41~50作品の批評
★0 少年は三次元を征く〜俺の戦いは、“次元”が違うので〜
タイトル:少年は三次元を征く〜俺の戦いは、“次元”が違うので〜
キャッチコピー:まったく次元の違う少年が描く、異世界バトルファンタジー!
作者:おにいちゃんです
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093073216667002
評価:★0
【あらすじ】
舞台は、魔法が実在する世界。さらに、神から個人へ力が与えられた世界。
ここに、一人の少年がいた。
彼の名は、リーゼンヴェルト・ハルキット。またの名を、“自由と狂気のハル”。
彼に与えられた力は、“飛行”であり、それは今まで類似例のないような能力。そして、空中への一歩を踏み出せる能力。
これはそんな人物が、そんな世界で、本当の自由を見つける物語……。
【拝読したストーリーの流れ】
本作にはプロローグがありましたので、第4話までを読んだ批評とさせて頂きます。
「魔法」と、「シュゲイル」と呼ばれる特殊能力のある世界。「飛行」のシュゲイルを持つ主人公「ハル」は幼馴染の「ベルデット」と共に「スタイルゲート魔術教育校」に入学し、様々な戦いを繰り広げていく……、という話だと思います。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
いわゆる説明文タイトルですが、あまりよろしくないと思います。
「三次元」とは恐らく、主人公の飛行能力を「三次元的な動きをする」という意味で使われているのだと思いますが、タイトルだけでは意味が正しく伝わらない可能性が高いと思います。
むしろ、蓋を開けてみれば単純な話に「もっと捻りがあると思ったのに」と落胆される可能性すらあります。(今後、ダブルミーニング的な仕掛けがある可能性はありますが)
ただ、副題から漂う「煽り口調」は良いですね。
「チート無双系作品」である事が一目瞭然です。そういった作品を好まれる読者の目には止まるのではないでしょうか。
キャッチコピーですが、再三使用されている「次元」という言葉の「意味次第」でしょうか。
私が先程予想した通り「ただ、飛行能力を指して次元が違う」と言っているだけなのならば、お粗末なコピーだと思います。
しかし「他に何か別の意味があるのなら」一考の余地があるとも思えます。
むしろ、タイトルとコピーでこれだけ「次元」を強調しているのですから、「何かある」と思うのは自然ではないでしょうか?
ただやはり、物語の早い段階でその「何か」を見せてもらえなければ、期待した読者は撤退してしまうと思います。
【キャラクターの批評】
キャラ造形は酷いものですね。
これは私の好みも多分に入るのですが、主人公の性格が最悪です。
自尊心が強く、他者を見下し、敵愾心が強く、差別意識も強く、しかし権力者相手には一歩引き、特に意味も無く所かまわず戦いだす戦闘狂です。
「戦闘狂」については作中でも書かれてあったので、作者さまの意図するところだとは思います。
しかしこれは本当に主人公なのでしょうか? それとも、私の認識が間違っているのでしょうか? 多くの読者は、この様な主人公を魅力的に感じるのでしょうか?
主人公だけでなく、他のキャラの造形も稚拙です。
幼馴染は「主人公の添え物」ですし、絡んできた貴族は「舞台装置」です。同じく絡んできた王子様は「知能の足りない戦闘狂」と、主人公と同レベルです。(恐らくライバルキャラだと思います)
登場キャラ全員に言える事ですが、言動に脈絡が乏しく、唐突に煽り始めたり、戦い始めたりします。
この作品には、魅力的だと思えるキャラクターは1人も居ませんでした。
【文章・構成の批評】
文章は全体的にかなり拙いですね。
これは「作者の頭の中にある情報を整理できていないまま、文章に起こしてしまった」のではないかと思います。
その為か、「作者の伝えたい事は理解できるが、文章をそのまま読むと理解不能」といった感覚に陥りました。
これだけでは作品を読まれていない方には理解出来ないと思いますので、作中の文章から引用させて頂きます。以下は、「魔法」について解説された文です。
——————————————————————————
……魔術、というものがある。
体内から湧き出る、形もなく見えない謎の存在。しかし、それを現象として現実に顕現させる方法を見つけ出した者がいた。その方法というのが魔術であり、その謎の存在というものが魔法だ。
——————————————————————————
どこからどこまでが「魔術」の説明で、どこからが「魔法」の説明か分かりましたか? ちなみに、この世界には「魔力」という言葉もあります。
全編通してこの様な感じですので、読者が作者の意図を考えて読んであげないと読めない作品だと感じましたね。
……もしくは読み流すか、ですね。
構成についてですが、私個人の意見としては落第点。しかしweb小説という媒体で見ればギリギリ及第点、だと思います。
非常にテンポが良く、プロローグを除く4話の間に2度の戦闘が起きます。1話当たりの文字数も約3000字と短い部類です。
話の流れはかなり強引ですが、大きな矛盾は無いですね。
【ストーリー・設定の批評】
ストーリーは「学園チート無双もの」ですね。
とにかくテンプレの流れをテンポよく進めるといった感じの序盤でしたので、それ以上の話はありませんでした。
設定ですが、「シュゲイル」という特殊能力は使い方・見せ方次第では面白く出来たと思います。
しかし主人公の「シュゲイル」である「飛行」は、ただの「チートの理由付け」としかなっていない気がします。
おまけに魔法のある世界観では現状、「シュゲイル」と「魔法」の区別は読者にはつきません。
残念ながら、「シュゲイル」という設定を面白く活用しているようには見受けられませんし、他に本作独自の面白い設定はありませんでした。
【総評まとめ】
全体的に低レベルだった、としか言いようがありませんね。
特に問題だと感じたのは「文章」ですね。
テンプレと言える本作で「読み難い」「理解し難い」というのは致命的だと感じました。
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