★1 魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話
タイトル:魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話
キャッチコピー:マジで女って気づいてなかったのかよ……
作者:古朗伍
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330652583551341
評価:★1
【あらすじ】
剣士ローハンは平穏を求めて街の喧騒を離れ、片田舎の常在戦士を選んだ。
そこで出会った少年カイルを弟子として迎え、思い描いていた理想の平穏を過ごしていく。
カイルは出奔し、数年経って村に戻って来くると、実は男ではなく女だったと知る。
しかも、昔ながらのスキンシップにローハンはセクハラによって居場所を失う懸念からどう接して良いか葛藤することに。
【拝読したストーリーの流れ】
大都市でも有名なクランに所属していた主人公「ローハン」だが、都会での暮らしに疲れてしまい、田舎で常駐剣士として余生を過ごす決意をした。
田舎で知り合った少年「カイル」を弟子にし、彼が青年になったころ、「ローハン」は「カイル」に自分の所属していたクランに紹介して、弟子を旅立たせる。
そして数年後、田舎に帰って来た「カイル」は美女となっていて、「ローハン」に頼み事をする。その頼み事とは……、といったお話です。
【タイトル・キャッチコピーの批評】
タイトルは、いわゆる「説明文タイトル」ですが、私は良いと思います。
作品の内容が一目瞭然ですし、「美女剣士」というパワーワードも含まれています。
ただ文末が「帰って来た話」と、落ち着いた表現になっているのが気になります。
この作品なら、もっと勢いのある表現にした方が良かったと思いますね。
キャッチコピーですが、こちらはあまり良くないと思います。
ヒロインのセリフとなっていますが、このコピーから得られる情報は「恐らくヒロインは俺っ子」である事と、「主人公が鈍感系である可能性」の2点だけです。
どちらも作品の面白さに直結しているとは考えにくく、しかも推測です。
タイトルのように、もっとハッキリと面白さに繋がる、読者の興味を惹く文言が欲しい所ですね。
【キャラクターの批評】
ここから先は、「この作品のジャンルをどう捉えるか」で評価が分かれます。
というのも、第5話までを読んでも本作のジャンルが「ファンタジー冒険物」か「ラブコメ」か、ハッキリしないと感じたからです。
その為、ここからは2つのジャンルをそれぞれの視点で見た評価に分けます。
キャラを「ファンタジー冒険物」として見た場合、作り込みの粗さが目立ちます。
一人称で書かれ、最も出番の多い主人公でさえ、行動や思考の粗さが目立ち、何をどう考えているキャラなのか分かりません。
そして「ラブコメ」として見た場合は、及第点といった所だと思います。
主人公と弟子は互いに意識しながらも、それを表面上は隠す、といった「すれ違い」の王道も出来ています。
キャラは粗いので「共感するような恋愛物語」は期待できませんが「ただ可愛いキャラを愛でるだけ」なら十分でしょう。
ただ「俺っ子ヒロイン」というメインヒロインを受け入れることが出来るかどうかが、本作を楽しめるかどうかで重要だと思います。
【文章・構成の批評】
文章はあっさりしていて読み易いのですが、読み応えはありません。
また一人称だからか、語彙が少ないのか、表現が「雑」になる事もあります。ただ、この「雑」さは同時に「味わい」とも感じたので、合う人にはむしろ加点要素だと思います。(私は±0でした)
そして構成を「ファンタジー冒険物」として見た場合ですが、「必要な説明・描写が足りない」ですね。
キャラでも書きましたが、全体的に作り込みが粗いです。その為、マジメに考察すると違和感と疑問の連発でした。
そして戦闘描写も先に書いた通り、読み応えが無い文章なので面白くは無いです。
ただ物語のテンポは良く、主人公の行動目的も明白なので、そこは良かったですね。
次に「ラブコメ」として構成を見た場合ですが、こちらも及第点ですかね。
1話1話にしっかりと「ラブコメ要素」を入れており、見所を用意しているのが窺えます。
ただヒロインが1人しか居ない事と(こちらは後に増える可能性もありますが)、「ファンタジー冒険物」としてのストーリーが「ラブコメ」を邪魔しているように感じましたね。
【ストーリー・設定の批評】
こちらも「ファンタジー冒険物」として見た場合、作り込みが甘すぎます。
色々と作中世界を垣間見れる設定なども出てくるのですが、総じて作り込みが足りず、結果として「社会がどう成り立っているのか理解できず」「キャラたちが、どう日々の生活を送っているのか想像できず」「キャラの行動と思考に納得がいかない」という状態になりました。
「ラブコメ」として見た場合ですが……、余計な設定が多すぎるように感じましたね。もちろんそれは「ファンタジー冒険物」としての本作を面白いものにする為の設定なのだと思いますが、「ラブコメ」として見た場合は「贅肉」でしかありません。
ただストーリーは、どちらのジャンルとして見ても、良いと感じました。
【総評まとめ】
恐らく作者さまは「どちらか一方のジャンル」ではなく「両方の面白さを合わせ持つ作品」を目指されたのだと思います。
しかし私には、「2つのジャンルの良い所を打ち消し合っている」ように感じてしまいました。
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