第53話:意外な反応
とはいえ、約束を聞き入れるという条件で手柄を引き受けてもらったので、面倒とうだけで断るということもできない。
「まあ、内容は分かったけど……その研究会は二人でやるのか?」
「最初はそう思ってたけど、最近気が変わったんだ。あと三人誘おうと思う」
「ふーん。誰?」
実力が担保されている二年生や三年生だろうか。できれば、新しく面倒な人間関係など作りたくないのだが……と思っていると、リヒトが答えた。
「今日の探索パーティそのまま——ユリア、シーシャ、ティアの三人だね」
リヒトが言うと、ユリアたち三人がざわざわし始めた。
「わ、私ですか⁉︎」
「だ、大丈夫……? 何か間違えてない?」
「なるほど。私を選ぶとはリヒトはやはり良いセンスをしてますわ!」
確かに、ユリアたち三人なら悪くない。
まだまだ実力は不十分だが、今後の成長次第で十分もう少し強い魔物とも戦えるだろうし、同じクラスだから予定も合わせやすい。
おまけに、全員どこの部活動や研究会にも属していない。
しかし、ユリアたちにとってはリヒトの誘いは意外に感じたようだった。
「昨日と今日で実力はしっかり把握できたし、皆しっかりとした向上心があると分かった。僕は、みんなにも入ってもらいたい」
まあ、俺としてもユリア、シーシャ、ティアの三人なら安心できる。リヒトが現状の戦闘能力だけを基準に機械的に選ぶような人選をしなくてホッとした。
「どこか研究会には入りたいと思っていたので、お誘いありがたいです。しかも、エレンも一緒……! ぜひ、ご一緒させてください!」
「当然私も加入しますわ」
ユリアとティアは即決したようだ。
残るはシーシャだが——
「シーシャはどうかな? 唐突だったし、少し考えてもらっても良いけど……」
リヒトがシーシャに尋ねたところ。
シーシャは申し訳なさそうな表情になり、頭を下げた。
「誘ってもらって光栄には思っているけど……。ごめんなさい。私には、荷が重いわ」
シーシャの答えを受けて、珍しくリヒトが動揺した。
「ど、どうして⁉︎ 確かに、他の研究会より負担は大きいかもしれないけど……」
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