異世界迫真銃手部隊〜技術チートの裏技〜

下北沢王国114514軍代表評議会長

第1話 大会前の三時の惨事

 第三次世界大戦勝利から約1年

 2032年5月5日(日)15時

 東京都多摩市、シェアハウス鈴木邸近くにて


 拓野山サバゲー士隊は迫る東京都主催サバゲー大会に備え、様々な装備の点検、不足分の購入、そして大会前の決起会として一度に集まり、終戦記念パーティーを開こうとしていた。


 しかしながら、平凡な一日をぶち壊す異常現象という物は唐突に起こるものだ。

 

 何処かで誰かが何かを唱える。



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XXXhhhhhAAA

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 鈴木郁子、24歳(女)大学4年生は、目の前に突如地獄絵図が広まってゆくのを目撃し、その光景から目を離せなくなった。


 突如として一軒屋があった場所に、訳のわからない血塗れの、首が無いのに歩いているオークが一匹現れたのだ。しかもオークのいる場所一帯に時期ハズレの雪が50センチほど積もっている。


 オーク自体は自身がオタクであるため大体は把握しているが、どう観てもコスプレでも最近悪趣味になってきたユーチューバー共のドッキリではなさそうなリアルな動きだ。大きさも横にでかいだけで身長はそこまで無さそうだった。


 そして当のオークはフラフラこちらを向き、首の断面を見せながら倒れこんだ。

 途端に恐怖が吐き気にすり替わった。視界が霞む。手から荷物が消える。


 地面に四つん這いになり嘔吐する。目の前がどんどん暗く色を失ってゆく。

 遠くなる自分を呼ぶ親しい友人の声を聞いた気がした。







 目を開けるとそこには見慣れた天井があった。

 シェアハウス鈴木邸の三階のワンルーム、入居して4年だ。

 先ほどの光景が嘘の様に思えて、しかも正確に思い出したからか吐き気も襲いかかってきて最悪な感情になった。

「おっ?やっと起きた。大丈夫ですか?」


 私の友人、遠野眠男だ。

 3歳も年下だが小学校からの付き合いでよく勉学方面で競い合った。今は同じ大学で同期だが。

「最悪だよもぉん、何なのアレ見たことないわよ。」

「テレビで最近やってたんですが…まあ見ないですよね、アレは最近起こり始めた異常現象で、転移現象だと言われています。」


 なんだそれは…たまげたなぁ。


「それ本当に言ってる?いくら何でもそこまでマスコミが馬鹿なこと言うわけがないでしょ?」

「いや、その部分のみ土の成分などがめっきり違ったり、山にいきなり火事になってる家が転移してきて、火元となり山火事になったりしたそうですよ。ホラホラホラこれですこれです」


 スマホでWikipediaを開いて見せてきた。

 そ、そんな事が本当にあるのか…

 口をあんぐりとあけ呆然とする。

 こいつは嘘をついたりドッキリを仕掛けるような人間じゃない。それに規模がデカすぎる。


「まあ警察へ通報はしといたんでそろそろ来るんじゃないですか?」

「そういやアレから何分経ってるんだ?」

「15分です。」




    鈴木邸一階共有スペースにて


 鈴木君を遠野君が担いで来る事はあまり珍しく無かった。逆もあったなぁ。それでも昼間っぱから酒を飲むことは無かった。いつもと違いあわだたしく帰ってきたので何かあったのかと尋ねた。


 聞けば、最近騒がれている怪奇現象で、近くの無人の一軒屋が飛ばされて、肌が緑の首無しの死体が転移してきた、それを見た鈴木君は気絶、パーティーに早めに来た遠野君がそれを見つけて警察に通報してから急いで連れてきたと言う。

 「あぁ、そういう事なんですね。所でその二人は?」

 「上にいるよ、さっき内線を掛けたからそこのエレベーターから出てくるよ、光が動いてるからね。」

「いいですねぇ〜シェアハウスって、あっすみません、もう一度お名前を?」

「平野鉄吉、鉄に大吉の吉だ。」


年齢38歳、このシェアハウス鈴木邸のオーナーだ。


 玄関のドアが開く音がする。

   「「「ただいまでーす!」」」

 あいつらが来たか。エレベーターのドアも開かれる。エレベーターのガラス越し二人と目が合った。元気を取り戻しているな。


「それじゃあ、パーティーの準備があるので。本人も来たしね」「えぇ、ご協力頂き感謝します」


 


 事情聴取は早く終わった。

 首無しオーク(思い出したく無い)の話だが今の所は人としてはなく動物の死体として処理されている。保健所止まりかは知らないがおそらく詳しく調査されるはず。と言われた。

 確定はどうやら出来ないらしい。

 聴取を”今日は“軽めにされたのは終戦記念日だからだろうか。

あの凄惨たる大戦争が終わってやっと一年なのだ。

(なお極一部地域のみだが日本はなんと敵軍の小規模な上陸を許してしまった。)

 主な戦闘はユーラシア大陸で為されたとはいえこの国でも随分な人間が不幸にも戦火によって命を奪われてしまったのだ。

 思えばあの戦争が無ければ今頃留学でも出来ていただろうか。不仲とはいえ両親にもう一度会えたのだろうか。


 ミサイルが、砲弾が降り警報鳴り響いたあの日の夜、私だけがここにいた。交わした約束は破られた。

 平野さんには色々と手伝ってもらったか。 一応親戚だったがあまり親交がなかったのに心優しく受け入れてくれた。他にも色々な人を助けていた。

 ここは奪われた人達の家だった。連中がすぐそこに迫ってからは砦になったが。

 独り立ちに成功して引っ越す奴もいたが今日は戻ってくる。今日はパーッと楽しまなくてはならない。

「「たっだいまー!」」

最後の二人が帰ってきた。






 

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