★2 悪役皇子のやり直し ✿『英霊達の魂』に触れて生涯を学んだ凡人、努力と研鑽の果てに超越者へ至る!!


タイトル:悪役皇子のやり直し ✿『英霊達の魂』に触れて生涯を学んだ凡人、努力と研鑽の果てに超越者へ至る!!

キャッチコピー:馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍は踏まんよ

作者:shiba

URL:https://kakuyomu.jp/works/16816927860966363161


評価:★2


【あらすじ】

魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて無名の英雄、愛を知らぬ商人、気狂いの賢者など、様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。


それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま、物心つく前から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。



【拝読したストーリーの流れ】

 第二皇子として生まれた主人公が、後継者争いで弟の勢力に囲まれ、自害する。

 過去を後悔しながら、魂たちが攪拌かくはんされるようなあの世(?)でも、主人公は自我を失わず、英霊たちの魂(人生?)を疑似体験して、自我を保ったまま貴族の家に転生する。

 そしておそらく、英霊たちの経験を基に力をつけて無双する、と言った作品でしょうか。(タグに「主人公最強」「無双」があります)



【タイトル・キャッチコピーの批評】

 タイトルは、「これぞ、なろう系テンプレ」と言った感じでしょうか。

 「悪役皇子」「やり直し」「英霊」「凡人」「超越者」など、これでもかというくらいのパワーワードが詰め込まれています。

 個人的にはあまり好きではありませんが、読者獲得の点で言えばこの手法は正解だと思います。他の作家さま方も参考になさると良いと思います。


 キャッチコピーに関しては、可もなく不可もなくと言った所でしょうか?

 「馬鹿は死ななきゃ治らない」という有名なセリフを使っていますが、あまり上手いとは感じませんでした。このコピーだけで魅力を感じるかと言われると、疑問ですね……。

 ただ、タイトルの「やり直し」だけではハッキリしない、「転生」という説明が補強されているのは良い点だと思います。



【キャラクターの批評】

 一人称で描かれ、主人公を中心に物語が進行しますので5話までの時点では、あまり他のキャラは目立っていません。せいぜい、父親と剣術の師匠くらいでしょうか。


 基本的に、前世と英霊たちの知識を持っている主人公は賢く有能で、そんな主人公を取り巻くサブキャラクターたち、という構成となっているように見受けられます。

 おそらく今後は主人公の無双が始まると思いますので、そういった需要には応えているのではないかと思いますね。


 対して、サブキャラの扱いが小さいのは減点でしょうか。

 タグに「ハーレム」もありますが、5話までの時点でまともに登場する女性キャラは母親だけです。(少しだけなら他にもいますが)

 5話の時点ではハーレム需要に応えているとは言えませんね。



【文章・構成の批評】

 まず文体は基準レベルを十分に上回っていると思います。

 特に、見慣れない熟語が結構使われるのですが、前後の文脈から意味を履き違える事も無く、またそう言った漢字には丁寧にルビを振っていますので読みにくいという事もありません。作者さまの語彙力に感心しました。


 ただ文章として見た場合、やや迂遠で冗長と感じてしまいました。

 描写は丁寧で、語彙も豊富なのですが、そのせいかシーンの情景が頭に浮かびにくく、テンポも悪くなっているように感じました。


 また、一人称で書かれているのですが、主人公が元皇子という事からか尊大で老成した喋り方をしており、そのせいで地の文がまるで三人称のような印象を受けました。

 一人称の利点は「読み易い」というものが第一に挙げられると思うのですが、本作ではその利点の恩恵を全く受けておりません。


 構成も少し問題があり、1話で前世からの死亡。2話で転生し、4話で師匠が登場。といったくらいしかイベントが起きていません。5話まではひたすら「主人公の紹介」をしているだけに感じました。

 主人公はどんどん深堀されていくのですが、それ以外のキャラは深堀されず、目立ったイベントも起きません。序盤はテンポが悪いと感じましたね。



【ストーリー・設定の批評】

 ストーリーは上記の通り、大したイベントが起きていないのが問題ですね。

 イベントが無くても、魅力のあるヒロインやサブキャラが登場していれば、と思います。


 設定に関しては正確な評価が難しいですね……。

 基本的には「転生無双系テンプレ」をなぞっており、作品独自の設定も出てきてはいるのですが、それがどのように活かされるのかは現時点では読めませんでした。


 ただ魔法など、明確に「異世界」である事は分かるのですが、転生する際に「輪廻転生の仏教的な思想」という言葉に強烈な違和感を覚えました。

 「輪廻転生」はともかく「仏教」は流石に……。



【総評まとめ】

 この作品を私なりに一言でまとめると「描写の丁寧な、転生無双テンプレ」でしょうか。

 私にはこの作品独自の面白さは分かりませんが、読者さまの需要には十分に応える力量を持った作品だと思いました。(3/16時点で、なんと114万PV‼ ★も2200越えっ‼)


 序盤のテンポは悪いですが、それだけ描写が丁寧という事です。

 先の展開次第では十分に良作となり得るだけのポテンシャルは感じました。

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