新しい自転車

小春かぜね

はなさいでね!

 ……


「お姉ちゃん。絶対、はなさないでね!」

「絶対だよ!!」


「はい、はい……分かっているわよ。咲子…!」

「私が、そんな事をすると思う……?」


 私(咲子)は覇気のある表情で、お姉ちゃん(宮子)に言う。

 けど、お姉ちゃんは澄ました表情で私に話す。


 ちなみに、お姉ちゃんは小学六年生で有る。

 そして、私は小学一年生で有り、その妹と成る。


 私の元に、新しい自転車が届いた!

 これは、私が小学生になったお祝いで、お母さんがプレゼントしてくれた自転車だ♪


 今までは、お姉ちゃんが幼稚園時代に乗っていたで有る、補助輪付きの自転車に乗っていた。

 お姉ちゃんのお下がりで有るから、少しボロかったけど……(汗)


 当たり前で有るが、新しい自転車には補助輪は付いていない。

 今日が新しい自転車デビューで有り、また、補助輪が付いていない自転車に初めて乗る日でも有る。


 その自転車を一人では乗れないので、自転車を一人で乗れる練習を、お姉ちゃんが付き合ってくれる。

 お母さんは仕事に行っているし、お父さんも仕事に行っている。


 なので、お姉ちゃんは私の練習に付き合わされるので少し不満で有った?

 でも、お姉ちゃんはと、お姉ちゃんをしてくれている?


 お姉ちゃんは落ち着いた口調で、私に話し始める。


「咲子。私が後ろを支えているから、咲子は自転車を漕ぎ始めなさい!」


「……分かった」

「お姉ちゃん…(汗)」


 私は、緊張した表情でお姉ちゃんに話す。

 私のお姉ちゃんは、私ほど感情が豊かでは無い。


 クールと言えば良いのかな?

 でも、そんなお姉ちゃんで有るが、小学校では人気があるらしい(?)けど、怒らせるとお母さんより怖い!?


 自転車のサドル調整はされていて、直ぐに足が付ける高さで調整されているが、自転車でけると凄く痛い///

 大抵、膝や肘に擦り傷が出来る!///


 お姉ちゃんに自転車後ろを支えて貰いながら、私はとペダルを漕ぎ始める。

 ペダルを漕ぎ始めると……当然だけど、自転車は前に進み始める。


「……」


 自転車が進むと、お姉ちゃんは澄ました表情で後を付いて来る。

 でも、有る所でお姉ちゃんは、指示を出す様な口調で私に言い始める。


「咲子。もう少し、早く漕いで!! そんな亀みたいなスピードでは無く!!」

「これでは練習の意味が無い!?」


「えっ!?///」

「あっ、うん……分かった。お姉ちゃん///」


 私は焦った口調で、お姉ちゃんに返事をする。

 私はペダルを漕ぐスピードを速めると、自転車もそれに応じてスピードが出始める。


『……タタッ』


「…………」


 お姉ちゃんは、それに併せて走る様に付いて来る。

 だけど、お姉ちゃんは澄ました表情の無言で付いて来る?


(お姉ちゃん何も言わないけど、何処まで漕げば良いのかな?)

(このままだと、大きい道に出てしまうよ(汗))


 私は現在。路地裏の道で、自転車を一人で乗れる練習をしている。

 なので、車の往来は殆ど無いが、その先は住宅街を抜ける道に出てしまう。


「……咲子。ストップ!」


 お姉ちゃんが甲高い口調で、私に指示を出す!

 私は自転車のブレーキを握って、自転車を停止させる。


『キイィ!』


「咲子!」

「ここでUターン!」


 お姉ちゃんは真面目な表情で私に言う。

 お姉ちゃんは道路の先を見ていたので、大きい道へ出る前に自転車を停める指示を出した。


 私は自転車に乗りながら、足を使って方向転換をする。

 方向転換をした後。お姉ちゃんは落ち着いた口調で私に話し始める。


「咲子!」

「今度は最初から普通に漕いで!」


「うん。分かった、お姉ちゃん…!」


 新しい自転車に少し慣れた事も有って、私は穏やかな表情でお姉ちゃんに話す。

 私はお姉ちゃんに支えて貰いながら、自転車を漕ぎ始める。


『シャーー』


『……タタッ』


 最初は少しふらついたけど、自転車はスピードを乗って走り始める。

 すると……後ろの居たお姉ちゃんが、何時の間にか……自転車の真横に走って来る!?


「!?///」


『キイィ!』


「あっ、あれれ!?」

「お姉ちゃん、なんで横に居るの!??」


「なんで、後ろを支えていないの!?」


 私は咄嗟とっさに、ブレーキを掛けて自転車を停止させる!

 同時に慌てた表情でお姉ちゃんに言う。


 けど、お姉ちゃんは澄ました表情で私に話し始める。


「んっ。咲子が普通に自転車へ乗れているから、私のその横に付いただけだよ!」

「何かおかしい?」


「……あっ、えっ……でも、お姉ちゃんは後ろを支える約束では……」


 私はの表情でお姉ちゃんに話す。

 でも、お姉ちゃんは少し微笑みながら私に話し始める。


「あなたは運動神経が良い方だから、直ぐに乗れて私も良かったよ!」

「これが鈍くさい妹なら、苦労しているはずだけど……」


「……それは褒めているの。お姉ちゃん…?」


 私はジト目表情でお姉ちゃんに話す。

 私は苦労もせずに補助輪が付いていない、自転車に直ぐ乗れたようで有った!


 ☆


 最初は少し怯えながら、補助輪が無い自転車に乗っていたが……数週間の時が過ぎれば、そんな怯えも何処か行ってしまう!

 今では、自転車に乗るのが凄く楽しみで有る!!


 自転車を使えば早く移動出来るし、天気の良い時は歩く時より楽しい!

 現在はお母さんから(自転車)行動制限が掛かっているけど、何時か自転車で隣町とか行ってみたいな!!


 ……


 ☆おわり☆

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新しい自転車 小春かぜね @koharu_kazene

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