第1話

遍く星の瞬きの間を、滑るように渡る、幾筋もの光源。

それらは、時に無機質に規則的な動きを見せ、時に気まぐれな生き物のように変則的に動く。


美しい軌跡を描く光の存在は、恒星に連なる惑星を棲み処とするいくつかの生命体に時折感知された。

それが知的生命体であれば、時に不吉の象徴とも取られたりもしたが、彼らには与り知らぬことであろう。


全ての生命体に感知できるわけでもなく、その星の一部の生命体に、ということもあった。

それはまた違った意味で差別を生むことにもなった。

それもまた、彼らには関係のないことだった。

彼らには何の罪もなく、ただ、それを受け取る側に何かしらの澱があっただけに過ぎない。


いくつかの光を感知できるものが居たとしても、全ての光の存在を知るわけではない。

全てを知ることが出来るものがあるとすれば、この宇宙を創世し給う「誰か」だけだろう。


数多ある光の中で、同じ方角を目指して進んでいるものが二つ。

それは、全く別の方角から、ただ一つを目指しているように見えた。

時に他の光と遊ぶような動きを見せ、時に一つの惑星に留まる。

その地の生き物と戯れ、また旅に出る。

大いなる宇宙を旅するもの。

目的のない旅もあろうが、彼らは、確実に何かを目指して進んでいた。

遠回りをしても、どこかで立ち止まっても、魂に刻まれた羅針盤は、同じ方角を示している。


時折、恒星に立ち寄っていくのは、エネルギーを補充しているのだろう。

肉体を持った生命体には近づきすぎれば死に堕ちる光も、彼らには触れ合うことのできる一つのエネルギー体に過ぎない。


彼らには上もなければ下もない。

強者もいなければ弱者もいない。

ただ、ひたすらに高く、澄み渡る世界に、彼らは生きている。

何と触れ合っても、何と戯れても、彼らの中のその無垢な魂が損なわれることはない。


彼らは、既にすべての理を越えている。


その存在が、どこを目指しているのか。

それは、物理的な場所ではないのだろう。

物理法則を越えた、謂わば「場」

それに該当するのは、万飛び交う存在の中の、ただ、ひとつ。


二つの光は、長い時を経て、邂逅する。

それは、この世界に生れ落ちたときに分かれた、人の世で言うところの分け御霊。

長い長い旅を終えて、それは再び出会い、そして、統合される。

二度と再び、分かれることのないものとなる。


そこで生まれるのは、まばゆいばかりの、光。

そして、


人の世の理になぞらえて言葉にしまえば、どこまでもチープになってしまう。

だから、今は

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