第2話

寮に帰って来た私は、寮の一階にある自販機で買ったジュースを片手に、ネッ友と【バトルコア】というゲームをしていた。


リアルで遊べる友達が居ない私は、オンラインでゲームをするしかない。


友達は欲しいけど、リスクを考えてたら作らないほうがお得だと思うし、何よりも今まで全くと言っていいほど交流がなかったから、初対面の人にどうやって話しかければいいのかが全然わかんない。


「…よし、あそこは狩れる」


相手に勘付かれないよう、スコープの中心に入った一瞬で撃つ


「よし、当たった」


このゲームを始めてから長いこともあり、ゲーム内のエイムはそれなりに良いつもり。


現実の武器でもできるかと思って学園の物で試してみたけど、重いし反動がデカいしで結局スナイパーライフルは断念した。


その代わりに【P40-Q】を装備することにしてる


『あっ、すまんそっち行った』


「おっけー」


スマホのボイチャから聞こえてくる声に返事しつつ、右から来た敵に弾を撃ち込む。


「終わったよー」


『助かる』


『セキュリティのハッキング終わりました!』


「おけ。じゃあ私がコア侵入するから誰か護衛よろしく」


『了解。俺と《うどん》でそっち行くからちょっと待ってて』


「わかった」


暫く待っていると、右下のマップに味方のアイコンが二つ近づいてくるのが表示される。


「それじゃ、護衛よろしく」


『任せて、死んでも守るから』


『ちょうど溜まってるし俺がバリア張るわ』


その声と同時に、私の周りに半透明な球体のエフェクトが二重に現れる


『こっちからもなるべく援護します!』


「了解。それじゃ、行くよ!」


『『おう!』』


私がそう言って走り始めると、後ろの2人も同時に走り出す


「っと、やっぱシールド置かれてるか」


『仕方ない、回り込もう』


「そうしよっか」


『じゃあ私も移動します!』


「わかった。後ろはそっちに任せるね」


『任せてください!』


相変わらず《ヲタぬき》さんは元気だなぁ。


一先ず敵が少ない右側に回って、敵陣の中央を目指す。


『…見つかったか。ヲタぬきさん頼む』


『わかってます!』


ヲタちゃんがそう言うと、即座に敵の姿が消滅する。


「流石ヲタちゃん。引き続き援護お願い」


『もちろんです!』


『あ、そろそろバリア切れるから気をつけて』


「わかってる」


さっき1人落とした。2人は左側からこっちに向かってる。後1人は多分…


『危ないっ!』


そう言って《さくらもち》が後ろに回り込んだ瞬間、甲高い音が鳴り響く。


「…やっぱり後ろに潜伏してたね」


『だな』


「さくらさんはそのまま敵を引きつけておいて、隠密持ちは逃すと厄介だから」


『わかった。それなら先にウイルス転送しておくから、なるべく急いでね』


「わかった、それじゃよろしく」


そうして走ること十数秒、ついにマップの最奥に辿り着いた。


「よし、後はコアの破壊だけ。後ろから来る奴はヲタちゃんに任せるから、うどんさんはリス地を警戒しつつコアの破壊をお願い」


『了解です!』『地味に難しいこと言わないでくれ…まあやるけど』


『敵2人やりました!』


『危ねっ!サンキューヲタさん』


『いえいえ!』


「後5秒位したらウイルスで死ぬから後はお願い!」


『それなら煙幕を頼む!」


「わかった!それじゃ後は頼むよ!」


その言葉を最後に画面が真っ暗になる。そして数秒後に画面の中にデカデカとVictory!の文字が表示される。


「イェーイ!」『やりました!』『よっしゃ!』『やったな!』


「それじゃ次行こ!」


『『『おー!』』』


そして暫くの間、4人でゲームを続けた。


<> <> <> <> <> <>

【バトルコア】

発売から8年経つが未だに人気があるオンライン対戦ゲーム。

4対4ののチーム戦で、相手チームの持つ《エネルギーコア》を先に破壊したチームの勝利。コアの破壊はルールによって方法が変わり、

セキュリティルームのシステムを壊してからコアを破壊する《カンパニー》

ミッションをクリアしてコアをハッキングする《サイバー》などのルールがある

<> <> <> <> <> <>


_________________________________________

【補足的なあとがき】

この世界は現実にない武器やゲーム、文明などが割と入ってきます。

違う世界なんだから違う物もあっていいだろ的な理論です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る