★- ノルウェイの海


タイトル:ノルウェイの海

キャッチコピー:生まれながらの面倒くさがり屋で損ばかりしている。

作者:ハラシン

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093073204258411


評価:★-


【あらすじ】

僕のグダグダ人生を高校生の時から思い返してまとめてみました。

ダラダラ生きて、問題は先送り。

劇的なことは起きませんが、そんな人間の行き着く先はどこなのでしょう?



【拝読したストーリーの流れ】

 こちらの作品は【エッセイ・ノンフィクション】となっております。

 正直いい加減にして欲しい気持ちですが、公約通り批評させて頂きます。


 本作には「第〇話」といった番号が振られていません。

 しかし、それでは分かり難いので本批評内では1話目を「第1話」という風に呼称させて頂きます。



 主人公が、高校の文化祭でクラスのアイドルの女の子と友達になり、大学受験に失敗して、浪人生活を送る姿を描く……、といったお話となっております。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 まずタイトルですが、5話までを読んでも意味が分かりませんでした。

 「ノルウェイ」とは、国の「ノルウェー」の事でしょうか? 作中の舞台は日本であり、またノルウェーを想起させるような文章は一切ありません。

 あとあと出てくるのかも知れませんが、5話まで読んでも意味の通じないタイトルは良くないでしょう。

※コメントにて「『ノルウェイの森』のオマージュなのでは?」とのご指摘を頂きました。

 あらすじを見た所、確かに本作の導入と共通している部分があり、恐らく間違いないかと思います。


 次にキャッチコピーですが、こちらはタイトルとは違った意味で良くないと感じました。

 このコピーは、作中の主人公を表した言葉だと思うのですが、【エッセイ・ノンフィクション】というジャンルと、このネガティブなコピーから、目にした読者は「作者の辛い体験談」を想像してしまうのではないでしょうか?(私はそのように感じてしまいました)


 しかし実際、作品を拝見してみるとその内容は【青春ドラマ】に近い内容に感じました。

 これは「作品の内容を正しく読者に伝える事が出来ていない悪いコピー」だと感じてしまいましたね。



【キャラクターの批評】

 ここを述べる前に、1つお知らせしておくべき事があります。

 こちらの作品は【フィクション】です。第3話にて明言されていました。


 そこを踏まえてキャラの批評を致しますと、どのキャラも素晴らしいと感じました。


 その中でも特筆すべきは主人公「石原浩二」です。

 この主人公は「コピー」や「あらすじ」であるように、面倒臭がりで意志も弱く、流されるばっかりで失敗ばかりです。

 しかし、その姿が読者の目線に非常に近く、きっと多くの読者は「その気持ち分かる」と思ってしまうのではないでしょうか。


 学校のアイドルの女の子も、予備校で知り合った悪友も、どちらも非常に良いキャラ造形をしています。

 アイドルの女の子の名前が一切出てこず(多分、見落としては無いと思います)、終始「彼女」と表記されていたのですが、特徴的なキャラと位置づけから誰か分からなくなる事はありません。

 むしろ「特別感」が出ていて、良いとさえ思ってしまいました。



【文章・構成の批評】

 文章は非常にキレイで読み易く、非の打ち所がありませんでした。

 また一人称ながら客観視するような主人公のキャラの為か、三人称のように感じる、不思議な文章でした。

 しかし、全くストレスを感じる事なく読み進める事が出来ました。


 構成も良かったのですが、2点だけ気になった部分があります。

 1点目は、先程も書いた【フィクション】だという事実が知らされるのが第3話だという事です。

 これは1番最初……、というか読む前に分かるようにするべきだと思います。


 私は第1話の途中から「作り話っぽいな」と感じましたが、第3話で明言されるまで、ずっとモヤモヤした気持ちでした。

 【ノンフィクション】だと信じて読み進めた読者がいたら、「裏切り」だと感じてしまうのではないでしょうか。


 そして2点目ですが、1話ごとの文章量のバラつきが大きすぎると感じました。

 第1話  9203文字

 第2話  1089文字

 第3話  2436文字

 第4話  2866文字

 第5話  6050文字


 恐らく第1話の長さを苦もなく読める読者は、決して多くないのではないでしょうか? そして苦もなく読む事の出来た読者が第2話を読んだら、短すぎて落胆するのではないでしょうか?


 ある程度は仕方の無い事とは思いますが、もう少し文字数を均一にした方が良いと思いますね。



【ストーリー・設定の批評】

 こちらも文句のつけようのない出来ですね。

 まさしく「一般的な学生」とも言える主人公ですが、あまり興味無さそうにしていた恋愛にうつつを抜かして受験に失敗し、ヤバい雰囲気の「悪友」には「あんまり関わらないでおこう」と考えていたにもかかわらず友達になってしまいます。


 あまりにも読者の目線に近い主人公には共感を覚えずにはいられませんし、「彼女」と「悪友」も物語を動かす良いエンジンとなりそうです。



【総評まとめ】

 作者さまに1つだけ物申させて頂きます。

 なぜ私に一報を下さらなかったのですか?


 私はこの作品を素晴らしく面白いと感じました。先も書きましたが、私はこの作品のジャンルは【青春ドラマ】ではないか、と思っています。

 しかし作品ジャンルが【エッセイ・ノンフィクション】とある以上、批評はしますが評価はしません。


 ただ事前に「ジャンル違いだけど、物語にはなってるから評価してくれ」と言って下されば、喜んで評価させて貰ったのにと思ってしまいます。


 自分の作品のジャンルを勘違いしたのか、企画の応募ジャンルを見落としていたのか、それとも感想が欲しかっただけで、それ以外はどうでも良かったのか……。

 どのような理由かは存じませんが、残念でなりません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る