★1 サウザンドマスター ~魔法の王に至る道~


タイトル:サウザンドマスター ~魔法の王に至る道~

キャッチコピー:『旅立つのじゃ、レオ!』精霊アクアの導きにより、少年は強制的に旅立つ?

作者:ばうお

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330668174757499


評価:★1


【あらすじ】

魔法がある世界ファリーシア。

この世界には数えきれない数の精霊がいる。魔法を求める者よ精霊を尋ねなさい。

精霊の試練を越える事で、アナタは魔法を手に入れるでしょう。

1つの魔法を手に入れるのに1体の精霊の試練を越える必要がある……そして精霊の試練は千差万別、簡単なお使いから伝説の竜の退治まで様々だ。

1000の魔法を扱うと言うサウザンドマスター、1000の精霊の試練を越えた英雄である。一体どれほどの苦難を乗り越えればその高見に届くと言うのだろうか。

これはサウザンドマスターに憧れた少年が、人や精霊と出会って成長していく物語である。



【拝読したストーリーの流れ】

 本作は全4話の完結作品です。

 また、本作の作者である「ばうお」様は、昨日批評させて頂いた「妖奇譚」の作者でもあります。


 1000の精霊の試練を越え、1000の魔法を使ったとされる「サウザンドマスター」。そんな存在に憧れた主人公「レオ」は、村の裏山に住む精霊「アクア」の試練を受ける。3年の月日が経ち、「アクア」の試練を越えた「レオ」の身体は、いつの間にか半分精霊と化していた。

 「アクア」の説明によれば、このまま放置すれば世界の危機だという。それを回避する為には、多数の精霊の試練を越え「サウザンドマスター」となるしかない。

 更に2年後、15歳になった「レオ」は「サウザンドマスター」を目指して旅に出たのだった……、というお話です。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは短くシンプルながらも、「魔法の王になる」という、明確な目的が見えているのが良いですね。

 副題のお陰で「サウザンドマスター」という一見謎の言葉も、「1000の魔法が扱える者」だと想像が出来ます。


 キャッチコピーは、個人的には好きです。

 主人公「レオ」と重要キャラである「アクア」の名前。「アクア」が精霊であり、主人公を旅に促す存在である事。更に、その口調から「アクア」の性格なども推し測る事ができます。

 そして最後に「?」をつける事で、コメディテイストな作風である事も伝わってきました。


 ただ個人的には好きなのですが、一般受けするかと言われると微妙ですね。

 特に強力なパワーワードがある訳でも無いし、興味を惹かれる方は少ないのでは、と思います。

 精々セリフの「~のじゃ」から、「のじゃロリ」を期待する層くらいでしょうか?



【キャラクターの批評】

 全体的にポップでコミカルな作風に合った、良いキャラ作りが出来ていると思いました。

 真面目に考えると「それはおかしい」という言動もあるのですが、作風が軽い為に気になりません。


 ただ、後半にいきなり出てくる父母と弟(妹?)は少し唐突に感じましたね。第1話の流れから、てっきり祖母との2人暮らしかと思いました。



【文章・構成の批評】

 文章は安定して読み易いです。

 こちらの作品は同作者の「妖奇譚」とは違い、読み方に困る単語は出てこなかったので、ルビが無くても問題無いと思いました。


 ただ、構成なんですが……。この作品、全4話なんですが打ち切りのような終わり方なんですよね。私が【拝読したストーリーの流れ】で書いた所までで終わります。

 本当に、主人公が旅に出た所で終わってしまうので、残念感は否めませんね。


 毎話のラストに「レオの覚えた魔法 0」などと、主人公の魔法の数がカウントされていくので、そういったアイディアは良かったですね。

 本当に1個ずつ、しっかりと魔法習得のエピソードを書いて1000までカウントしようとすると、どんな長編になるのかを考えると「良いアイディア」とも言い切れませんが……。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーと設定は、やや強引です。

 ですが先程も書いた通り、本作はコメディ色が強いです。その為、少しくらいの強引で雑な展開も、全く気になりません。


 むしろ、ガチガチに設定を固め過ぎなかったのは正解だと思います。

 あまり設定や整合性を重視すると、せっかくの明るい雰囲気が壊れてしまう可能性もありますから。



【総評まとめ】

 前回の「妖奇譚」と同じく出来の良い作品だと思います。

 そして作風が全然違うのに、両作ともそう思えるのは作者さまの実力を感じさせますね。


 ただ、こちらは完結済との事ですが、この作品が続いたとしてもきっと「高品質な、コミカルタッチな無双もの」という以上の期待は私には持てませんでした。

 作品の品質自体は高いと感じたのですが、「この作品でしか読めない」という程の個性は感じませんでしたね。

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