第1章 2話 銀の少女と黒の妹
2044年5月、季節はもうすぐ梅雨。本日、新関東エリアの天気は快晴。
新関東は、妖殺しを裏の家業として担当する3つの名家、『白鷹家』『京築家』『ネオン家』が所在する3つの市、北の『白鷹市』南西の『京築市』南東の『ネオン市』へと分かれている。
そして、俺(湊 創八木) は、白鷹市に在住。
3年前から寝食のお世話になっている祖父、湊 牛生(ミナト ウシオ)宅のリビングにて遅めの昼食中。本日のメニューはハンバーグカレードリア(デリバリー)。
牛生家は元個人経営の民宿施設。庭付き2階建てと実家のお屋敷に比べれば規模は小さいが、近所で名の知れた金持ちである。もともと牛生さんは、実家の表家業であるうちの一つ、酒類販売業の経営者だったが既に引退。今は、野菜の自家栽培など趣味を満喫しつつ、ふらっと居なくなっては戻って来る自由人。料理をしない代わりに舌は肥えていて食事にはお金をかけるため、今回も隠れた名店らしい洋食店に配達注文したのだとか。ふらっと外出するのはこちらも同じなので、必要な時に注文してくれるのは助かる。味?美味しいに決まってるぞよ。
「メイドのお嬢さんは部屋に戻ったのかい?」
「今頃、今日の依頼報酬で購入したBD(ブルーレイディスク)をゆっくり開封しながらニヤニヤしてるんじゃないかと」
「ハハハ!じゃあ、この後は結構賑やかになるか~」
「ほんと、すんません・・・あんまりうるさかったら音量下げてもらうんで」
「別に問題ないよ。もう慣れたしねぇ。ヘッドフォンもしてくれてるし、音漏れとそれ以外じゃ、ご近所の迷惑にはならんだろう。それに今日も外出予定はあるから気にしなくていいよ」
「寛大な心に感謝します!」
ちなみに、それ以外というのはBDを観ながらサイリウム両手にコールしたり歌ったりしてる時を言う・・・その時はマジでうるさいが、びっくりされたことは何度かあるものの、一度も本気で怒られたことがない。牛生さんはとても優しい。
「(俺が湊家の世話になることだって二つ返事で了承してくれたらしいし)」
あの時は中学を卒業した後だったか。誰も信用できず、心が酷く荒れていた俺に時間をかけてゆっくりと氷を解かすように温かく接してくれた。そうしてようやく人並みに生活できるようになっても高校へは行かず、卒業資格を得て、現在は大学生になれた(でも休校中)。
愛桜との再会も叶って裏仕事を引き受ける余裕もできて恩返しできるかと思ったのだが、お金は受け取れない好きに使いなさいと言われてしまう。せめてと奇妙な縁に頼ってこの家に弱い妖が近づけない結界を専門家に設置してもらった。この結界は、表の世界では力が半減してしまう愛桜が過ごしやすいようにと考慮されている。これを年間契約で支払っている分は最低でも稼がないといけない。
・・・。
昼食をごちそうさましてふと静かなのが気になった。
「牛生さん。あいつの様子見てきますね」
「そういえば静かだね。行ってらっしゃい。私もそろそろ用事で外出するとしよう」
「わかりました。特に雪女には気を付けて」
「見えるとはいえ、注意しよう」
ではまたと別れて2階に上がる。牛生さんは1Fで俺たちは2Fに部屋がある。
まだ空室がいくつか残っているので、自分達のために民宿をやめてくれたことを申し訳なく感じる。
トントン。
「愛桜。今大丈夫かい?」
「少しお待ちください、ご主人様」
扉は愛桜が自ら開けてくれた。向かい合って表情を窺うと、何やらご機嫌ナナメのご様子。タイミングが悪かっただろうか・・・。
中に入るように言われたので失礼させてもらう。相変わらずピンク色大好きで床は初期の状態で畳だが、布団ではなくベッドが置いてあり、海外に本店がある某有名店から家具とインテリア雑貨を通販で注文しては、部屋全体を薄めのピンク色に統一している。ベッドの上では、白い有名なうさぎのぬいぐるみが2体置いてある。
そんなお姫様みたいな部屋の中心でメイドは畳に正座して、床に置いた開封済みのBD限定版を見てくれと指さしている。
「こちらを」
「なになに・・・学園ラブリー免許皆伝~もっと可愛く演武2024 IN 白鷹スーパーアリーナ~を収録した編集済のBD限定版です・・・いや、会計する時に確認したんだからこれで間違ってないんだろ?」
ホビーショップで猫耳生やしてる妖メイドがいてもワンちゃんコスプレと間違われそうだが、騒ぎになると困るので、商品受け取りと会計は全部俺が引き受けていた。
「そうなんですけどっ!そうなんですけどっ!(バンバン)」
「・・・はいはい落ち着いてね~。まだ未視聴だろ?何が問題だったのかな?」
「わたしが間違っているのでは? と何度も確認しました」
「うん」
「入ってないんですよ店舗特典が」
「特典?キャラの?」
「キャラです。オフショットverのコレクションカードがヒロイン全部で3枚!」
「なるほど・・・」
ちなみに、もとは育成ゲーム。ライブ会場で演武するのはヒロインの声優さんという話で、声優さんってそんなことまでするの? と驚いている。オフショットは声優さんではなく、ヒロインの方で描き下ろした写真風イラストカードになるそうだ。
「電話で問い合わせてキャンセル分があれば明日交換でお願いします」
「なるほど・・・えっ、マジで?」
「マジです」
「う~ん、電話はともかく、来店は恥ずかしいな・・・」
「ご主人様!」
「おわっ」
畳に手をついて急に顔を近づけてくるメイド(圧がすごい)
「思い出してください。今回のライブにはご主人様が推している、天使さんもいるんです。」
はぁ、何かと思えば・・・。
「いやいや。天使 皐(テンシ サツキ)は別に推してるわけじゃない。低身長銀髪キャラが好きなだけだから。」
へーと適当に返された。信じてくれないんか。
「スリーサイズは?」
「79ー57ー86。身長150cm、体重47kg。魅力的な低身長で銀髪の長さは腰まで届くスーパーロング。そして声も可愛い」
「ガチで推してますよね」
「ガチで推してません」
「・・・・・・」
埒が明かない。メイドがジト目で見てくるので、ここは俺が折れるとしよう。
「はぁ・・・わかった。すぐ電話するから待ってなさい」
気まずさを誤魔化すようにスマホを取りに部屋へ戻った。
「恥ずかしい思いをした・・・」
翌日、一人電車で駅近のショッピングモールへ向かうことになった。電話で問い合わせたら、特典封入ミスが多発していたらしく、お詫びされて、希望の店舗で交換可能と案内された。そういうわけで、どうせならと賑やかな場所に来てみたのだが・・・。おかげで並んでいる他のファミリー客から視線を集めてしまった。いつものホビーショップとは違って子供向けの玩具も多く置いているからな・・・。
「(まあ、さっさと出よう・・・)」
レジカウンターから出口までそう遠くないが、途中でSNSや動画サイトでブームになっている人気玩具のコーナーを横切る。
「へえ。コマを回転させながら落とすときにかけ声を出すのね。これは・・・カスタマイズというのでしょうか」
横切るだけ・・・。横切るだけ・・・。
「無視しないでください、ゴミ兄さん」
「だれがゴミだ誰が」
反応してしまった・・・。
「ねーおねえちゃん。知らない人にゴミって言ったらダメだって、ママが言ってたよ?」
「・・・」
無垢な少女に注意されてショックを受けている。いいぞ、もっと言ってやれ。
おねえちゃん(?)は、しゃがんで子供の目線まで高さを合わせて言う。
「そこにいる男性は、私のお兄様なんです。お兄様は昔発売したギャルゲーで、ヒロインに何て呼んでほしいか選択する時に『ゴミ』を選びまして。年下の女の子に呼ばれて興奮していた、救いようがない人なんです」
「え・・・」
少女がこちらを見上げて悲しそうな表情をした。
「ゴミお兄さん、かわいそう・・・」
「・・・・・・」
えっ、死にそう・・・。
こちらを振り返ることなく、母の方へ駆けていく少女。
「涙拭けよ、兄様」
お・・・。
おまえのせいじゃぼけぇえええええっ!!
「・・・で、おまえは何の用だよ(怒)」
あのまま話してたら不審者扱いされそうなので、店を出て人が少ないエリアまで移動した。
「才色兼備、品行方正、あなたの優秀な妹、白鷹 兎雪(シロタカ トユキ)ですけど?」
「誰かなんて知ってるわ! はぁ・・・そうじゃなくて」
「冗談です。最近の流行について調査してるんです」
「子供向けのホビーを何のために・・・」
いや、大人も普通に遊んでたか・・・? 流行というか、再流行というか・・・。
「これも冗談です」
「それも冗談なのかよ・・・」
子供たちに交じって楽しそうに遊んでただろ・・・。
・・・。
「本題ですが、昨日のような妖殺しを勝手にされては困ります」
「何でそんなこと知ってるんだよ・・・」
「バレますよ。毎朝忍び込んで発信機を服に・・・おっと」
「おい」
今さらっとやばいこと言いやがったな?
「冗談です。こちらの管轄エリアなんですから、妖の存在には白鷹家だって気付きます。兄さんは現在湊家の家でお世話になっているでしょう? 裏の家業については私たちに任せていただきたいのです。」
言うと思ったが、こちらも引くことはできない。
「これ、禁止することはできなかったよな?」
「できませんけど・・・。普通に危ないでしょう? いくら護衛の愛桜さんが妖といっても人間の同行者は必須ですし。それに、兄さんは武器を押収されましたから」
「ん? あっ、ああ・・・それはな」
依頼者に前報酬で武器をもらったことまでバレるのはマズイ。
俺が同行して、討伐は全て愛桜が担当していることになってるの忘れてた・・・。
「別に義務感とか血筋だからやってるわけじゃないんだ。なるべく牛生さんの負担になりたくなかったし、稼げることを稼げる範囲で受けられないかと思っていたら、そっちとは別口から依頼が来た。だから、危ないことには関わらないつもりだ」
はぁ・・・と兎雪はため息をついた。これはわかってないと言いたげだ。
「母に知られたらこうはいきませんよ。バレる前に妹の親切心にも応えてほしいものです」
「あの人が俺の行動を止めることなんて無い。勝手にくたばるならむしろラッキーだろう・・・」
これは平行線になるな・・・と思っていたら、妹は何か聞きづらいことを聞くべきか迷っている様子だ。ここはどうぞと言わせておく。
「ねぇ、兄さん。どうしてこの仕事を引き受けるのですか? 表の仕事であれば安全に稼げるでしょう? 何かこだわる理由があるんでしょうか」
あるいは義務ではなく、本当に心配してくれているかもしれない「家族だった」相手に義理を通すのであれば、これだけは伝えておくべきか。
「経年劣化ってあるよな」
「はい。時間が経過すればするほど汚れ等で元の状態を保てなくなることですね」
「ああ。これは時が過ぎれば普通に起きる事で、最悪新しいものに交換するとかしかないよな。問題はそれが俺の記憶ってことで、ついでに裏の世界に関連する話だってことなんだ」
「裏の世界に関連する・・・それは、過去に行方不明となった、あの頃の話ですか?」
「ああ・・・」
あれ? その時の兎雪って、どうしていたんだろうか・・・誰かに聞いたっけか。
「その断片みたいなものを偶然だが最近取り戻した。そして、どうも放置しちゃいけない大事な事だとわかった。でもまだ手遅れじゃない。失った過去に戻ることはできないが、未来でなら手に入れることができそうだから。」
「その鍵となるのが雪女、ですか」
「そうだ。断片となる記憶を取り戻したのは、愛桜と共に引き受けた、最初の依頼だ。記憶を修復するのではなく、襲った人間の記憶を読み取り、保管する雪女から情報を集める。これが、今俺達がやりたいことだ」
「それにしたって蓋然性のない話でしょうに・・・」
スマホで時間を確認した。まだ余裕はあるが、話の区切りはついただろう。
「今日はここまでにしよう。何か食べて帰りたいんだ」
「相変わらず、外食かデリバリーしか食べないんですか?」
「まあね。美味しいからいいじゃない」
去っていく俺を見ながら困ったように呟く声がする。
「だったら、私にも助けてほしいって言えばいいでしょうに・・・」」
「ふんふ~んと♪」
昼食は某カツ丼チェーン店で期間限定のゴージャス丼をテイクアウト。カツ丼に牛焼肉とハンバーグが入っている贅沢な一品だ。久しぶりでテンションが上がってしまい、追加で普通のカツ丼も購入してしまった。
「(さすがに多いか?残ったら自宅に持ち帰ろう)」
ショッピングモールの休憩エリアで自由に使用できるテーブルと椅子を見つける。
フードコーナーの密集したところはランチタイムに混雑しがちなので、A館からB館に移動する連絡通路の端側にある、2席しかない場所を選ぶ。
右側の連絡通路を人がよく通るのは慣れたので気にしてない。
「それじゃあさっそく・・・っ!?」
「うんまぁい!これよこれ、頭悪そうな肉だらけ、肉好きにはたまらん触感、味の濃さ、脂っこい肉汁!これがいいんだよぉおおおお!Success !!」
もちろん声は抑えているが、テンションの高さは隠せてない様子。そのせいか、食べてる途中から視線を感じている。すごく近くから感じている。
「じ~」
それはもう、すごくすごく近くから感じているくらいにすごくすごくすごく近い。
通りがかりの人を俺のエモーショナルなポーズで引き寄せてしまったというのか!
「(足元に帽子を裏返して置いたら、硬貨とか投げ込んでくれるだろうか・・・)」
そう思っていると、隣の席に座った誰かは視線をこちらから外した。そうして深いため息をした。
「ただの頭がおかしい人だったの・・・」
「(結構辛辣だが???)」
頬杖をついて隣の席を見る。銀髪の少女が気まずそうに座っていた。
ふむ・・・銀髪美少女か・・・。
「・・・身長は150cmくらいでツインテールの銀髪は腰まで長い。おとなしそうだが年齢は若そうだ・・・16歳くらいだな。胸はB寄りのAぐらいだろう。お尻は平均より少し大きそうだ・・・ウエストも細めだな・・・肌も下着も白い」
ガガッ!
銀髪少女は驚いて立ち上がる。椅子が後ろに下がり、ガガガと引きずる音がした。
「あ、あのぅ・・・(怯え)」
おっといけないな。天使皐の成長について普段から数値化しようと研究している癖だろう。 別に推してないが。
「・・・俺としたことが、初対面の女の子に失礼な分析をした。お詫びしたい。しかし、よく見ると俺の性癖にどストライクな少女だ・・・是非、お持ち帰りしたい」
銀髪少女は後ずさりした。
「怖いこと言ってるの・・・思ってること垂れ流したままですよー?(ドン引き)」
「なんだと? 俺としたことがまたいつもの癖で・・・大変失礼し__」
「(んっ!?急に頭痛が・・・!?)」
頭を下げたところで急に頭痛が酷くなって視界が白黒になる。ラジオから出るノイズのような音が聞こえ始める。少女と少年の集まり。見たことが無い・・・はずだが、どこか懐かしい場所。
何かを話し合っているようだが、ノイズのせいでちゃんと聴こえない。
『・・・箱庭についてはどう思うかな? ローゼル』
箱庭って何だ? 問いかけている少女はどこかで・・・テンシ?
「テンシ・・・ローゼル?」
ふと視界が元に戻り、痛みも引いた。
「雪女を殺した時に見た光景に近い。この記憶は・・・?」
そういえばと思い、銀髪少女の方を見ると、じっとこちらを見ていた。
片手は頭に手を置き、少し泣きそうな顔をしているようだが・・・。
「そうだ・・・おねえちゃん・・・行かないと」
「おい、大丈夫なのか?」
「えっ? うん・・・」
銀髪少女は声を掛けられてハッとなっては、こちらを再度じっと見た。
「どうして知ってるの? わたしの名前」
「名前?」
「さっき呟いてたの・・・」
まずい、何のことか思い出せないとストーカーだと思われる。知らない人が自分の個人情報を知ってたら怖いもんな・・・わかるよぉ。
えっと・・・、呟いたといえばさっき二つの名前を・・・テンシとローゼル。天使?天使といえば・・・。
ここから見える位置にあるモニターを指さす。現在アイドルが出演しているCMが流れている。
「天使皐、ご本人・・・じゃないよね」
「うん。違うの」
「ああ、悪い。ローゼルの方だったか・・・?」
「そうなの。少し惜しかった・・・です」
ローゼルは頷いた。何が惜しかったのか謎だが、こちらも名乗るのが礼儀だろう。
「俺は湊 創八木。大学一年だ(休校中だけど)」
「ソウヤギ・・・」
「おう。それはそうと、せっかく出会えた縁と騒がしかったお詫びということで、一緒にお昼を食べよう。お腹空いててな。そして君にはこのカツ丼がお似合いさ」
「は? え?」
「それでな? 君の名前を呟いたのは偶然なんだ。頭痛が酷かった間に何かの記憶が流れ込んできてな。それが原因なのかもわからん」
食事を再開しながら、先ほど起こったことを伝える。
少女は頷きながらも出てくる感想が、こんなに美味しいカツ丼初めてなの!とかだったりする。いや、共感するが。話を聞いてくれ・・・。
・・・。
「ごちそうさまでしたの・・・お金、本当にいいんですか?」
「勝手にこちらが押し付けたんだ。むしろ助かったよ」
ありがとうございます、とぺこりされる。お店のファンが増えたのもいいことだ。
少しお話しした後、お互い食事を終えて席を立った。
「そろそろ行くかい?」
「近くの市民会館に週1で用事があるの・・・変な人じゃなくて良かったです」
「それはどうも。あー、一応これを渡しとくわ・・・内容はあんまり気にしないでほしい」
タイミング的に渡したくないが、収入に繋がるためには少しでも営業せよとメイドが申してたからな。それに先ほどの現象も気になる。
「妖にお困りの際は、お気軽にお問合せください・・・お仕事してるの?」
「学生なんだが、専門で依頼されることもある。君が関わることは無いと思うが一応な。必要な時は連絡してほしい」
「なんぱ、なの?」
「違う違う。いや、そう思われても仕方ないが・・・」
「ふふっ。冗談なの。お仕事頑張ってくださいね」
笑顔が可愛い・・・なんて、思いながら彼女を見送る。
後ろ髪の腰まで届く、ボリュームのあるゆるふわツインテールがぴょこぴょこアップダウンして運動している。服装も右肩を出したアシンメトリーな白のトップスに黒のスカート。絶対領域を演出する白のニーハイに茶色のレースアップ(編み上げ)シューズを履いていてオシャレ可愛いけど、肩掛けの小さなバッグには銃のバッジが飾られていたりとこだわりもかっこいい・・・って、反省しないな俺は。
「さてと、すぐに帰るか。のんびりしてるとうちのメイドが怖い」
彼女とは反対方向の駅に向かって歩き出した。
自宅まで帰ってくると、愛桜がドアの外で待っていた。俺を見つけると、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねては、こちらに駆けてくる。ご主人様に早く会いたくて、ドアの外で待ってる白メイド・・・健気でいいっ!犬っぽいが。
「特典、受け取れましたか?」
勘違いだった・・・。
「はいはい、お待たせ。無事に受け取ってきたからさ」
「ありがとうございます! いや~、帰ったら肩を揉ませて頂きますので~!」
現金な白メイドだ。だが、かわいいやつだとも思う。
「・・・え?」
「ん?」
何かにショックを受けたかのように視線を落とした。険しい顔をしている。
「(ばかな・・・? 何度か事前に確認したんだ。今回は間違いなんて無いはずだ)」
「クンクン・・・ご主人様・・・」
「ど、どうしたんだ?」
近づいてきて、やがて俺の肩に両手を置く。そして耳元でこっそり話す。
「ご主人様・・・もしかして・・・」
『今日、雪女に出会いましたか?』
「着信は無いか・・・」
今日はショッピングモールで昼を過ごして帰宅。今は自室でもうすぐ夕飯。
時刻は17時。充分に疲れは取れたが、気がかりが残った。
『今日、雪女に出会いましたか?』
愛桜はそう言った。気のせいだと答えたら納得したようだが。あいつは嗅覚が鋭い。雪女の存在を俺から嗅ぎ分けた? いつの話だ?
兎雪が雪女なら以前から気付かないのは変だし、まさかローゼルが?
「いや、無い・・・ありえない」
人間の生気を食らい続けた後、やがて相手の意識を奪ってコントロールしたことも実際あった。しかし、その場合は見ればわかるくらいには異常な行動に走るし、言葉は話せるが、口調がおかしくなる。すべり芸人がドン引きするレベルで。
しかし、ローゼルと出会った時の記憶を読み取って共有したあの現象は気になる。確か、お姉ちゃんと言っていたか? その後の行動も考えると・・・。
「雪女に出会ったのは俺じゃなくてローゼル・・・?」
時刻は17時半。一度相談してみるか・・・。
階段から降りると、牛生さんともう一人が席に座っていて、愛桜は俺の食事を用意した後、テーブルの付近で立っていた。
「ありがとう、愛桜。楽にしていいよ(頭なでなで)」
「何かあれば呼んでくださいね」
そう返事して近くのソファに座る。ノートPCを起動したのでネットサーフィンかな? 必ずしも食事を取る必要はないみたいだけど、その時の気分次第で決めてるようだ。ちなみに今夜は事前にカレーチェーン店へ電話しておいたから、代わりに受け取ってくれたのだろう。
「難儀だねぇ・・・」
「ほんと、もったいないと言いますか・・・」
二人は俺を見て微妙な顔をしたが、気にせず皆でいただきますして同じ夕飯を食べ始めた。
「小言なら昼に聞いたが? 兎雪」
「失礼な。兄さんが知らない女の子をナンパして食事をした後にホテルへ移動したと。監視・・・いえ、知り合いから連絡を頂いたので、真偽を確かめに来たんです」
「その知り合い、付き合いやめた方がいいぞ? 明らかに嘘の情報が混じっているから」
「・・・責任はちゃんと取るんだぞ?」
「牛生さん・・・信じてくださいよ(涙)」
「まあまあ。きっと嬢ちゃんも寂しくなって構ってほしいんだろうさ」
「ほう。可愛いやつだな」
「何を勝手に決めつけてるんですか! 今度兄さんの部屋で泊まらせてもらいますからね」
「いや、否定しないのかいっ」
基本的に兎雪が一番よくわからない。実家から追放された兄を情けなくて嫌っているかと思えば、忙しい合間にこちらの心配をしてくる。他人の前で黒歴史を暴露する迷惑な奴だが、急に距離を詰めてきたりする。なんなんだこいつ?
だが、正直今夜来てくれたのは助かった。せっかく兎雪と愛桜がいる機会に相談しないのは無しだ・・・というわけで、例の少女と出会った話をしてみた。
「う~ん?」
牛生さんも考えてくれてるが、白鷹家の生まれであっても裏の仕事とは基本関りが無い。多分この話は難しいと思う。気持ちだけは受け取っておきます。
「それは変だと思います」
話を終えてすぐに兎雪が発言をする。
「えっ、何が?」
「そうですね・・・例えばですが」
兎雪はテーブルの上をコツコツと指で叩く。考えている時の癖だ。
「うん、そうね。まず兄さんは市民会館がどのような場所か知っていますか?」
「そういえば行ったこと無いからわからんな・・・兎雪は?」
「2回くらいありますよ。毎年合唱コンクールがありますから。」
そういえばこいつ、普段学校には行かないくせに学校行事には出席するんだったな・・・そんな俺は自分の体調が原因でどちらもサボってしまった不良だが・・・。
「市民会館といえば、ピアノの演奏会や演劇、講習会等で必要な施設を借りられるところです。小ホール、大ホール、控室、会議室を時間制で予約して貸し切りできるんです」
「なるほどな。ピアノの発表会か・・・小さい頃ららふーを弾いた懐かしさよ」
「緊張して初手で間違ってたの面白かったですね~ふふっ」
思い出し笑いされたが、俺も懐かしさで笑ってしまった。
「・・・こほん! ところで、ローゼルさんは何か楽器等はお持ちでしたか?」
「いや? 小さな肩掛けバッグくらいだったぞ」
「これから行くと言ってたんですよね? しかも週一で。どの施設を借りるにしても一人では高額ですし、道具も無いなら何しに行ってるんでしょうか」
「確かに。何かの講演に招待されたとしても毎週は無いだろうな」
「もしくは何かアルバイト・・・そのような募集があればですが」
「今話した可能性は全部無いですよ、ご主人様」
ノートPCで何かを調べていた愛桜が、PC画面をこちらに向けてきた。
「この施設、しばらく休館していますよ。職員の間でインフルエンザが流行したからと書いてあります」
近寄ってきてドヤ顔してきた。とりあえずまた頭を撫でたら喜んだ。犬か?
「そういえば愛桜、俺が帰宅した時に雪女の匂いがしたとか言ったな?」
ぴょこっと猫耳が動く。
「はい~。ですが、本人に取りついているなら・・・おおっ! ご主人様の言いたいことがわかりました! すぐに向かった方がいいと思います」
「うん? つまり、どういうことなんだ?」
「少女が心配だから、念のため、繋がりのありそうな市民館を直接調べてみましょうということですね」
「なるほど? よし、話はまとまったようだね。車出そうか?」
「いえ、牛生さんは待機で。わたしの迎えを呼びますから、途中で兄さん達を下ろします。兄さんから連絡があったら迎えに行っていただけたらと・・・それでいいですか?」
それでいいと返事した。兎雪はすぐにスマホで誰かに連絡している。
その間に俺も動こう。
「適当に準備してくる! 愛桜はすまん、後片付けを頼む」
「了解しました!」
牛生さんは一時駐車できる場所を確認して外へ。俺は階段を上がって必要なものを整えて戻って来る。戻ってくると何故か、愛桜と兎雪は睨み合っている(そういや、仲悪かったっけこの二人・・・)が、出る準備は済ませたらしい。
愛桜はメイド服から護衛・戦闘用の動きやすい恰好(黒ジャージに白ズボン)に着替えている。彼女は、妖の身でありながら特例として幼少から白鷹家で育てられた時期がある。俺の護衛任務があるからだ。事情があって離れ離れになったのでこの決まりは無効になったが、再会してからもこの決まりを自分から守り続けている。それからは任務を引き受けて戦闘時になればこの恰好になる。
それに対して、白鷹家次期当主の兎雪。現在の当主は彼女の母親。当主は代々女性が引き継いでいる。裏家業は男性も務めるが、人数は多くは無い。才能の種類が違うんだとか。だから、俺が追放されたことが兎雪の立場を危うくすることもない。
「(だが、俺の様子を見に来ることを白鷹家はどう思っているのか・・・)」
できれば負担をかけないようにしたいが。
ちなみに俺と会う時は必ず、黒リボンがチャームポイントの青と黒のロリータワンピースか黒のセーラー服を着てくる。ハーフアップ(お嬢様結び)にした黒のロングヘアと似合っていて可愛いと俺が褒めたからだと言っていた。雪のように白いスノーフレークの髪留めも綺麗で似合っている。下着が白なのも俺の性癖であるかのように報告しなくていいのだが・・・(まぁ、そうだけど)。
「まったく、わたしはご主人様と現地まで走ってもよかったのに~!白鷹家の車なんて怖くて乗りたくありませんよっ」
「失礼ね!うちの使用人はどこかの気まぐれメイドと違って、優秀で安全運転を心がけてるわよっ! あとうるさくないしっ!」
「誰がうるさいですか! ちょ~っと好感度稼いだくらいで、泥棒猫なんてさせませんからね!」
「・・・はい、そこまで~!」
二人の肩を軽く叩いたら静まった。経験者は慣れている。
「到着しましたね。さっ、兄さんは先に乗ってくださいな」
「隣失礼しますね~」
「(挟まれたが・・・まあ、いいか)」
兎雪が身を乗り出して、運転手に声をかける
「伝えてある通り、市民館に向かってください」
運転手が返事をして車が動き出す。牛生さんから必ず連絡をするようにと声が聞こえた。サムズアップして了解の返事をした。
運転中は暇なので私用のスマホを見ている。交通情報等の情報も重要だからだ。
「あの人からメールが来てるな・・・来週中に来いか」
「例のご依頼さんですか、ご主人様?」
ああ、とスマホを閉じて返事をする。目的地までもう少しかなと窓の外を見る。
「兄さん、念のため言っておきますが・・・」
こちらを向かずに少し申し訳なさそうにしている。
「(わかってるよ。俺も昔はそこにいたんだから。)」
「白鷹家は裏の警察みたいなもので、可能性だけでは動けない。もちろんお前もな。」
「ええ、ですから今夜は詳細を確認するだけにしてください。目的を達したらすぐに脱出して、わたしに報告してください。そこまでいけば、あとは白鷹家が解決しますから。報酬もきちんとお支払いします」
どうするかな・・・とりあえず返事をしなければ。
「おっけー・・・」
「兄さんの返事が軽い時は不安なんですけど・・・いいえ、お願いしましたよ」
車を降りて目前の市民会館まで愛桜と歩く。
一度裏へ潜ったことのある俺と裏の世界で生まれた妖の愛桜。
二人は、一般人が気づかない「裏が表を侵食している状態」を感覚的・視覚的に理解できる。
こう視覚的な話だと、黒いもやもや~が見えるし、嗅覚的だと焦げた匂い的な?
「やっぱりな。これが裏と表が混在している場所、【陰】というわけだ。」
「この状態ならわたしも本来の力が出せますし、リスク無しで動けますね」
「そういえば、入り口の扉ってセキュリティが作動するんでしょうか?」
「そもそも開くのか? ダメなら、職員用の通行口になるが・・・」
通常の入り口手前まで来た時にそれは起こった。
ぶわっと急に強い風を感じて目を閉じた。風はすぐに止んで目を開けると視界に何かが現れて俺の上に降ってくる。
「んがっ!?」
受け止め・・・きれず、尻もちをついた。
「ご主人様!?」
「・・・へーきだ。まさか格ゲー界では有名なヒップアタックを体験することになるとは・・・小さいからってな」
「襲いかかったわけじゃ・・・んんあっ! だめっ・・・ですっ・・・」
「なんて?」
よく見ると、昼間出会った少女、ローゼルが呼吸を荒くして喘いでいた。
「やっぱり来てくれっ・・・んんっ! たの・・・電話して・・・っ! よかったです・・・はぁはぁ・・・」
電話? 電話か・・・何か見落としている気がするな。
「ご主人様? ご主人様! お腹!」
「どうした愛桜、また撫でてほしいのか・・・お腹?・・・あっ!? すまん。気づかなかった・・・」
ローゼルのお腹を撫でまくっていたらしい。少女のお腹って気持ちいいんだな。
もう触りませんよ~と、両手を上げて降参みたいなポーズをする。
「はーっ・・・はーっ・・・。ソウヤギって・・・お腹を触るの、好きなの・・・?」
顔を赤くして呼吸を荒げながらこちらを見上げてくる・・・いいぞ、色っぽいよ。
「わんこで慣れててついな・・・癖になっている」
ジト目でこっちを見ている愛桜に視線を向けると本人は恥ずかしがってそっぽを向いた。
「すまなかった」
彼女をゆっくり引っ張り上げて立たせた後に謝った。
「電話の件もな。今更気づいたんだが、仕事用の携帯置いてきちゃったわ。やってんな俺」
「え~・・・いつも通り、だめだめじゃないですか~」
愛桜とアイコンタクトしてサムズアップし合う。どちらがやらかしてもお互い様。
こうやって互いを励まし合いながら俺たちは仲良くやっている。
「来てくれたの。嬉しいですが・・・」
小さな声で何かを言っているが、聞き取れなかった。
「うん? 何か言ったかい?」
「その・・・あの・・・あ・・・いえ」
・・・? また、あの時みたいに視線が泳いでいるな・・・。
期待したいけど、不安で、それを伝えたいけど、上手く言えないみたいな・・・。
「大丈夫です・・・」
「ローゼル。焦らなくていいから、何でも好きな話をしてごらん。」
「・・・え?」
子供の頃にある事実を知ってしまって、それを屋敷の誰にも言えなかった孤独感。助けてと誰かを頼った後で、その人を巻き込んでしまう恐怖。意外と先まで見えてしまうものだ。あの時の俺によく似ている。
「俺から話そうか? 例えばこのメイドさん、実はガチの妖なのさ」
えっ? と驚いてくれた。良いリアクションだ。
「ガチですよ~。怖くないですよ~。ふんふんっ」
「悪い妖を退治してくれる味方の妖がこいつ。ほら、自己紹介せよ相棒」
しゅたっ!
「ハッ、ご紹介に預かりました愛桜であります! 趣味は好きなアイドルの推し活です! そして銀髪美少女は全員敵視します! どうぞお覚悟よろしイタッ!?」
「なんで銀髪美少女を敵視する? ん? 最高じゃろうがああん?(圧)」
「・・・ご主人様が贔屓するからでしょー。 白髪だってねー! 何かこう暗い所で青い光とか当たったりとかしたら銀髪と違わんでしょうが!」
ふむ・・・。
「一理あるな・・・。ところで俺は、白髪も大好きなんだが」
「・・・初耳なんですけど。わたし達、なんだかんだ付き合い長いですよね?」
「今や、二人とも家から逃げて、祖父のところに居候中・・・だしな」
「・・・それってつまり、カケオチなの?」
良い質問だ、ローゼル。
「そうなんです!」「違うぞ?」
???。
「・・・?(圧)」「違うぞ?」
・・・・・・。
ああ、まずい。内輪ノリでローゼルがフリーズしている。
「ま、まあ~。そういうかんじ、ですね!」
「わ、わかったの・・・ふふふっ・・・大丈夫・・・」
ああ、笑ってくれたのか・・・漫才になったけども良かったわ。
「その・・・ありがとうございます。来てくれたのは嬉しいです。本当です」
顔を拭いてスッキリした彼女は、先ほどよりもはっきりした声で気持ちを語ってくれた。
「さっきは行くのやめましょうって言うつもりでした。あの場所は危険なの。運が良かっただけで、大けがすることもありえます」
「俺たちの事は別の目的があって協力すると思ってくれていい。決して、巻き込まれたなんてこと言わんよ。」
だけど、と話を続ける。
「俺たちはいいとして、ローゼル。君がここに来ているのは、君自身が過去の後悔と向き合いたいって思っているんじゃないか?」
銀髪少女は頷いた。
「そう・・・そうなの。でもそれが何かを知らないまま、中途半端な気持ちで行くのが、今はとても怖い」
何かを知らないまま・・・? でもあの時は言っていたじゃないか・・・。
「(まさか・・・?)」
ローゼルに近づいてしゃがみ込む。恥ずかしいが、やってみる価値はあるだろう。
「すまん、変な事はしないから、少しだけ目を瞑ってくれ」
「お腹・・・触らないの?」
「触らない・・・すぐに終わるよ(本当は触りたい)」
了解を得て、顔を近づける。具体的には、おでこを近づける。そして合わさる。
「((お姉ちゃんはどうした。昼に行かないとって言ってたじゃないか))」
ズキン。
一瞬だけ頭痛がした。しかし、俺自身に変化は無い。失敗したか?
頭部を離すと、ローゼルが頭を抱えている。というか、少し泣いている。
愛桜を見ると、首をブンブン振っている。俺を見てきたので、ブンブン首を振った。
「ありがとう・・・ございます・・・。思い、出せた・・・!!」
「そ、そうか・・・。昼に起きたことを再現できないかと思ったんだ。ローゼル、あの時も大事な事を忘れていたんじゃないか?」
「えっ、どういうことですか?」
愛桜は付いて来なかったから、あの現象は見てないものな。
「・・・はいなの。前の週で挑んだ時に失敗した罰なんだと思います。だからお昼も近くまで来ていたものの、理由がはっきりしなかったので、フラフラしてたんです。あの時もソウヤギが思い出させてくれましたね」
「たまたまだけどな・・・。」
・・・。
「・・・で、どうする? どうやら危険もあるし、失敗したら一部の記憶を失うリスクもあるらしい。正直諦めるのも選択肢としては悪くない。」
ローゼルはこくりと頷いた。
「わたしの事を待っている人がいるの。きっと、過去の事で伝えたいことがあるんだと思う。そのために準備して、後悔で終わらせないために来ました。わたしは向き合うために行きます。だからどうか!」
ローゼルは俺に向かって手を差し出した。
「どうか! わたしに力を貸してください、ソウヤギ!」
片膝を付いて、差し出された手を取る。
「俺に任せろ、ローゼル」
「(白メイドもいるんですけどぉー!)」
「あっ・・・。愛桜さんもよろしくお願いします!」
「う、うすっ・・・」
やめてくれ、愛桜の無感情な返答に吹き出しそうになったじゃないか。
「・・・さて、切り替えるか。案内と状況説明を頼むわ」
3話へ続く🌸
______________________________________
★+設定メモ+★
【第一章の登場人物】
●湊 創八木(ミナト ソウヤギ)
身長:175cm 年齢18歳 誕生日:6月13日
性格:落ち着きがあり、責任感もある。たまにメイドとはっちゃける。
好きなのもの:低身長で長髪の銀髪美少女に出会うと我を忘れる。TPSキャラゲー
苦手なもの:神出鬼没な妹。初対面のコミュニケーション
得意な事:趣味のモデリングソフトと特殊なデバイスで生み出すオブジェクトの操作
補足:名家の白鷹家長男。家を追い出され、祖父の家で暮らす大学生。現在は父方の旧姓である、湊の家名を使用している。学校側の都合で休校中のため、幼い頃から実家の裏仕事で経験を積んだ、妖殺しの依頼を引き受けている。本来は近接戦闘向きだが、本家から武器を没収される。代わりに依頼主からもらった特殊な銃を使用するが、反動に慣れず、ここぞという時にしか使えない。
●木村 愛桜(キムラ チハル)
身長:154cm 年齢18歳 誕生日:6月13日
性格:穏やかだと思ったらテンション高かったり、戦闘時はクールだったりする
好きなもの:創八木、桜、ピンク色で可愛い服や雑貨、2次元の美少女アイドル
苦手のもの:白鷹家、泥棒猫(創八木に群がる雌)
得意な能力:居合・抜刀術と生気を代償とする妖術の合わせ技
補足:裏世界の住人で妖の身でありながら、特殊な経緯で白鷹家に育てられる。幼少時から創八木を守ることが自分の使命だと思っている。一度離れ離れになったが、再び再会する。共に牛生家で暮らし始めて以降は護衛兼メイドとして現在も仕えている。ヘッドフォンが体の一部みたいになってて、常に装着している。
●白鷹 兎雪(シロタカ トユキ)
身長:156㎝ 年齢17歳 誕生日:1月23日
性格:真面目で自分に厳しく兄にも厳しい。(それ以外は無関心)
好きなもの:流行探し、兄の面倒を見る
苦手なもの:兄以外の他人、うるさい人
得意な能力:仕込みステッキでの近接・中距離・遠距離戦闘
補足:高校生だが、白鷹家次期当主としての将来が決まっている。既に本家を追放された兄の様子を見に来ては、だらしない生活をいじりに来るのが習慣というか生きがいになっている。兄の世話をしている白メイドが羨ましくて鬱陶しい。最近、兄が妖殺しの依頼を引き受けていることが心配になっている。
●ローゼル
身長:150cm 年齢16歳 誕生日:12月24日
性格:他人が苦手だが、困った人はほっとけない優しさを持つ。苦労人。
好きなもの:のんびり寝ること。姉。TPS。
苦手のもの:すぐに怒る人(圧をかけてくる人)、他人
得意な能力:射撃(主にゲーム)。走ること。パズルや計算問題を解くこと、料理
補足:日本人とイギリス人のハーフで生まれは北海道。現在は白鷹市の高校生。
幼い頃から両親の不仲が原因で、はっきり意見をしたり大きな声を出すのが苦手。イタリアにいる祖母に引き取られて育つ。祖母に勧められた劇場で二つ上の姉と再会。気に入られて劇団に入る。他人の前では自信が無くて過剰な気遣いをしているが、雑念が消えて集中力が高まると、覚醒したように頭の回転が速くなり、行動力が段違いで変わる。でも、本当はぐうたらのんびりが大好き。
●白鷹 牛生(シロタカ ウシオ)
補足:創八木と兎雪の祖父。白鷹家では表の仕事として酒類販売の経営者を務めていたが既に退職済。一時期民宿として運営していたが、創八木と愛桜が入居してからは
閉じて、自由気ままに過ごしている。日中ほどんど不在な日も多く、何をしているのかは不明。
●天使 皐(テンシ サツキ):創八木の推しアイドル(本人は認めていない)で記憶に引っかかる存在。
【時期、世界観】
●第一章は、2044年の5月頃
●舞台は新関東エリア。妖殺しを裏の家業として担当する3つの名家、『白鷹家』『京築家』『ネオン家』が所在する3つの市、北の『白鷹市』南西の『京築市』南東の『ネオン市』に分かれている。主人公は白鷹市に在住。
【表と裏】
●表は人間が日常生活を送っている世界。裏は妖が集中的に増加した結果、18年前から一部の人間に観測され始めた。妖が静かに暮らすもう一つの世界。表と裏に強固な境目があるが、完全ではない(地上と地下みたいに位置は繋がっている)。表の人間がある日踏み外して裏に迷い込んでしまったケースもあり、裏の妖が表の人間の生気を求めて抜け道を通ったりする。前者は運が良ければエリア担当に救助されるかもしれない。後者も妖殺しに発見されて始末される可能性がある。
【雪女】
●裏の世界に住む妖の多くは表の世界に行くことを好まない。愛桜は生まれながらの特殊体質と表の世界で過ごした期間が長いため、表の世界の方が過ごしやすい。
例外として一部の妖もまた、表の世界での生活を好む。一例として、数年前から急増化している雪女と呼ばれる妖がいる。人間の生気を好み、近くにいると冷気を感じる。人吸い(人間から生気を吸うこと)を長期間続けると自由自在に体を変化させて強化される。あるいは、分離して種族を増やすこともある。特に精神的に不安定でありながら、強くあろうとする人間の生気を好み、通常より早く強化されるが、同時にその人が強く執着している記憶を共有して行動目的に影響を及ぼすことがある。
★読んでくれてありがとうございましたー!
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