★0 世界の修正者は世界を守らない


タイトル:世界の修正者は世界を守らない

キャッチコピー:これは――喪失した■を取り戻すまでの物語

作者:零元天魔

URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330661906842639


評価:★0


【あらすじ】

元の自身を知らぬ記憶喪失の主人公、天無。

彼はとある経緯で女神と名乗る謎の女に、修正者なる仕事をさせられることになる。

様々な世界を転生という形で廻り、修正者の役目である〝世界の秩序の維持〟のため世界の歪を殺す。

何もない白紙のような彼、何も持たず何も得られず、その空虚な人生の果てに見るのは絶望か、希望か、あるいはそれ以上の〝何か〟か。

何も持たない少年は世界を揺るがす存在とどう戦うのか? また、どう世界を救うのか?

過去の記憶(前世)を使い、不可能に抗う男の反英雄譚。

「はぁ……やるしかないかぁ……」

ため息の多い男のいずれ全てを越える。

この男の終着、宿す欲望、絶望と希望、果てに待つ結末は――


これは――喪失した■を取り戻すまでの物語。



【拝読したストーリーの流れ】

 えっと……、女神の命令で、世界の敵と戦う使命を持った、記憶喪失で転生能力を持った主人公が、3回目か4回目の転生先である現代日本で敵と戦う準備をしていた所、中世ファンタジーの異世界に召喚された、というお話ですかね?


 読みにくくてすみません……。

 でも、なるべく要約するとこの様にしか書けませんでした……。



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは悪くないと思います。

 「修正者」が何を指すのかは分かりませんが、前後の文と、その字面から世界を守る者だと推測が出来ます。その「修正者」が「世界を守らない」という矛盾は、目にした読者を惹きつける効果が期待できます。

 ただ少し淡白にも感じるので、もう一捻りあれば言う事なしでしたね。


 キャッチコピーに関しては微妙ですね。

 「■」と、伏せ字で隠してありますが、重要な意図があるのでしょうか?

 意味があったとしてもこれでは読者に伝わりませんし、意味が無いのであれば変更した方が良いでしょう。

 きっとこの謎は初見の読者には、何のヒキにもなっていないと思います。



【キャラクターの批評】

 本作は、第4話まででは殆ど主人公の独り語りで物語が進行します。(プロローグがあるので、私が読んだのは第4話までです)

 主人公以外にも喋るキャラはいるのですが、主人公と会話をするのは第2話で回想で登場した「魔術の師匠」だけでしょうか。(プロローグで女神が話しますが、一言だけで会話とは呼べません)


 セリフが極端に少ない作品なのですが、地の文が一人称で、おまけに語り口調で喋るので作品が静かな印象はありません。ただ、そのおかげでサブキャラの存在感が無いですね。


 では主人公に魅力があるのかと問われれば、これも厳しいと言わざるを得ません。

 なぜなら主人公の活躍も、サブキャラとの掛け合いも、殆ど描かれていないからです。「過去にこういう事をした」とか「主人公の能力」とか「今まで苦労してきた」などという説明はされるのですが、説明だけでは魅力は生まれません。

 「過去の出来事」や「苦労した」エピソードを入れなければ魅力を伝えられないのではないかと思います。



【文章・構成の批評】

 ……非常に残念な出来です。

 以下「——」内に、プロローグ冒頭の数行を原文ままで載せます。

——————————————————————————————

 ――すまないが、少し俺の話を聞いてくれないか?


 俺は名前は天無あまない

 現在は神塚かみづか敬也けいやという名前のただの高校生だ。

 俺は修正者、あるいは修正者ストラクチャーと呼ばれる神の使いのをやっている人間だ。

——————————————————————————————

 ……いかがでしょうか?

 冒頭からこれでは、少なくとも私は続きを読む気を無くします。


 文章はさておき、構成ですが……、こちらも出来は悪いです。


 プロローグでは過去の説明を延々と続け、最後に異世界へ転移します。

 第1話では、クラスメイトと共に転移した事を確認して終わります。

 第2話では時間が巻き戻り、転移時の魔術(魔法?)に違和感を覚えた主人公が、「魔術の師匠」とのやり取りを思い返して終わります。

 第3話では、主人公たちを召喚した王様が謝罪し、第4話ではヒロインらしきキャラの顔見せをして、王様が召喚理由を話そうとした所で終わります。


 ストーリーが遅々として進まず、時間軸が巻き戻るのも良くありません。

 時間軸を巻き戻す手法は確かにありますが、有効に活用しているようには見えず、意図も分かりませんでした。



【ストーリー・設定の批評】

 まず、ストーリーは殆ど進んでいないので評価のしようがありません。


 そして設定ですが、あまりにも雑多すぎます。

 特にプロローグが顕著なのですが、主人公の設定を延々と説明されるので理解が追い付きません。しかも説明に終始しているので、面白さは皆無です。(主人公の語り口調が面白いと感じる方なら楽しめるかも……?)


 なのに説明の重要な部分が「記憶喪失」などを理由に省かれている場合があり、更には誤字(?)が理解を阻みます。(誤字というより、作者さまの勘違い?)


 ようやくプロローグの説明回が終わったかと思えば、第2話で魔術だか魔法だかの説明が入ります。

 その後も思わせぶりな描写などもあり、全体的に「隠された設定の匂わせ」が非常に多いです。


 「設定は分かり易く、必要な場面にだけ出す」のが良いかと思います。



【総評まとめ】

 正直、読むのがキツイ作品でした……。

 面白い、面白くない以前の作品ですね……。


 作者さまは「思いついた事をただ書く」のではなく、「他人に見せる」という事を意識して書かれた方が宜しいかと……。

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