでは通常の作品の場合ですね。

 本作は先ほど述べた通り、別作品の後日譚です。更に『一蓮托生シリーズ』という17作品のシリーズとなっていまして、その中には『令和四年』や『令和六年』といったタイトルの作品もありました。

 シリーズのファンならば、意味が通じるでしょうね。



 キャッチコピーですが、こちらは微妙ですね……。

 まず「アフターコロナ」ですが、確かに作中にコロナの描写は出てきますが、ストーリーに重要な役割があったとは思えませんでした。

 そして後半の文ですが、こちらは作品内容を伝えるという意味では良かったと思います。ただ、「キャッチ」の出来る文章だとは感じませんでしたね。



 タイトル・コピー、共に「初見の読者」を惹きつける文章が入っていません。

 まぁ、初見の読者に「後日譚」を読んで貰っても仕方ないと思いますがね……。



【キャラクターの批評】

 キャラの造形は非常にリアルです。まるで実在する人物かのようなセリフと描写です。

 ですが、あまりにもリアルすぎると感じました。

 おかげでキャラに分かり易い特徴が生まれず、ひいては見分けがつきづらく、魅力を感じにくくなっている様に感じました。


 そしてもう1つ、登場キャラが多すぎます。

 基本的には前述の5人だけなのですが、会話に様々な人物が登場します。第1話だけで5人、登場している5人と合わせて10人の名前が出てきます。たった2000文字にです。(第2話以降はさらに増えます)

 これでは誰が誰か分かりません。

 非常に読者に優しくない作品だと感じましたね。



【文章・構成の批評】

 文章は非常にキレイで、レベルが高く感じました。

 ただ空行が殆ど無かったので、そこは読み難かったですね。


 あとは第1話は喫茶店内の描写などが細かく、雰囲気が良かったのですが、第2話以降はキャラ同士の会話がメインになってしまい、情景描写などが殆ど描かれなかったのは残念でしたね。



 構成は……、申し訳ありませんが良く分かりませんでしたね。

 というのも、私には「本作が何を見せたいのか」が全く分からなかったんです。

 「後日譚」という事で、別作品の物語に登場したキャラの「その後」を見せたかったというのは理解できます。

 ですが、本作はキャラたちが延々と「自分語り」をしているだけで終わってしまいました。

 最後に出てきた「光る緑色の石」だけは、「これからの明るい未来を暗示」しているのだと感じましたが、5話も掛けてする話だとは思えませんでしたね。


 ただ、これらはやはり私が「元となる作品を読んでいない」から、という可能性は高いと思います。



【ストーリー・設定の批評】

 先ほど書いた通り、キャラクターたちが延々と「自分語り」をするだけの作品です。

 亡くなったお婆さんが若い頃はこうだったとか、自分の人生はこうだったとか、子供たちの近況だとか、そんな話ばかりです。

 非常にリアルな「親戚同士の歓談」ですね。あまりにリアル過ぎて、感心はしましたが全く面白くなかったですね。


 元となる作品を知っていれば違った感想も生まれたのかも知れませんが、初見の読者にとっては「知らない人たちの身内話を延々と聞かされている」だけです。

 たぶん、いきなりこの話を読んで「面白い」という人は居ないと思います。もし居たとしても、ごく少数でしょう。



【総評まとめ】

 作者さまにお尋ねしたいのですが、なぜ本作で本批評に参加しようと思われたのですか? 他にも沢山の作品を書かれてますよね? この作品が最新作でもないですよね?

 「後日譚」をいきなり読んで面白いと思われるのでしょうか? 作者さまは作品を読む時、まず最後から読まれるのですか?


 私は本作を全く面白いと感じませんでした。

 しかしそれは本作が面白くないからではなく、本作をいきなり読まされたからです。(順に読んだとしても、面白いとは断言できませんが)

 ……正直、この程度の事は察して頂きたかったですね。

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