花と葵
――外から学生たちが元気に遊ぶ声が聞こえる昼の保健室で、お弁当を食べ終えた俺と
「山口と
……
俺がそう聞いたら、
その本には付箋が張られており、ページをめくり"
"
『私、将来
彼女の顔は、希望で満ち溢れておりとても眩しかった。
それに比べて俺なんて、まだ将来のことなんて考えて無かった。俺は、そのことが急に恥ずかしくなった。
「
彼女は、うん頑張る! と言っているのが伝わる程に両手を握りしめて、瞳が輝いていた。
そんなイキイキとした
だから――「あ、そう言えば、
「ごめんねー。花ちゃん、昼の会議が長引いちゃって、今戻ったわ」おっとりとした言葉遣いで
「お弁当、ちゃんと食べた?」
名字から分かるように二人は、親戚同士で小さい頃からの仲だそうだ。
俺が一年生の時、保健室の戸を開けたら、
その時に
ほんわりした雰囲気の
俺もご多分に漏れず、
思春期の男子が、年上の女性に見つめられた時、感じる少しの照れくささを抑えつつ「はい、とても美味しかったです。
「あら、そう? 私もそう思ってたけど。花ちゃんは信じてくれないのよね」
その姿を見て、俺は
ふと俺はあることを思いついたので、
「えっと、
俺の言葉に不思議そうな顔をしている
ペンを手に取り、さぁ文字を書こうとすると
「ちょ、ちょっと待ってて。
すると少し、唇を突き出して、不服そうな表情をした
――ごめん、見ていいよ。――いや、見られたら恥ずかしい。――と言う気持ちで、俺の心はグラグラと揺れていた。
いかん、動悸が強くて指先が震えてきた。息も切れて来た気がする。俺の体が、まるで全力疾走をしているかのようだった。
「花ちゃん、彼、見られていると書きづらいみたいよ」くすりと笑いながら、
その言葉に、ハッとした
すると俺の鼓動は段々と落ち着いてきた。それから、
年上のオネーサンにからかわれるのが、好きな男子はいるのだろうが……今は集中しないと。
フーっと、俺は一息をついてから改めて、筆談ボードに向き合った。キュッキュッと、ペンが白いボードを走り染めていく。
でも、線がキレイに描けない。何度か、書き直しながら
「
そこには――『今日のお弁当、本当に美味しかった。ありがとう』
「ええ、前に先生から少し聞きました。でも、具体的な理由は……」俺は、遠慮がちに返答した。
彼女は、フルフルと首を振って先生へ返答をした。それを確認した
俺は、
いや、まだこうして話すようになったばかりなんだ。詳しい事情を知って良い間がらじゃないのかも知れない。
「
「そ、そうなんですか……」もし俺が、ある日突然喋れなくなったとしたら、どれだけ辛いだろうか。
まだ、
「花は植物のことを学ぶのが大好きで、将来は大学で造園の勉強をしたいって言ってるの。だから、保健室登校でも、彼女なりに頑張ってるのよ」
彼女が"
俺は、本当に知らないことばかりだ。悔しいが、石川先生から『大人になれ』と言われたことが思い出されて、俺はあの時の苦さと共にあの時から何も進歩していなかったのを思い知らされた。
その強い意志に俺の心を打たれ、「分かりました。
今まで、こうやって女子から応援されたことは無かったが、なんだか心が暖かくなった。
――そんな温かい雰囲気の中で、俺と
つづく
―――――――――――――――――――――――――――
あとがき
CM 年上のオネーサンは好きですか?
大好きです!!
勿論、同い年の女の子も大好きです!
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