★3 ズレアクエスト~お父さんがクソゲーしか買って来ない~


タイトル:ズレアクエスト~お父さんがクソゲーしか買って来ない~

キャッチコピー:お父さん、僕が欲しいのはドラクエなんだってば。

作者:秋犬

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330665577549881


評価:★3


【あらすじ】

クリスマスのプレゼントはファミリーコンピュータだった。

ぼくはもらった「元祖西遊記スーパーモンキー大冒険」を仕方なくやったけれど、ちっとも面白くない。

反省したお父さんはぼくが欲しかった「ドラゴンクエストIV」を買ってくれると言ったけど、また似た名前のゲームを買ってきてしまった……。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は1話完結の短編です。



 クリスマスのプレゼントにファ〇コンをプレゼントして貰った主人公「マサル」。

 しかし一緒に入っていたソフトは、サンタさんにお願いしていた「ドラ〇ンクエストⅣ」ではなく「元祖西遊記スーパー〇ンキー大冒険」というソフトだった。

 サンタさん……、いや、「お父さん」に苦情を言うが、お父さんは都合の良い言い訳ばかり。

 でもゲームなら何でも面白いだろうと諦めてプレイを開始したのだが、そのソフトは後に名を残す程のクソゲーで……、といったお話でしょうか。


 ルールに従って、本批評の【あらすじ】には載せていませんが、作品内の「あらすじ」には「作中に登場するゲームは全て実在のゲームです」とあります。

 本作を批評するうえで重要な情報なので、ここに記載いたします。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは完璧ですね。

 メインタイトルは一見意味不明ですが「ズレア」とは「ドラ〇ンズレア」、「クエスト」は「ドラ〇ンクエスト」から取っているものと思われます。

 語呂も良く、「クエスト」の文字が、「作品が終わった後も、マサルとお父さんの冒険は続いているのだろうな」という妄想を膨らませます。


 意味が分からず、作品を読む前であっても、サブタイトルで読者の掴みはバッチリだと思います。



 そしてキャッチコピーですが、こちらも良いと思います。

 サブタイトルと合わせて、主人公は「ド〇クエ」が欲しいのに、「お父さん」がクソゲーを買ってくるというストーリーが説明されています。


 唯一難点があるとすればタイトルが完璧すぎる為に、相対的にコピーが弱く感じてしまう所くらいでしょうか。



【キャラクターの批評】

 こちらも良いですね。


 特に「お父さん」は良いですね。

 いい加減で、少し面倒臭がりで、でも子供の挑発にムキになって、お母さんに怒られたら反省して、そしてクソゲーをムキになって攻略する。

 リアルにいそうな「理想のお父さん」ですね。


 そして主人公の「マサル」ですが、こちらも良いと思います。

 ただ10歳にしては聞き分けが良すぎるかな、とは思いましたが。


 一人称の「マサル」視点で描かれていましたので「マサル」を主人公としましたが、お話的には「お父さん」の方が主役と言って良いかも知れませんね。



【文章・構成の批評】

 文章も非常に読み易く、レベルが高いと感じました。


 ただし「空行を空けるまで、一切改行を行っていない」点が気になります。

 (私の環境で)7行の間に渡って文字が隙間なく埋め尽くされていた1文がありました。

 他にはそれほど長い文章は無かったので、それほど致命的な欠点とは思いませんでしたが、もしこのような長文が多発したり、長編作品であったなら私は評価を下げましたね。


 もう1点。これはワザとそう書かれた可能性も高いのですが「何をすればいいかよくわからないし本当に何をすればいいのかよくわからない」と同じような文章が繰り返して使われていました。


 「意味不明さ」を伝える為に、このような表現にした可能性が高いと思われます。

 しかし間違いなく読み難くなっています。

 私個人の意見としては、こういった文章は地の文ではなく、キャラのセリフで使った方が良いと思いますね。


追記

 ここで指摘しました2点は、表現方法としてワザとそうされたと作者さまよりコメントを頂きました。「改行を行っていない点」が表現方法だと気付けなかったのは私の落ち度です。作者さまには申し訳なく思います。



 そして構成ですが、こちらも文句なしです。

 というより、1話完結であるならば「これ以外は無い」と思える構成ですね。



【ストーリー・設定の批評】

 こちらはまとめて批評をさせて頂きます。


 基本的には良いストーリーと設定だと思います。

 親子の交流を自然に描き、読んだ読者は自分の父親を思い出したり、我が子との接し方に考える所も生まれると思います。


 ただ、若者の読者にはウケないのでは? と、思ってしまいました。

 90年前後のファ〇コンの話はピンとこない可能性が高いでしょうし、「理想のお父さん」を見て「こんな良い父親が居るかっ」と反感を抱くかもしれません。

 まあ、全ての読者にウケるのは不可能かもしれませんし、これは問題ではないかとも思います。



【総評まとめ】

 「全てがハイレベルな秀作」と言って過言では無いと思います。

 いくつか指摘もさせて貰いましたが、そのどれもが些細な問題です。私には本作の「ここがダメだ」と思える点は1つも無かったですね。

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