尻餅

清明

第1話

ケツが痛い。

先日、階段で足を踏み外して尻をしこたま打った。

それから三日。

まだ痛い。

病院に行こうかと思ったが、他人に尻を見られる事を考えると躊躇してしまう。

痛みは昨日よりマシになってきているし、この分なら明日には治るだろう。

そう考えて病院に行く事はやめた。

ケツが痛い。


昔から、歩くのが下手である。

側溝に足を突っ込む、何も無い道で転ぶ、階段を登ろうとして足が引っかかる、角に小指をぶつける。

足が上がっていないのである。

そして足の置き場所もわかっていない。

歩く時に何も考えてなさすぎるのだろう。

人や車の多いところではぶつからないように気をつけて歩くので大丈夫なのだが、今日みたいな天気のいい日の公園での散歩などは実に危ない。

日光が気持ち良いなと思いながら歩くので、転ぶ確率がぐんと上がるのだ。

ああそれにしてもケツが痛い。


歩き疲れたので公園のベンチで休む事にした。

ベンチに座る。

ケツが痛い。

やはり何も考えていないのである。

座ったら痛いに決まっているではないか。

立ち上がって、今日はもう帰って横になろうと決意した。

帰る途中で転んではいけない。

一歩一歩、足の置き場所を考えながら歩いていこう。

それにしても他の人は歩く時に何を考えているのだろうか。

そんなことを思いながら、私は歩き始めた。

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尻餅 清明 @kiyoaki2024

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