ハナ サナ イデ 【KAC20245】

姑兎 -koto-

第1話 秘話

「やっと、つかまえた」

イデの手が私をつかむ。

「もう、離さないでね。約束」

「うん。約束」

「このことは、二人だけの秘密。誰にも話さないでね」

「わかってる」




まぁ、サクッとここまで書いて、その後の展開やら二人の事情やらを妄想するわけですよ。

この時点で『離さないで』も『話さないで』もクリアしてるのでね。

後は、肉付けだけなのだけれど、ここで欲が出るのが私。




「ハナにも内緒ね」

「わかってるよ。サナ」

「いつまでここに居られるの?」

「ずっとだよ」

「それでいいの?」

「もちろん」




ここで、彼の名前が決定するわけです。

彼の名は、イデ。

んで『彼』に『イデ』とルビをふる。

『ハナ サナ イデ』

これでお題三様盛りの出来上がり。

そして、ここにきて持ち上がる作者自身にもわからない「これは、どんな物語なんだ?」問題。

書きながら、無理やり物語を捻り出す旅はここからです。




天界の楽園から罪人として奈落に落とされた私。

イデを慕うハナは、邪魔な私を追い払いたかっただけ。

ちょっと嘘をついて陥れただけ。

なのに、こんな結末になるなんてね。

一番戸惑っているのは、ハナかもしれない。

友達だと思っていたのに……。

少しは、後悔してくれているだろうか。


でも、イデは、奈落まで、私を追ってきてくれた。

誰にも内緒でここまで来るのは、大変だっただろうに……。

これも、きっと、ハナにとっては、想定外。

薄暗い奈落も二人なら楽園。

彼が切り開いた内緒の通路は、誰も知らない。

もう、誰にも邪魔されることは無い。


時折、別人に身をやつし、天界で必要なものを手に入れてきてくれるイデ。

誰かに見咎められ、人の口の端に上る度、噂を辿り、姿を消した彼をいつまでも探して求めるハナ。

ハナにとっては、天界の楽園も今や荒野。

彼女がビョウビョウと心の中を吹き荒れる風に何を聞いているのか。

花咲き乱れる奈落の楽園では知る由もない。


ー完ー


っとまぁ、いつもこんな感じで書き上げている訳であります。


ー完ー










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