友人と友人の関係がすれ違っているのを恋人と語り合う話

鋼音 鉄

どうしたらええんやろか

「愛、彼奴らの関係はどうしたら良いと思う」

「すれ違いまくってるよねえ……両片思いだからさっさと告白したら良いと思うんだけど」


人間達には見えないように不可視の姿をしながら空を飛び、共通の友人を観察している人外二人。シュイドとミリアである。あの二人は両片思いだから告白すれば良いじゃん、と思ってしまうのだが、それは知ってる側の意見であるし、自身も隣に居る伴侶とはすれ違った事が多数あったので、文句は言えない。


シュイドとミリアがすれ違った理由としては、色々とあるのだが、一番考えられるのは、昔に作られたルールだろう。旧神という存在ゴミが作ったルールですれ違う事は多かった。そのルールは今は無くなったとは言え、何時の時代でも神々は強者達が結ばれるのを許容していないみたいだ。


あの二人は魔法使い。人の身から魔法使いという種へと進化した者。人と魔法使いは性質的に全くと言って良い程に異なる。感情を持つ事は同じだ。性別がある事も同じだ。けれど、人間という種と魔法使いという種が根本的に違うと言われているのは此処からの違う点からだ。


人間は生きる為には酸素は勿論として、栄養を取る為に食材を食べなくてはいけない。しかし、魔法使いという種の場合、酸素も食材も必要ない。人間は霊力を使用するのに対して、魔法使いは魔力を使用する。他にも色々とあるのだが、大体は此処らへんだろう。


「あの二人を見てると、昔の私達の事を思い出しちゃう」

「本当にな。俺達は互いに相手の事を優先していた。俺とお前は悪魔と天使で、あの時代は敵対意識が途轍も無い程に強かった。だから言ったんだっけな。俺達二人とも」


『はなさないで』と。どれだけ強く相手を想っていても、あの頃は自身達よりも上の者が山程溢れていた。しかし、結局離れ離れになるのが耐え切れず、二人とも悪魔天使和協会に入り、険悪な仲を長い時間を掛けて止めさせた。


「終わった後、言ったんだよな」

「そうだねえ。私は言われて嬉しかった。シュイドはどう?」

「聞かなくても分かってるだろ?嬉しかったよ。……もう一度、言うか?あの言葉」

「あの時の心の底からの願い。もう一度しちゃう?」

「ああ、言おうぜ」


「「もう二度とから『はなれないで』」」

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