21~30作品の批評

★0 異世界格闘〜地球最強は異世界最強になれるか〜


タイトル:異世界格闘〜地球最強は異世界最強になれるか〜

キャッチコピー:異世界でも格闘家として過ごしたい

作者:冷凍みたらし

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818023213171886696


評価:★0


【あらすじ】

希代の格闘家、仙波宗一。

ただひたすらに強さを追い求め、正に徒手空拳であれば世界最強であった。

しかし、そんな強さを持ってしても老いと病には勝てず、この世を去る。


無念…まだワシは強くなれる…強くなりたい…願わくばあと10年…


死の間際の心からの願いを聞き届けたのは神か悪魔か、目の前が真っ暗になり死んだと思った仙波は気付けば森の奥に居た。

しかも若い身体を持って。


「ここがどこかは判らんが、これでまだ武を極める事ができる」


異世界で格闘家としてさらなる強さを追い求める仙波の長い旅が今始まった。



【拝読したストーリーの流れ】

 現代で、あらゆる格闘技を会得した主人公「仙波宗一」。そんな彼も晩年には病に侵され、この世を去った。

 しかし彼は異世界に転生し、その年齢も若返っていた。


 見知らぬ森を歩いていると、何者かの争いの声が聞こえる。

 足を向けた「仙波宗一」は、その一方に肩入れするのだった……、といったお話でしょうか。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルはそれほど悪くはないと思います。作品の趣旨、方向性などが短く語られています。

 ただ、少しインパクトが弱いとは感じましたね。


 対してキャッチコピーは、宜しくないと思います。

 タイトルで既に「この作品は格闘がメインの異世界ファンタジー」と分かっているのですから、このコピーでは情報量が全く増えていません。

 読者の興味を惹くようなコピーという訳でもありませんので、読者の獲得には繋がっていないのではないかと思います。



【キャラクターの批評】

 キャラは造形が甘いですね。「リアルに生きている人間」と感じるには程遠いです。

 というのも、キャラの説明に対する表現が稚拙だからです。


 例えば、第2話で襲われているヒロイン(?)が鉄車(作中の馬車のような物)の中で紅茶を飲んでいるシーンがあるのですが、その最期に「不思議なカリスマ性があった」と締められていました。

 しかし読者には(少なくとも私には)、カリスマを感じるような描写は一切見せられておらず、大物感は感じましたがカリスマは感じませんでした。

 どちらかというと「カリスマ性があると表現されているのが不思議」でしたね。


 これは他のキャラにも見られ、全体的に不自然な言動が目立ちます。

 「なぜ、そう思ったのか」「なぜ、そうしたのか」の説明が不足しているのです。

 まぁこれも、あまりやり過ぎるとテンポの悪化を招くのですが、本作は書かなさ過ぎだと思いましたね。



【文章・構成の批評】

 文章自体は読み易かったです。

 しかし先程も書いた通り、表現力が不足していると思います。それは人物の表現だけでなく、情景などの描写にも言えます。


 例えば、先ほど書いた「鉄車」の説明ですが「箱にまるでオートバイの前半分がくっ付いている」と書かれても、私にはどのような外見なのか想像が出来ませんでした。


 もちろんムリヤリ想像する事も可能ですし、自分の想像力で補完する事も可能です。しかし、そんなストレスを読者に与えるくらいなら、しっかり描写するか、不必要なオリジナリティは出さない方が良いでしょう。

 「鉄車」なら「馬車」でも良かったのではないかと思います。


 構成については良いのではないかと思います。

 先程までは酷評しましたが、説明が少ない分サクサクと物語が進みますし、1話あたりの文字数も2000字未満と少ないので、ここは読者の負担にはなりません。

 第5話が、主人公の技の説明をしただけで殆ど話が進んでいませんでしたが、この文字数なら仕方の無い事でしょう。



【ストーリー・設定の批評】

 5話まで拝見した限りでは、典型的な「転生無双系」の作品ですかね?(タグには「無双」や「最強」などは無かったので違う可能性もあります。)

 他作品との差別化としては「格闘」をメインにしている、という所と、主人公が前世で老人であり、口調が「~~じゃ」という、老人口調で喋る事ですかね。


 設定ですが、不要に読者の理解を阻害する設定が目立つように感じましたね。

 先程の「鉄車」もそうなのですが、本作には「闘技者」という単語が出てきます。


 初登場した「闘技者」は剣の一撃を生身で受けても平気だったのですが、それを見た私は「この世界では「闘技者」という特殊能力者がいる」のだと考えました。

 しかし、その後の説明によると「闘技者」とは貴族に雇われている者とフリーランスの2種がいて、ランクがS~Eまでの六段階がある「職業」らしいとの事です。


 正直、「冒険者でよくね?」と思いました。名前が違うだけですからね。(まぁ、その冒険者も作品によって設定は様々ですが)



【総評まとめ】

 この作品に思ったのは「読者への、必要な説明が足りない」でしたね。


 上記までの以外にも、転生前に70歳前の主人公が描写がされ、病気になって5年、今わの際のようなセリフが出たと思えば、「享年79歳」の文字。

 「計算が合わない」と思いましたね。(恐らく、70前の描写から病気になるまで5年程があった、という事なのだとは思いますが)


 何も考えずに読むのならストレスはかかりませんが、物語やキャラを理解しようとすると途端にストレスが増大する、不思議な作品でした。

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