浮かれていた。私だけが浮かれているような気がしていた。

 入学するまでの残りの春休み、できるだけ一緒にいたいと思っていたけど、陽太くんは強くなるためだとかで喧嘩ばかりであまり会ってくれない。

 お互いに思っていることは同じなはずなのに、どうして違うような気がするんだろう。


 夕方の数時間、図書館か防波堤で会うのは変わらない。

 あと三日で春休みが終わるというその日は、雲一つない快晴だった。

 暖かくなってきたけど潮風は冷たいから、思いきって陽太くんにもたれかかってみる。触れたところから、陽太くんの体温を感じる。自転車の二人乗りでひっつくことはよくあるのに、こういうのは恥ずかしい。


「喧嘩強くなって有名になってきたら、女の子が言いよってくるんじゃない?」

「ゲーセンで声かけられるけど、無視してる」

「やっぱり、そういうのあるんだ」

「先輩がいるの知ってるのに声かけてくるから、ムカついてる」

「知ってるのに?」

「好きだとかつきあってくれだとか言われたら、はっきり言うから」

「……なんて言ってるの?」

「好きな女いるから付き合えないって」


 陽太くんは顔を赤くして、私を見ていた。そういう顔を見ると、浮かれているのは私だけじゃないんだと安心する。


「この前話したこと……中学卒業したら、先輩を連れ出せるくらいになってみせるから」


 陽太くんなりの覚悟があるんだと思った。

 

「うん。私も頑張る。陽太くんが安心できるような人になる」

「先輩は頑張らなくていいんです。今のままでいい。俺が浮かれてへんなことしないように、今のままでいてください。俺が中学卒業するまでは」

「へんなことって……」

「手ぇ、出したらとまらなくなるぞって言われたから……」



  ─ ─ ─


 体調イマイチなので、文字数少ないですが

 (;^ω^)

 


 


 





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