第2話 嵐の前のパーティー
シェアハウス鈴木邸 2階 元葛城室
18時ごろ
「いや〜鈴木ちゃんが倒れたなんて聞いてびっくりしたよ〜」
今目の前で心配そうな目を向けながら無断で唐揚げにレモンをかけると言う戦争犯罪を犯しているおっさんは葛城江田。元自衛隊員で普通免許の他に大型特殊免許持ちである。
免許からもお察しの通り機甲科にいたそうだ
「ふあ元気ほうで良はっはね」
その隣でピザを食っているのが小久保葵。
葛城と仲がいい金髪デブオタクである。推しは某ゲームの悪役だそうな。良い感じのアニメ主題歌をデブあるある替え歌にすると言う特技を持つ。フリーター。31才。81.0kg。BMIは30超えである。筋肉も無いので救いようがない。
この二人が先ほどきた2人組である。
「にしても本当にあるんだな、あの怪奇現象は」
「私あんなことが起こるってそもそも知らなかったんですよ〜」
「ほれわ、流石にネットに浸かりすぎよん。大学サボると大変なことになるわよ〜単位落とすとか」
死んだ魚の目をしている。説得力あるな。
現実逃避じみた会話を続けながらピザを食べていたら少し満腹になってきたな…
「うん、ちょっとお腹いっぱいになっちゃったからゲームしてくる」「「いってら〜」」
シェアハウス鈴木邸
1階共有リビングにて
無駄に回転する階段を降りると猿園だった。
どうやら某乱戦ゲームで皆一時的にお猿さんに退化しているらしい。
「死いねぇええ!!!」
奇声をけたたましく叫ぶのは木村多夜。深夜ライン工勤務にして21才の地雷系ド貧乳女子である。ちなみに1t未満のフォークリフトの特別教育を修了している。
「おらカウンターだゴルルァ!!」
ワンランク音量が低いこの金髪天才DK(16)の名前は軍破田直哉。全然勉強してない癖にめちゃくちゃ頭がいいのであだ名としてROMと呼ばれている。
「オラー!爆弾を喰らえー!」
漁夫の利を爆弾で成そうとするアイテムエンジョイ勢は18才の浪人生、平沢浪子(ロウコ)
…まあ今日くらいはいっか。
「クソ、今度はもっとボコボコにされてもうたわ」
残機が尽きたらしいポテトを2本ずつ口に入れて頬張る筋肉ムキムキマッチョマンのアラサー、横山天介。警察官になって数年で、今日は運が良く非番だったそうだ。(交番の警官らしい)
この四人はまだこのシェアハウスにいる。
(田夜は都会へ出て3年くらいしてこっちの工場にたまたま戻ってきたのでまたこちらで暮らし始めた)
昼は買い出しに行っていたが。
何だかこう言うすでに盛り上がっているところに入るの、怖気ついちゃうんだよなぁ。
よし、ちょっと外の空気を吸いに行くか!
シェアハウス鈴木邸
玄関前
ドアを開けると途端にタバコの煙がその臭いと共に顔面を直撃した。開けた瞬間に深呼吸をしていた為とんだ大事故である。
「ゴホッ!ゲホッ!」
「ははははははは!」
畜生笑いやがって!
「良くも毒ガスなんか吸わせやがって」
「ごめん、ごめん」
謝りながらタバコを吸うのは氷崎慶輝。
ウクライナ=ロシア戦争後に急速に雪解けしたためロシアへ留学していたのだが第三次世界大戦勃発にともない急いで(当時20代)逃げてきたのだ。
当時はスパイ騒ぎも起きた為、ここくらいしか住める場所(中々悲惨だったし、上陸されてよりひどいことになった)が見つからなかったそうだ。
現在は非常勤として近くの中学校で教鞭を取っている。
「にしても倒れたって聞いたけど大丈夫そうだね」「まあ、びっくりしただけだし」
風下にいるはずなのに紫炎がキツい。
同時刻三階、平野室にて
平野と遠野は二人で詳しく今回の事について話し合っていた。二人の議論の最大の焦点はアレと昔の色々なこととの関連する可能性、次いで今後の対応だった。
戦前にこのような事はなかった、無くなるとかはあったが”あっち側“から来るのは絶対に。これは戦争でどうにかあったからだ、この家を狙う理由もある。と主張する遠野。
いや流石にただの怪奇現象で、人為的ならもっと効率化出来るだろう。そりゃ戦前には報道すらなかっただろうけれど。と返すのは平野である。
両者は一応の備えとして地下から色々持ってきておこうと言う点で一致したが上記のそれは全くどうにもならなかった。
なおこの備えはこの後に有効活用される事になる…
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