嘘とささくれと推理クイズ

ヤミヲミルメ

嘘とささくれと推理クイズ

 親愛なる我が読者よ。

 前回、因習島の洞窟の奥の祠で発見した箱は、本土の骨董品店が商品の郵送に利用したものだった。


 なぜわかったかって?

 ほら、見てごらん。

 箱の表面にシールが貼られている。

 こっちが宛先で、こっちが送り主。

 日付はかすれてしまって読めないな。


 ……送り主の骨董屋は、贋作作りの名人と繋がっているなど、いろいろと黒い噂の絶えない御人だ。

 商品の扱いは丁寧で、表の客の評判は良いのに、悲しい話さ。



 ああ、箱に触るなら手袋をしたまえよ。

 こんな湿っぽい洞窟に長いこと置かれていたんだ。

 木材が劣化して、ささくれがひどい。

 この染みを見るに、以前にもこのささくれで誰かが怪我をしている。

 キミも注意してくれ。


 おやおや?

 この宛名の住所は、我らがお嬢様のお屋敷じゃないか。

 よし、ここはいったん、お嬢様に報告しよう。

 忘れてないよな?

 私たちが因習島に来たそもそもの目的は、島の権力者のお嬢様の護衛だ。



 それにしても神聖なはずの祠にこんな空き箱を隠すなんて、いったいどういうことなのだろう?

 怪しい骨董屋との取り引きを隠したいのなら箱もシールも燃やすだけでいいし、逆に証拠として保管したいならもっと丁寧に扱うはずだ。



 屋敷に着いて。

 私たちが縁側に箱を置いてお嬢様と話していると、屋敷の庭師が通りかかった。


 庭師は箱に見覚えがあるという。


 今から五年前……

 五年に一度の島祭りの直後。

 庭師はお嬢様の甥であるお坊ちゃまに、祠の修理を命じられた。

 修理は迅速かつ秘密裏に行えとのことで、ちょうど配達されたばかりの箱を庭師の目の前で開けて中身を取り出して、これを使えと空き箱を渡されたのだそうだ。



・これはあくまで庭師による推測だが、お坊ちゃまは友人と宝探しごっこをしていて祠を壊してしまったのだろう。


・しかし結局、旦那様にバレて叱られ、お坊ちゃまは島を出ていった。


・空き家のかつての住人はお坊ちゃまの友人で、宝探しを一緒にしていた。


・祠に納められていた角材は、お坊ちゃまに壊された祠の部品。

 本来の御神体は行方不明。


・祠が荒らされるような事態はあれっきり起きていない。





 探偵として、庭師の証言には気になる点が一つある。

 それは何か?



 シンキングタイム・スタート!



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



 正解発表。


 祠の修理を行った時点で、箱は新品。

 それなのにささくれに血がついていた。


 庭師がウソをついているのか?

 それともほかに理由があるのか?


 答えは次回以降。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

嘘とささくれと推理クイズ ヤミヲミルメ @yamiwomirume

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ